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【苦手克服は基礎固めから!】数学2B(数IIB)の効果的な勉強法とおすすめ参考書4選

2022.05.02

「数学2B(数IIB)」では、「数学1A」よりも問題の抽象度が増し、より複雑な内容が増えてきます。今まで「数学」が得意だった人も、数学2Bで行き詰まってしまうことは少なくありません。
「これから数学2Bを勉強するけど不安だらけ…」「数学2Bでは結局何を学習しているのか分からない…」――そんなお悩みをこの記事で解消しましょう!
数学2Bの基礎を理解するために学ぶ上で意識すべきことや、基礎固めにおすすめの参考書を紹介します。

※この記事では主に〈現行課程〉における「数学」の内容について扱います。(2022年度の高校2・3年生が対象)
2022年度の高校1年生から順次移行となる〈新課程〉の情報についても触れますが、履修および大学受験時の学年についてご注意ください。

1. 【現行課程→新課程】「数学」履修内容の変更について

この記事では現行課程(2022年度の高校2・3年生が対象)の「数学」について扱いますが、2018年3月30日に文部科学省が告示した「高等学校学習指導要領」に則り、2022年度の高校1年生から「数学」の履修内容が変更されています。「数学2」について大きな変更はありませんが、「数学B」については以下の2点で注意が必要です。

(1)数列(2)統計的な推測(3)数学と社会生活の中から2つの単元を学習するため、「統計的な推測」を学習するのがほぼ必須化
・「ベクトル」が数学Bから数学Cに移行

「統計的な推測」の学習内容については、現行課程の「確率分布と統計的な推測」に加え、新たに「正規分布を用いた区間推定及び仮説検定」の内容が追加されます。
この記事では、各単元について「新課程ではどの科目に対応しているか」も明記します。2022年度高校1年生以降の方も、今後の勉強計画を立てる際などに参考にしてください。

2. 数学2Bを勉強する上で大切なこと

2-1. 毎日数学の問題に触れる

高校数学は中学数学に比べて授業進度が早く、学習内容はとても多いです。特に「数学1A」では中学数学で学んだ内容が含まれていたのに対して、「数学2B」では新たに学ぶ内容が多く、勉強の負担が大きくなります。したがって、高校数学の習得には、学校の定期試験の直前だけ勉強するといった短期間の勉強よりも、毎日2,3問からでもコツコツと勉強していく方が効果的です。長期的に数学の問題に触れることで、計算力の向上にもつながります。
「朝は数学の問題を3問解いてから学校に行く」「部活から帰ってきたら一度机に向かって数学の問題に取り掛かる」など、生活の一部に数学を勉強する時間を取り入れて習慣化してみましょう。

2-2. 公式の使いどころを理解する

問題を解いている時に何をすればよいか分からなくなったり、とりあえず知っている公式を使って詰まってしまったりすることがあると思います。そういった場面では、「なぜその公式を使うのか」「どうすれば正答に近づくのか」といった視点で自分の解法を分析することが大切です。
特に、条件によって場合分けが必要になる問題や、別解が複数ある問題でこの視点がとても有効です。時には教科書まで戻って、用語の定義から確認しましょう。公式の使いどころが理解できれば、「解答を読んでも問題の解法が理解できない」といったことも少なくなります。

2-3. 自分のミスのパターンを把握する

問題演習を進めていく中で、間違えた問題に対してどういったミスが多かったのか細かく分析し、ミスの再発防止の改善策を見つけることがとても大切です。
例えば、「計算ミスが多発してしまった」「時間配分を間違えた」「基礎が抜けている内容があった」など、ミスにはそれぞれに適した異なる改善策が必要です。さらに、一言で計算ミスといっても、その原因は色々あります。自分が書いた文字が汚くて読み間違えたのか、式の展開の際にミスが起こりやすいのかなどによって、細かく善後策も変わってきます。
自分のミスのパターンを熟知することは、大学受験の対策全般に通じる手立てですので、今のうちから意識して取り組みましょう。

3. 数学2Bの全体像 ~各単元の特徴~

「数学2」では大きく分けて、(1)いろいろな式(2)図形と方程式(3)指数関数・対数関数(4)三角関数(5)微分法・積分法の5つの単元を学習します。
「数学B」では、(6)数列(7)ベクトル(8)確率分布と統計的な推測の3つの単元を学習します。
各単元の特徴について知ることで、勉強計画に役立てることができます。各単元を学習する上でのポイントについて簡単に解説しますので、参考にしてください。

3-1. いろいろな式

「二項定理」「整式の割り算」「恒等式」「等式と不等式の証明」などを扱う「式の証明」の分野と、「複素数」「剰余の定理」「因数定理」「高次方程式」などを扱う「複素数と方程式」の分野の2つから構成されています。新たに学ぶ概念がとても多いですが難度はそこまで高くないため、ひとつひとつ丁寧に押さえていけば比較的短い時間で習得できます。
「式と証明」の分野で理解に苦しんでいる場合は、数学1の「数と式」についての基礎が定着していないことが考えられるので、入念に復習しておきましょう。

3-2. 図形と方程式

「2点間の距離」「直線の方程式」「点と直線の距離」などを扱う「点と直線」の分野と、「円の方程式」「円と直線の位置関係」「2つの円の位置関係」などを扱う「円」の分野、「軌跡と方程式」「不等式の表す領域」などを扱う「軌跡と方程式」の分野の3つから構成されています。
座標平面上で関数を図形的に考えるという、代数学と幾何学が結びついた難しい問題が多く見られます。そのため、理系・文系ともに大学入試で頻出の単元です。
数学1の「数と式」や数学Aの「図形と性質」といった単元が、理解を助けてくれるでしょう。

3-3. 指数関数・対数関数

「指数法則」「対数の性質」「指数関数・対数関数のグラフ」「指数関数・対数関数を含む方程式・不等式」などについて学びます。各用語の定義に加えて、「指数関数」と「対数関数」の関係性を理解できれば、そこまで難しくないはずです。
理系で「数学3」を学ぶ場合は、「微分法」「積分法」などでたくさん扱うことになるので、疑問点を残さないように学習しておきましょう。

3-4. 三角関数

「三角関数の性質」「加法定理」「三角関数の合成」などについて学びます。数学1の「図形と計量」では、角θが0°以上180°以下の範囲で三角比を扱いましたが、数学2では、角度の制限をなくして角θの関数としてとらえます。
この単元では「加法定理」の考え方が最も重要です。「2倍角の公式」「和と積の公式」「三角関数の合成」などは、全てこの「加法定理」を応用したものです。
数学1の「数と式」「2次関数」「図形と計量」の基礎を理解してから、この単元に臨みましょう。

3-5. 微分法・積分法

「微分係数」「導関数」「不定積分」「定積分」など、「微分法」「積分法」の基本的な問題の解法について学びます。他の単元に比べて、解法暗記や計算力である程度解けるようになります。解法を習得できるまで、ひたすら演習を積み重ねましょう。
数学3の「微分法」「積分法」ではより発展的な問題になるため、特に理系選択者は抜けがないよう勉強しましょう。

3-6. 数列

「等差数列」「等比数列」「数列の和の計算(∑計算)」「漸化式」「数学的帰納法」などについて学びます。「∑計算」「漸化式」あたりから数列や式が複雑になっていくため、難度が上がります。
「∑計算」「漸化式」は解法がパターン化していますが、単純に公式を暗記するのではなく、なぜこういった式が成立するのか考えることが本質的な理解につながります。理系文系ともに大学入試では頻出の単元です。

3-7. ベクトル(新課程では「数学C」)

「ベクトルの演算」「成分」「内積」「位置ベクトル」「ベクトル方程式」などについて学びます。この単元ではまず、ベクトルの定義「内積」「位置ベクトル」の考え方を理解することが大切です。基礎的な問題は解法がパターン化しているものが多いので、解法が定着するまで繰り返し演習しましょう。
「平面ベクトル」の考え方が理解できれば、「空間ベクトル」は次元が1つ増えるだけなので、そこまで理解に苦しまないはずです。

3-8. 確率分布と統計的な推測

「確率分布」「二項分布」「正規分布」「母集団と標本」「推定」などについて学びます。数学1の「データの分析」や、数学Aの「場合の数と確率」の単元の基礎を定着させてから取り組みましょう。
難度の高い問題は少ないですが、計算が複雑になることが多いため、計算ミスには注意が必要です。この単元は入試において出題しない大学が多いため、実際に志望大学の過去問を見てから勉強する必要があるかどうか判断しましょう。

4. 数学2Bの基礎固めにおすすめの参考書4選

「数学2B」の学習内容の理解や基礎問題の解法習得に役立つ参考書・問題集を、厳選して4冊紹介します。

スバラシク面白いと評判の初めから始める数学II 改訂9 スバラシク面白いと評判の初めから始める数学II 改訂9
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数学Ⅱ・B・C
スバラシク面白いと評判の初めから始める数学II 改訂9
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馬場敬之
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スバラシク面白いと評判の初めから始める数学II 改訂9』(マセマ出版)

数学用語の意味や公式の使い方などについて、練習問題を交えつつ丁寧に解説しています。
「方程式・式と証明」から「微分法と積分法」までを扱った本書と、「平面ベクトル」から「確率分布と統計的推測」までを扱った『スバラシク面白いと評判の初めから始める数学B 改訂9』の2冊を使用することで、「数学2B」の基本問題の解法を身につけることができます。
問題数は多くないため、主に参考書として使用しましょう。「教科書を読んでも用語・公式の意味がよく分からない」「数学に苦手意識がある」といった場合に、おすすめの1冊です。

 

改訂版 チャート式 解法と演習 数学II+B 改訂版 チャート式 解法と演習 数学II+B
数学
数学Ⅱ・B・C
改訂版 チャート式 解法と演習 数学II+B
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改訂版 チャート式 解法と演習 数学II+B』(数研出版)

『チャート式』シリーズは難易度順に『白チャート(基礎と演習)』『黄チャート(解法と演習)』『青チャート(基礎からの~)』『赤チャート』に分かれており、自分の実力に合った難易度の1冊を選択することが大切です。
なかでも今回取り上げる『黄チャート(解法と演習)』は、教科書レベルの基礎内容から入試問題まで幅広く扱っており、中堅私立大学や国公立大学の入試レベルまで対応しています。1160題の問題が掲載されており、各問題は5段階の難易度で分類されているため、自分の現状や志望校のレベルに応じて、必要な問題に取り組めます。
他の問題集に比べて分量は十分ですが、その分1冊全ての問題を完璧にマスターするためには、計画的に勉強することが必要となります。大学入試まで「数学2B」の参考書を1冊で完結させたい場合にはおすすめです。

 

数学II・B基礎問題精講 五訂版 数学II・B基礎問題精講 五訂版
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数学Ⅱ・B・C
数学II・B基礎問題精講 五訂版
4.8
上園信武
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数学II・B基礎問題精講 五訂版』(旺文社)

数学2Bでおさえておきたい基本問題を厳選して170題扱っており、教科書から入試問題を解くための橋渡しとなるような問題集です。学校の定期試験の対策にも有効でしょう。学校の授業進度に合わせて使用したり、短期間で基礎を復習したりするのにおすすめの1冊です。

 

合格る計算 数学Ⅰ・A・Ⅱ・B 合格る計算 数学Ⅰ・A・Ⅱ・B
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合格る計算 数学Ⅰ・A・Ⅱ・B
3.5
広瀬 和之
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合格る計算 数学I・A・II・B』(文英堂)

数学1・A・2・Bで学習する各単元について、速く正確に解ける計算方法について解説しています。各テーマに対して例題と類題が用意されているため、十分な演習量を確保できます。
同じシリーズに『合格る計算 +場合の数』『合格る計算 数学III』の2冊が出版されています。「計算方法は分かっているけれど解くのに時間がかかってしまう」「効率的な計算方法を知りたい」といったケースにおすすめです。

5. まとめ

大学受験を見据えて「数学2B」を勉強する上で、大切なことは以下の3点です。

  1. 毎日数学の問題に触れる
  2. 公式の使いどころを理解する
  3. 自分のミスのパターンを把握する

「数学2B」は文系・理系ともに、定期試験や大学入試に大きく関わってきます。「数学1A」と比べて抽象的な概念が増え、理解しにくいところも多々出てくるかもしれません。
「数学」では、理解不足の単元を発見したらその都度復習することが大切です。記事の中で紹介した、基礎固めにおすすめの参考書も有効に利用しつつ、「数学」の勉強を楽しみましょう!

StudiCoサポーター Y.H.
中央大学 理工学部合格