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共通テスト「理科基礎」はどれを選ぶ? 各科目の特徴とおすすめ組み合わせ4パターン

2021.08.24

国公立大学の文系学部受験生の多くが受験する、「共通テスト:理科(1)」の「基礎」付き理科4科目。いわゆる「理科基礎」科目と呼ばれる「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」、それぞれの出題内容と特徴を紹介します。
暗記量や計算量に注目して、2科目選択の組み合わせ・おすすめ4パターンについても解説。自分に合った科目を選択するために、ぜひ参考にしてください!

1. 共通テスト「理科基礎」科目の特徴

1-1. 「理科基礎」どんな科目?

理科基礎と呼ばれる科目は「生物基礎」「化学基礎」「地学基礎」「物理基礎」の4種類あり、理系の理科科目の基礎的な部分のみから出題されます。共通テストでは「理科(1)」という教科名で、国公立大学の文系学部を受験する人は、理科基礎から2科目を選択し受験することが多くなっています。
試験時間は2科目合わせて60分で、60分をどのように配分して解答時間に充てるかは、受験生が個人で決めることができます。
配点は1科目50点で、2科目合計で100点になります。各大学の二次試験と共通テストの配点割合にもよりますが、これは全体の比重から考えると、それほど大きな数字ではありません。しかし「理科基礎」科目は出題範囲が狭く、他の共通テスト科目と比べると対策に時間がかからず満点が狙いやすい科目なので、共通テストで高得点率を狙う受験生にとって、大きな失点は避けたいところです。
「理科基礎」科目の出題内容としては、高校の授業で学習する教科書の範囲が中心で、文系受験生にとっても理解しやすい項目が多いのが特徴です。

1-2. 対策を始める時期と勉強の進め方

「理科基礎」は「英語」や「世界史」「日本史」などと異なり、比較的短時間の対策で高得点が狙える科目と言えます。他の科目に勉強時間を割かなければならない受験生にとって、「理科基礎」の対策に長期間じっくりと打ち込む余裕はないかもしれません。受験前の冬までに週1回程度の頻度で触れておき、共通テスト直前に一気に仕上げるという戦略を取ることも可能です。
一方、始めから独学で理解するのは時間のロスにも繋がるので、特別な理由がある場合を除き、学校の授業を受けたことのある科目を選択し、内容を復習しつつ共通テスト対策に臨むことをおすすめします
また、複数の参考書を使って学習するよりも、教科書と共通テスト対応の問題集1冊を使い、繰り返し問題を解きながら、必修項目を教科書で確認するというやり方が一番シンプルで効率的です。
理科基礎科目の一般的な対策方法をまとめておきましょう。

  1. 冬までは週1回程度で問題を解くなどして軽く触れておく。
  2. 共通テスト受験直前に、問題集と教科書、過去問で一気に仕上げる。

こちらの記事では理科基礎対策におすすめな参考書を紹介しています。参考書選びに困ったらこちらも合わせて読んでみてください。
>>【共通テスト】理科基礎科目の勉強におすすめの参考書・問題集を紹介!

2. 共通テスト「理科基礎」は何を選べばよい?~各科目の内容と特徴~

4つある理科基礎科目の中から、どのように2科目を選択すれば良いでしょうか。この章ではまず、各科目の出題内容や特徴を簡単に紹介します。

2-1. 生物基礎

生物基礎は大きく分けて5つの単元があります。細胞やエネルギー変換といった「生物の特徴」を学ぶ単元、「DNAや遺伝子」に関する単元、ホルモンや免疫などの「体内環境」の単元、「植生」に関する単元、「環境保全」に関する単元といったように、細胞の内部から植生の変化まで幅広いトピックが扱われます。
これらの学習内容は暗記事項がほとんどの割合を占めるため、暗記が得意な人におすすめです。ただ「酸素解離曲線」の問題や「尿の生成」についての計算など、計算問題もゼロではありません。全体的に扱われる内容が幅広いため、どの単元から出題されても良いように満遍なく理解する必要があります。暗記項目に抜けがないか、理解ができているかを確認しつつ問題を繰り返し解きましょう。
なお4科目の中で最も受験者数が多い人気の科目です

2-2. 化学基礎

化学基礎は大きく分けて「物質の構成」と「物質の変化」という2つの単元で構成されています。「物質の構成」には原子の構造やイオン結合・金属結合・共有結合といった「化学結合」などが扱われ、また「物質の変化」については物質量や化学反応式、酸化還元反応などが取り扱われます。
化学基礎は「炎色反応」「元素」など覚えなければならない事項も多少ありますが、「mol」という単位を用いた計算など理解が必要な科目であり、内容を理解した上で計算式を運用するのが得意な人におすすめです。
受験者数は生物基礎に次いで2番目に多くなっています

2-3. 地学基礎

地学基礎は地球に関する事柄を学習する科目で、「宇宙における地球」と「地球の変動」という2つの単元があります。「宇宙における地球」では惑星や宇宙の構成などについて取り上げられ、「地球の変動」では地形や地層、古代の生物や海洋と大気の循環などが扱われます。
距離の計算や地震に関する計算など、特に単位や桁に気を付けなければならない計算問題もありますが、地学基礎も生物基礎と同じように幅広いトピックを扱う暗記中心の科目です。地球規模や宇宙規模での内容など想像しにくい考え方が出てくるので、図を描くなどして自分の中でイメージを掴めるようにする必要があります。また、地形に関する項目では「地理B」の地形環境と多少近い部分もあります。

2-4. 物理基礎

物理基礎では物体の運動やエネルギー、熱・波・電気などに関する物理現象やエネルギーの活用について取り扱われます。理科基礎4科目の中で最も計算量が多いと言われ、公式の理解と式を使った計算力が必要になります。反対に暗記する量は一番少ないので、暗記よりも計算で勝負したいという人におすすめです
また、受験者数が最も少ないため、物理基礎のみが難化した場合のリスクにも注意したいところです。

3. 理科基礎のおすすめ組み合わせ4パターン

3-1. 暗記と計算のバランス型〈1〉化学基礎と生物基礎

文系受験生にとって最もメジャーな選択の組み合わせが、〈化学基礎と生物基礎〉です
計算重視の化学基礎と、暗記重視の生物基礎を組み合わせることで、暗記ばかり・計算ばかりという負担を軽減することができます。科目の内容的に好き嫌いの項目があまりなく、計算・暗記のどちらかが特に得意というわけでもなければ、この組み合わせがおすすめです。

3-2. 暗記と計算のバランス型〈2〉化学基礎と地学基礎

〈化学基礎と生物基礎〉の組み合わせと同様に、計算力中心の科目と暗記中心の科目の組み合わせです。暗記と計算のどちらか一方が得意・不得意というわけでもなく、バランスをとって勉強したい人におすすめです。
特に生物基礎の内容が苦手だという人や、暗記中心は1科目に抑え、さらに地学基礎の内容に興味があるような場合にはぴったりです。 

3-3. 暗記重視!生物基礎と地学基礎

計算が苦手で暗記中心に頑張りたいという人におすすめなのが、〈生物基礎と地学基礎〉の組み合わせです。どちらの科目も計算問題は少ししかなく、対策としては「理解して暗記する」ことが中心になるので、計算力ではなく暗記力中心で対応可能です。
ただ、暗記しなければならないことが多いので、記憶のメンテナンスが必須です。特に生物基礎の「バイオーム」の図や、地学基礎の地質年代と出来事・動植物の対応など、複数の項目が関係するものは覚える量が多く大変なので、繰り返し問題を解き、随時抜け落ちがないかを確認しましょう。

3-4. 計算勝負!物理基礎と化学基礎

2科目とも計算と理解を重視して対策する必要がある〈物理基礎と化学基礎〉の組み合わせです。暗記がとても苦手、もしくは他の科目の暗記で精一杯という人や、計算力に自信があるという人におすすめです。
ただし、根本的な理解ができていないと全く点数が取れないという事態に陥るリスクもあるので、確実に理解して考える力を2科目ともにつけなければなりません。その分、一度理解してしまえば暗記した項目を忘れないようにするという労力は省けます。

4. まとめ

理科基礎4科目の出題内容と特徴、おすすめの組み合わせを簡単にまとめます。

  • ・生物基礎:細胞から植生まで幅広い範囲の内容。暗記量が最も多い。
  • ・化学基礎:化学反応式など物質の構成、変化に関わる内容。計算が多い。
  • ・地学基礎:宇宙や大気など地球に関する内容。暗記が中心。
  • ・物理基礎:エネルギーや運動についての内容。計算量がもっとも多い。

《おすすめ組み合わせ4パターン》

  • ・暗記・計算バランス型で一番多い組み合わせの〈化学基礎と生物基礎〉
  • ・暗記・計算バランス型の〈化学基礎と地学基礎〉
  • ・暗記重視の〈生物基礎と地学基礎〉
  • ・計算重視の〈化学基礎と物理基礎〉

受験科目の多い「共通テスト」。——特に文系受験生にとって、「理科基礎」は比較的短期間で高得点が狙える科目です。
各科目の特徴を理解して自分に合った科目を選択し、ライバルたちに1点でも差をつけられるようにしましょう。

StudiCoサポーター Y.T.
お茶の水女子大学 文教育学部合格、早稲田大学 文学部合格、明治大学 文学部合格、津田塾大学 学芸学部合格