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カリスマ英語講師・関正生が語る!大学入試「英語長文問題」の最前線 ~関正生自身による人気著書シリーズの解説付き!~

2022.09.01

昨今の大学入試英語で特に重視される傾向が強まった「長文読解問題」。その文章の長さや難易度に頭を抱える受験生に向けて、人気英語講師・関正生先生が大学入試の"今"を解説! 受験生に多くの支持を得ている、先生著作の参考書や問題集が生まれた背景・特徴についても語っていただきました。
英語長文対策の救世主が大学受験生へ捧げる、珠玉のメッセージを受け取ってください!

1. はじめに

大学入試において重要なのは、言うまでもなく長文読解です。しかし、出題される英文のジャンルは無限にあるように思えるでしょうし、対策も指導者によって違ったり、正反対のことが言われたり、何より、入試の英文があまりに難しくて途方に暮れてしまう受験生はたくさんいます。
誰もが苦しむ長文対策に関して、現状のあれこれや世間で言われていること、多くの受験生、いや指導者までが勘違いしていることに対して、あれこれもの申したい英語講師が、ここで少し独自の分析結果を語ってみたいと思います。

少し長くなるので、ここで大事な結論を先に言っておくと…

・最近の入試問題は新しいものばかり!
・数年前の指導者の常識は通用しない!

…ということです。ではこれについて、そもそも入試の長文にどんな力が必要なのか、ということから始めて、色々と語っていきたいと思います。

2. 大学入試の長文に必要な力と受験生の現状

まずは大学入試の長文について、受験生に必要な前提事項をここで語ります。

2-1. 長文読解に必要な3つの知的作業

大学入試の長文問題を攻略するためには、3つの作業に分解するのが一番効率が良いというのが僕の考えです。

 <長文に必要な3つの知的作業>

  1. 一文をしっかり把握する「構文力」
  2. 英文の展開を理解する「読解力」
  3. 設問の狙いを見抜いて解く「解法力」

もちろん①の土台になるのが語彙・文法の力です。これは当然なので「長文」には含めません。2021年から始まった共通テストで文法問題が出題されていないので、文法軽視の風潮がありますが、僕はその考え方に大反対です。いわゆる「文法の4択問題」が出題されないだけであって、文法の知識は必要とされていますし、リスニングでも現在完了や副詞 almost の知識が問われる、ズバリ文法問題としか言いようがないものが出題されているので、文法の力は必要です。

長文の話に戻りましょう。構文力・読解力・解法力のどれも目新しいものではありません。しかしながらこの3つの力をしっかり意識して普段の学習をしたり、弱点分析をしたり、まして、明確な手順・ルールに則って「読み解き進めている」受験生はかなり少ないと思います。結局はその場しのぎの作業で乗り切ってしまっているのではないかと思います。

2-2. 現状の「長文対策の問題点」

そういった場当たり的な勉強では、「英語力の経験値」が蓄積されないので、そのままでは、世間でよく聞く「たくさん長文やってるんだけど、どうも伸びない」という状態になってしまうのです。
また、よく受験生から聞く「長文の出来に波がある」というのも、場当たり的な勉強が原因です。自分がよく知っているテーマなら、なんとなく単語をつなげて「読める→解ける→得点になる」のですが、そうでないと「読めない→解けない→得点にならない」ので、得点が安定しないだけなのです。

3. 最新入試の英語長文とは?

3-1. 長文指導の現状

受験生の中には20年近く前の教材を使用している人も少なくありません。その教材に収録された英文がさらにその5年前のものだとすれば(5年前のものなら新しい方で、10年前、20年前の英文を採用することはよくあります)、もう25年以上前に出題された英文で勉強していることになりますね。
もちろんそれが即アウトということはありません。言葉が15年で変わってしまうなら、みなさんは自分の親と会話が成り立たなくなってしまいます。ですから、その教材でも致命的なことはありません。
しかし実際、そういった教材で勉強している多くの受験生が、志望校の過去問を見たときは、かなり驚くでしょう。

「長すぎ」
「こんな最新の話題が出るの?」

こういった感想を持つでしょう。
いや、驚くだけならいいのですが、ショックや絶望感を味わうかもしれません。
そうなると、「自分には無理だ」と諦めてしまうケースも出てきてしまいます。

そうならないためにも、「入試の現状」を知っておくことが大事なのです。長文の勉強を始める時点で知っておく必要があります(実際に解けるかどうかは別ですし、最初から解けるわけがありませんので、そこは誤解しないようにしてください)。

ところが、この「長い・最新の英文が出る」という事実は、長文指導において強調されることがほとんどなかったと思います。僕は授業でも著書の中でもうるさく言うのですが、「そんなこと初めて聞いた」という声が圧倒的に多いのです(ほぼ全員だと思います)。
また、この事実に言及されたとしても、強調まではされないのです。
みなさんも、入試の講評や分析というものを目にしたことがあるかもしれません。そこで語られることと言えば、形式的なことが多く、「長文の語数」だとか「長文のテーマ」ばかりです。

形式に触れるだけでは受験生の心には届かないのです。「たまたま長かっただけ」「たまたまそのテーマが出ただけ」と考えてしまう受験生がいても無理はありません。
指導として大事なことは「こういった最新の英文が"毎年"必ず出るんだよ」「実際の入試問題は長いのだから、300語の長文をやるのは今はいいけど、それでそのまま入試対策になると思っちゃいけないよ」など、常に「実際の、最新の入試問題を照らし合わせて指導する」ことなのです。それがないので、普段の勉強から過去問に移るときに、あまりに大きなギャップに絶望してしまうのです。
これを読んでいるみなさんには、少なくとも今、僕がここで強調していますので、少しは心の準備ができるといいなあと思っています。

3-2. 昔は「定番の英文」が出た

古い話になりますが、僕の受験のころからは、当時の最新の英文(たとえば「地球温暖化」)の話が出る、と言われつつも、「入試定番の英文が出る」という発想が浸透していました。
たとえば「バーナード・ショー(Bernard Shaw)の英文は入試定番」と言われており、学校でも予備校でも、何人もの先生からそう言われました。
また、「この長文を過去に出した大学は7校あり…」といった、「入試定番英文」がもてはやされたり、それをウリにする指導もありました。でもこれは、あくまで昔の話なんです。

3-3. 今の入試では「定番の英文」が出ていない

そんな中、大学生のときから大学受験指導を始め、大学を卒業した講師1年目の1999年以降、毎年『全国大学入試問題正解』(旺文社)に収録されている入試問題をすべて読んで、解くのが、講師としての自分に課したノルマとなりました。

▼毎年刊行されている『全国大学入試問題正解』シリーズの〈英語編〉ラインナップ

この本は1冊には収まらないので、かつては2冊、今では5冊ほどあるわけですが、「これに載っている入試問題をすべて読んでいれば、日本に自分以上に入試問題に詳しい講師はいないはず(同じことをしている講師と「1位タイ」ならありえますが)」だと考え、常に最新の入試問題に触れています。

毎年の研究の中で、「定番の英文が出ているわけではなさそうだ」と、ぼんやりとは思っていたかもしれませんが、特にその視点だけで英文を読んでいたわけではないので、あまり気にしてはいませんでした。
そして、とある長文の問題集を出版する機会に恵まれ、その企画では「入試長文の全体像を少しでも掴める本」を目指すことになりました。そこで改めて、今度は「定番の英文を探す」という視点だけで入試の長文問題を読み返す作業を始めました。2015年の夏のことです。
そこで驚いたのが、もはや「定番の英文」など出ていないという事実です。いや、もちろんまったく出ていないということはありません。相も変わらず、昔からよくあるテーマも出てはいるのですが(特に言語論では古くからの定番がよく出ていました)、昔からの定番の英文が圧倒的に少なかったのです。
これは大学の偏差値・人気などは無関係でした。どの大学であれ、ことごとく「新しいテーマ・最新の英文」を出していたのです。

これには焦りました。定番の英文を探して本に載せるだけだと思っていたものが、全国の入試問題を読み込み、分析した上で全体像を示す、言ってみれば「受験生のための入試長文の地図」をゼロから作り上げないといけないからです。
その問題集は3冊のシリーズで、締め切りは5ヵ月後… 間に合うかどうか、軽く絶望を感じたのですが、最初に触れた「過去問を見たときの受験生の絶望」もこういったものと同じ、いや、もっと苦しいものなのだと思います。
ならば、少しでもその絶望感を取り除く本ができたら、それは受験生に有用なものになるという気持ちも芽生えました。「もしうまくいけば、新しいタイプの本であり、必ず受験生に役立つ」という希望を原動力に、その後の作業を進めました。

ラッキーだったのは、先ほども言いましたが、大学の偏差値などは関係なく、どの大学も同じジャンルの英文を出していたことです。もちろん英文の難易度は違うのですが、早稲田・慶應であろうが、そこまで難易度の高くない大学であろうが、「言語消滅」「宇宙ゴミ」「創造性」などのテーマは同じだったのです。
それに気づいたとき、「これこそが入試の全体像だ」という確信を得て、それをそのまま、その問題集の核としました。
これが『英語長文ポラリス』(KADOKAWA)という問題集です。

大学入試問題集 関正生の英語長文ポラリス[2 応用レベル] 大学入試問題集 関正生の英語長文ポラリス[2 応用レベル]
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大学入試問題集 関正生の英語長文ポラリス[2 応用レベル]
4.3
関正生/著
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この『ポラリス』は大変ありがたいことに、「1 標準レベル」「2 応用レベル」「3 発展レベル」の全レベルにおいて記録的な刊行部数を達成しており、今の受験生から完全に支持を得ております。
上に書いたような執筆背景を詳しく語ったことはないのですが、この背景は最新の入試事情を知る上で大事だと思ったのでこの場で説明させていただきました。今この記事を読んでくれている受験生、そして大学受験の指導者の方々の役に立つことがいくつかあればと思っております。

3-4. 「最新の英文」について

ズバリ言ってしまえば、「前年に出た英文が採用される」ことが非常に多いということです。2022年2月に行われた入試で言えば、その前年(2021年)の英文です。
昔と違って、入試問題での著作権への意識は強まっており、英文の出典を示す大学が増えてきました(僕の体感では6~7割の大学が示していると思います)。出典がある場合、その英文の元になった本・記事が世に出た年が示されることが多いので、受験生も自分の志望校の過去問を見ればすぐに見つかります。そこには驚くほど「2021年」のものが多いのです。
例を挙げるとキリがないので1つだけにしますが、2022年度入試の名古屋大学(前期試験)では長文が2題出ましたが、2題とも2021年の英文です。
また、前年ではなくても3年以内(2022年入試なら2019年~2021年の英文)の英文だけを出題する大学はいくつもあるのです。もはや10年前の英文というのは数えるほどであり、まして「古典的名著が出る」なんていうことは(ないことはありませんが)滅多になく、忙しい受験生のことを考えると、「もう出ないから、そういった英文は読まなくていい」とも言えるでしょう。
これは数年前からあった動きで、2020年の入試を例にしても、慶應大学(環境情報学部)では、すべて前年の2019年に発表された英文が使われ、早稲田大学(商学部)でも長文4題すべてが前年のものでした。

このように数年前から明確な変化があるにもかかわらず、このことが大々的に言われることは、僕の知る限りではないのです。もちろんどこかではあるかもしれませんが、受験指導の最前線にいる僕の耳に入ってこないのであれば、受験生はなおさらでしょう。ですからここでしつこく、このことを強調しておきたいと思います。

3-5. 入試の英文は世間の認識よりも「長い」

さて、受験生にとって大変なのは「最新」ということだけではありません。
今の入試の英文というのは「非常に長い」のです。なんとなく私立大学は長い英文を大量に読ませるイメージがあるかもしれませんが、私立に限らず国立大学でも同様です。『全国大学入試問題正解』(旺文社)に収録された大学の英語長文問題の語数平均は、私立大で591語、国立大ではなんと704語です。

指導者の間では、長文指導になると「語数切り」という発想がかなり浸透しています。これは「まずは300語の長文、次に500語と増やしていく。中堅大学なら500語まで対策をしておけばOK」というものです。
しかしそれを信じた受験生が過去問を見ると、今まで対策をしたことがない長さの英文がズラッと並んでいることになってしまうのです。

4. 入試英語長文の読み方・解き方の対策

4-1. 『The Rules 英語長文問題集』誕生の背景

「入試の長文は長い」に関連して自著で説明すると、この後に紹介する『The Rules 英語長文問題集』(旺文社)というシリーズでは、レベル1(入試基礎レベル)ですら、全12題の長文中、「約500語の長文」を3題、「約600語の長文」を2題採用しています。さらにレベル2(入試標準レベルで日東駒専志望者用)では「600語の長文」を3題、800語と900語の英文を1題ずつ収録しています。
このレベルの問題集でこれほど長い英文を収録することは、凝り固まった受験業界の常識ではありえないと思われそうですが、実際の入試に照らし合わせれば、ごく自然なことなのです。

関正生のThe Rules英語長文問題集1入試基礎 関正生のThe Rules英語長文問題集1入試基礎
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関正生のThe Rules英語長文問題集1入試基礎
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さて、この『The Rules』という問題集が生まれた背景を最後に語らせてください。先ほどの『英語長文ポラリス』(KADOKAWA)で僕なりの「入試長文の全体像」を世の中に示すことができたわけですが、『英語長文ポラリス』に入るための土台づくりというか、「本格的に入試の長文対策を始める」受験生が、読み方と解き方をじっくり学ぶ問題集の欠如に気づいた旺文社の編集部からの企画提案でした。言い換えれば、全体像は『英語長文ポラリス』で掴めるわけですが、各論というか土台を養成する問題集が世の受験生には必要であるという考えです。それを具現化したのが『The Rules』ということになります。

この記事の冒頭に挙げた、「得点が安定しない・波がある」原因は「なんとなく読み解く」ことなのですが、その「なんとなく読み解く」の対極にあるのが「確固たるルールに基づいて読み解く」ことです。
『The Rules』では、僕の30年ほどの英語講師としての経験から練り上げ、極限まで洗練させた法則を"RULE"としてまとめ、それを最新の英文で通用することを示すことにしました。
さらに言えば、本書のルールは、大学や英文のレベル・問題形式を問わず使えます。余談ですが、受験のその先、つまり、大学で論文を読み込むときや、大学卒業後のビジネス英語や洋書・英字新聞の購読でも再現性の高い、一生モノのルールだという自負があります。

4-2. 『The Rules』シリーズ4冊の位置づけ

レベル1(入試基礎)は「入試基礎レベル」、レベル2(入試標準)は「日東駒専レベル」、レベル3(入試難関)は「MARCH・国公立レベル」、レベル4(入試最難関)は「早慶上智以上のレベル」です。「4冊すべてやらないといけない」ということはありませんが、同じルールも出てくるので、2冊以上やると復習にもなって、相乗効果があります。
単語帳を1冊終わらせ、英文法が終わった段階で、いきなり過去問に入るのはかなり無理があるので、入試長文の始めとして活躍する問題集だと思っています。
また、受験生が実際に過去問に入ったものの、打ちのめされたときに、一度仕切り直して、「入試の長文の確固たる指針」を求める場合にも得るものがたくさんあるはずです。

5. 最後に

いずれにせよ、長々と説明してきましたが、今回は「実際の入試問題」というものを知ってほしいという願いがあります。そしてみなさんご自身の目で過去問をパラパラめくり、「ホントだ」と思っていただければ、無駄に驚かされることもなくなると思っています。
確かに長文は大変です。みんな焦ります。絶望します。でもこの記事を読んでくれたみなさんが少しでも長文対策の方向性を明確なものとして、その一歩を踏み出してくれるきっかけになればと願っております。ぜひ頑張って、志望校合格を勝ち取ってください。

関 正生 先生
1975年東京生まれ。埼玉県立浦和高校、慶應義塾大学文学部(英米文学専攻)卒業。TOEIC(R)L&Rテスト990点満点取得。現在はオンライン予備校『スタディサプリ』講師として、毎年、全国の中高生・大学受験生140万人以上に授業、全国放送CMで「英語の授業」を行う。著書に『英単語Stock3000』(文英堂)『真・英文法大全』(KADOKAWA)『サバイバル英文法』(NHK出版)『東大英語の核心』(研究社)など100冊以上。