高校で学習する内容は履修範囲が広く、授業のペースも中学校の時より速いことが一般的です。学校でも「予習→授業→復習」の勉強サイクルについて、必要性が説かれているのではないでしょうか。
この記事では、StudiCo大学生サポーター4人に「高校時代、どのように予習復習をおこなっていたか」を調査した上で、おすすめの予習・復習法を紹介します。学校の授業を効率的に受講し、定期テストでの高得点や志望校合格をめざすため、自分なりの〈予習・復習法〉を確立しましょう。
1. 全科目共通!「予習・復習」の目的
1-1. 「予習」の目的
「予習」には主に以下の2つの目的があります。
- 授業で聞くべきポイントを明確にする
- 授業で反復的に学習する
まず、「(1)授業で聞くべきポイントを明確にする」ことのメリットは、ハイレベルかつハイペースで進む高校の授業についていけるように「準備ができる」ことです。予習の時点でわからない点を明確にしておくと、授業の中で注意して聞くべき内容を整理しておくことができるので、「いつの間にか苦手分野ができてしまう」ことを防げます。
また、英語や古典などの科目においては、予習段階において日本語訳・現代語訳をしていないと授業についていけない場合もあります。中学生の時は授業中だけの学習で成り立っていたかもしれませんが、高校生になってからはそれだと厳しくなるでしょう。
次に「(2)授業で反復的に学習する」メリットについてです。一度予習をして内容を押さえておくと、授業が2度目の学習となります。学習範囲が広い高校での学びにおいて、「反復学習で記憶の定着を図る」ことは成績アップの鍵となります。
1-2. 「復習」の目的
(Wikipedia「忘却曲線」記事より転載)
復習の目的はやはり、「授業内容の定着」です。
「エビングハウスの忘却曲線」を知っていますか?一度覚えた情報を再度記憶するまでの時間が、経過する期間によってどのように変化するか調べた実験の記録です。この「忘却曲線」の理論を応用することにより、人が一度学習したことは、24時間以内、7日後と復習を重ねていくことで、記憶定着に効果的と実証されています。
履修範囲の広い高校の学習では知識の積み重ねが重要になってくるので、ただ「授業を受ける」だけでは、いずれ授業についていけなくなってしまいます。復習を通して「授業内容の定着」を図りましょう。
次章からは、おすすめの予習・復習法を科目別に紹介します。
各科目のおすすめ勉強法をレクチャーしますが、全教科の予習・復習を毎日こなすことは難しいでしょう。大事なことはあくまで「継続すること」なので、「好きな科目なので勉強に取り掛かるモチベーションになる」「苦手意識があって授業についていく自信がない」など、自分の適性や状況に応じて、まずは予習・復習が必要だと思う科目から取り組んでみましょう。
「勉強のしかた」を学び、それを「続けること」を意識しながら、自分に置き換えた上で予習・復習のイメージを膨らませてみてください。
2. 「英語」の予習・復習法
2-1. 「英語」の予習法
(1)「効率重視」パターン:単語の意味を調べ、文章の内容をおおまかに理解する
予習してきたことを授業で確認し、疑問点を解消していくといった勉強法です。
予習をする中で見つかった疑問点を、ノートにメモしたり、付箋等で印をつけておいたりすることで、自分がつまずいた点を明確にしておくことがポイントです。授業では、予習のうちに見つけておいた「わからなかったことや気がつかなかったこと」を書き込んでいきましょう。
(2)「英語力徹底強化」パターン:教科書本文の全訳
教科書の英文をノートの左ページに写し、右ページに対応する和訳を書き込む方法です。高校で勉強する内容は量が多いので予習に時間がかかりますが、うまく和訳ができないところを明確にしておくことで、授業中に注意して聞くべき部分にピントを合わせておくことができます。
また、予習と授業を通して重要事項を書き込んだノートを完成させれば、1冊のノートで復習ができて便利です。
2-2. 「英語」の復習法
予習時に見つけた疑問点を自分で説明できるまで見直したり、知らなかった単語を覚えたりすることが有効です。英語の予習・復習に時間をかけられない場合は、英単語を頭に入れるだけでも成績が上がります。時間に余裕がある場合は、教科書の本文を、日本語訳を思い浮かべながら音読することで、読解スピードの向上が期待できるので試してみましょう。
また、「英語の綴りや表現を覚えるために文章を何度もノートに書き写す」という勉強法もありますが、高校英語は全体的に文章が長く、何度も取り組むには時間がかかります。自分の英語力のレベルと目的に合った勉強法を意識しましょう。
3. 「数学」の予習・復習
3-1. 「数学」の予習法
教科書を読んで「これから何を学習するか」ということを頭に入れる程度でもよいでしょう。予習にはそこまで時間をかけず、その分復習に時間を使い、実践力を高めることが重要です。
3-2. 「数学」の復習法
数学の授業は特に、日々の復習をおろそかにすると授業についていけなくなり、途中で挽回するのがとても大変になる科目です。授業で扱った問題や類題を使って、まずは「公式を使いこなす」ということを目標にしてみましょう。
また、定期テスト前などに一気に問題演習をこなそうと思っても時間がかかるので、毎日少しずつ数学の勉強を習慣づけて、記憶が新しいうちに演習に取り組むようにしましょう。
4. 「国語」の予習・復習
4-1. 「現代文」の予習法
まず授業前に「取り上げられる文章を事前に自分で読んでみる」ことが重要です。「大体こんなことを言っているな」と漠然とでも良いので解釈し、それに対する自分の意見も考えてみるようにしましょう。
また、予習で文章を読んでいて重要だと感じた部分には印をつけておき、授業内でそこが本当に重要なのか確認することも有効です。
現代文は予習として事前に課題文を読んでおくことで、授業で「自分の読み方が正しかったのか」を確認できるので、ぜひ実践してみてください。
4-2. 「現代文」の復習法
習った語彙や文法を復習し、次の授業に備えて文章の筋を見直すことに取り組んでみてください。
定期テスト前は暗記するくらいの勢いで何度も文章を読み、漢字は何度も書いて定着させるなど、「毎日少しずつコツコツ積み重ねる」ということを意識しましょう。
4-3. 「古典」の予習法
古典についても、まずは一度全体を読んでみて「文章の大意をつかむ」予習をしてみましょう。現代語訳する中で、分からなかった単語やうまく訳せなかった部分については、単語帳や文法書で調べるなど、自分でできる範囲で「文章を解釈する」予習法を習慣にしておくことで、古文や漢文の読解力を伸ばすことができます。
授業では意味の取り違えがなかったかを確認し、自分が知らなかった情報などを予習のメモと一緒に書いておくと、後から復習がしやすくなるでしょう。また、古文でカギになる助動詞を意識して解釈する、難解な部分を分解して訳すなどの練習をしておくと、時間短縮になるだけではなく、試験本番での問題の解き方を習慣づけることができます。
4-4. 「古典」の復習法
予習のメモと授業中のメモを読み返し、もう一度文章を読んでみましょう。古文単語や漢文の句法・句形はワークなどを使って練習問題を解き、使い方を定着させることが重要です。
5. 「理科基礎」科目の予習・復習
5-1. 「理科基礎」科目の予習法
暗記がメインの科目なので、予習で不明点を明らかにするというより、復習に重きをおいた方がベターでしょう。学校で課される予習課題等がある場合はそれに取り組む程度にしておき、復習を見据え、授業中に重要な語句や図などに印をつけておくと効率よく学習できます。
5-2. 「理科基礎」科目の復習法
「教科書やノートを繰り返し読む」という復習法がおすすめです。また、定期テスト前にはワークで問題演習をこなし、定期テストの返却後には解き直しもおこなってみてください。
「理科基礎」科目は大学受験で大きな得点源にはなりにくいですが、高得点であれば総合的な成績の安定に繋がります。復習をする機会を多くつくり、その都度間違えた点を重点的に見直して同じミスを重ねないようにしましょう。
6. 「理科」の予習・復習
6-1. 「理科」の予習法
理科基礎科目と同様、復習に重きを置いた方がベターでしょう。
6-2. 「理科」の復習法
授業で扱った問題の解き直しを中心に演習を重ねることが重要です。公式の丸暗記だけでは、複雑な条件が設定されている問題に対応するのが難しいです。
「化学」「生物」では暗記するべき内容が多いため、試験日から余裕をもって計画的に勉強することをおすすめします。計算問題は配点が高くなることが多いため、十分に対策しましょう。
「物理」では暗記事項は少ないですが、他の「理科」科目に比べて問題の難度が高い傾向にあります。公式が成立した背景までを理解することが重要になるため、公式を適切に使えるようになるまで問題集などで練習しましょう。
7. 「地歴・公民」の予習・復習
7-1. 「地歴・公民」の予習法
まずは教科書をざっと読むようにしましょう。予習中や授業中のノートやプリントに重要語句をオレンジや赤の色ペンで書き込むと、赤シートで文字が消えるので便利です。
7-2. 「地歴・公民」の復習法
地歴・公民科目の復習には様々な方法があります。
・まとめ直し
・オレンジペンや赤シートの利用
・科目ごとに教材を組み合わせる
・漢字ミスを防ぐために書いて勉強する
授業中に取るノートは、「復習する時に見やすいこと」「授業で聞いた話を再現できること」を目的とするとよいです。教科書には載っていない先生の小話(内容に関係するもの)もメモしておき、復習の際はノートで授業の流れをもう一度思い出し、知識を定着させましょう。また、それらのメモをまとめ直して、新たに1冊のノートを作成する、ノートや授業プリントを繰り返し読むといったアプローチもおすすめです。
なお、ノートへの書き込みはオレンジペンを使い、赤シートで隠しながら暗記していくことも、オーソドックスながら便利な勉強法といえます。このほか各科目に共通していることは、テストでの漢字ミスを防ぐためにも「ペンを動かして勉強する」のが大事ということです。
一方で、「世界史」は位置関係と人間関係が複雑なため常に資料集もあわせて勉強したり、「日本史」は年代の組み替えができるように年表を参照しながら勉強したりと、科目に合わせた復習法を意識することも忘れないようにしましょう。
8. まとめ
高校生の勉強において「予習」をする目的は、「授業で聞くべきポイントを明確にする」「授業で反復的に学習する」ことの2つでした。一方、「復習」の目的は「授業内容を定着させる」ことです。
どちらにも共通して言えることは、それぞれの「学習の目的」をしっかり意識して、着実に成果を上げられる勉強を「続ける」ということです。
各科目で紹介した予習・復習の方法を参考にしながら自分なりの勉強法を確立し、ぜひ成績・実力がレベルアップする体験を味わってくださいね。