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大学入試の「指定校推薦」とは?推薦獲得を目指す上での注意点から対策のポイントまで

2024.03.07

年々多様化している大学の入試方式。特に私立大学では入学者の4割近くを占めているのが、「学校推薦型」と呼ばれる入試方式で、その増加要因とされているのが「指定校推薦」枠の広がりです。(※)
ただし、学校や地域によってその仕組みが異なることもあり、意外と指定校推薦入試の実態は知られていません。
高校生の時に学んだ経験から大学入学以降のビジョンを描き、指定校推薦で進学を決めた私自身の体験を基に、指定校推薦入試の仕組みや注意すべき点などを紹介します。成績評価で重要になる定期テストに向けた対策のポイントについても、ぜひ参考にしてください!
(StudiCoサポーターY.I.)

※参考情報 >> 旺文社教育情報センター「大学入試 ”超安全志向“の裏側で指定校からの入学者が増加!」

1. 大学入試の「指定校推薦」とは

指定校推薦入試とは、簡単に言ってしまえば高校と大学の約束の下におこなわれる受験方式です。大学側が約束を結んだ高校を「指定校」と定義するため「指定校推薦」と呼ばれます。
大学側が設ける指定校の枠数(入学者数)は各高校によって決まっているため、校内選考をする必要があります。校内選考とは高校の3年間の評定平均を基に、より成績の良い生徒を推薦するための手続きです。この選考は高校3年生の10月頃には決まり、大学によっては11月~12月に面接がおこなわれます。

2. 他の入試方式との違い

指定校推薦型入試の他に、大学入試の方式として(1)一般選抜(2)総合型選抜(3)公募制推薦選抜の3つが挙げられます。

2-1. 一般選抜

一般選抜では、大学入試センターの実施する共通テストや大学指定のテストを受験し、その点数で合否が決まります。
指定校推薦と異なる点は、高校の成績を問われないところです。特に私立大学は、得意な科目のみで勝負することができます。また、最終的に進学先が決まるのは2~3月頃が多くなっています。

2-2.  総合型選抜(旧AO入試)

総合型選抜では、一般的に成績や面接・小論文などを通して、大学側が求める学生像かを判断します。合否が決まる時期は大学によってさまざまですが、一般選抜よりは早く決まるところが多くなっています。
指定校推薦と異なる点は、学術試験の点数よりも受験生の個性や能力に焦点を当てているところです。

2-3. 学校型推薦選抜/公募制

学校推薦型選抜には、「公募制」と「指定校制」の2つの制度があります。
公募制では評定や資格といった大学の出願条件を満たし、在籍校の校長が推薦した生徒の受験が可能です。出願者の人数制限は無いため、各高校の受験枠数を気にする必要がありません。試験内容は大学によって異なりますが、一般的に成績や面接、小論文で判断されます。
指定校推薦と異なる点は主に2つあります。1つ目は高校が指定校でなくても受験が可能であること。2つ目は指定校推薦のない国公立大学にも出願が可能ということです。
合否が決まる時期は総合型選抜と同様に一般選抜よりも早い大学が多いです。

3. 指定校推薦のメリット・デメリットや注意点

実際に指定校推薦で入学を決めた私の経験を基に、指定校推薦入試のメリットやデメリットだと思う点や、対策を進める上での注意点などを解説します。

3-1. 指定校推薦のメリット・デメリット

指定校推薦入試のメリットとして挙げられるのは、以下の点です。

  1. 早めに受験が終わる
  2. 試験内容は一般選抜よりも難易度が低いことが多い

入試の時期が一般選抜よりも早いため対策も早期に始める必要がありますが、出願条件を獲得できれば、入試そのものにかかる負担は一般選抜よりも軽いと言えます。

一方で、デメリットと思われる部分は以下のポイントです。

  1. 高校の成績を高い水準で保つ必要がある
  2. 併願が難しい

評定平均を一定以上取得しなければ出願条件に届かないため、求められる学力は当然シビアとなります。

また、高校と大学との“決まりごと”で成り立つ入試方式であるため、条件をクリアしていざ出願となった場合、基本的には他の入試方式と併願することは難しくなります。

3-2. 指定校推薦の注意点

指定校推薦での受験を目指す上では、いくつか気を付けておいた方が良いことがあります。

(1)希望する大学の推薦枠が必ずあるわけではない
指定校推薦の枠は毎年変わる場合があります。そのため通っている高校に自分が希望する大学の指定校枠が過去にあったとしても、自分が受験する年にはないこともあります。

(2)指定校推薦だけを考えるのは危険
指定校推薦の校内選考が決まるのは高校3年生の10月頃です。校内選考に落ちた場合、他の指定校枠の2次選考を受けることもできますが、自分が希望する大学・学部学科は残っていないこともあります。

(3)判断基準が評定だけではないこともある
私が通っていた高校では校内選考で指定校枠数以上の生徒が推薦を希望する場合に、評定だけでなく学校独自模試の結果が判断材料として使われていました。校内選考についてはあらかじめ学校側から説明があるはずなので、何を使って判断するのか注意して聞いておきましょう。

(4)科目の評定ラインを指定される場合がある
指定校枠によっては科目の評定基準を大学側から指定されることがあります。例えば私は理系の学部・学科を希望しましたが、「物理化学を選択し、なおかつ成績が4以上の者」と指定されていました。このような基準は指定校枠発表まではわからないので、主要科目の評定は最低でも4以上は取っておかなくてはなりませんでした。

4. 実際の成績例

私は、高校生の時に工業を学んだ経験から「技術と経営を双方の側面からつなぐ研究をしたい」と思うようになり、それを実現できるような大学・学部を志望しました。
指定校推薦での受験を決めたのは高校3年生時ですが、参考までに、高校時代の私の成績情報を紹介します。

下の表は私の学年別の評定平均とその時のクラス成績順位です。

学年 平均評定 クラス順位
1年 4.46 8
2年 4.71 2
3年 4.80 1
3年 4.65 発表なし

上の表はあくまでも一例で、高校によって成績の基準は異なります。(私と同じ進学先の指定校推薦を獲得した生徒の中には、平均評定が4.7の人や4.0の人もいました)
注目してほしいのは自分の成績が学年で何位ぐらいかということです。私の高校では学年順位は発表されなかったので正確にはわかりませんが、指定校推薦を目指すにあたっては、目安として20位~15位以上に入ると安心かと思います
学年が上がると一般選抜対策のため高校の成績を落としてしまう生徒もいるため、自然と順位が上がることもあります。しかし、指定校推薦を希望する生徒同士ではかなり高レベルでの競争になるので、気を抜かずに引き続き良い成績を取れるよう努力しました。

5. 指定校推薦獲得を目指す対策のポイント

高い評定平均をキープするには科目のバランスが重要です。得意な科目だけで良い成績を取っても、苦手な科目の評定が低ければ足を引っ張られてしまいます。
全ての科目でまんべんなく良い成績を取るために、私が実践していた勉強のポイントを5つ紹介します。

5-1.  各科目の計画を早く立てる

私は高校の定期テストに向けて、科目別にどんな問題が出やすいか、どれくらいの勉強量で高得点が取れそうかを考えて、テストの1カ月ほど前から必ず勉強の計画を立てていました。
計画の立て方として数学を例に挙げます。
まず定期テストの難易度を問題集の応用問題レベルまでと考えた場合、試験日までに「範囲内の基礎問題から応用問題を3周すれば十分」とします。その上で、他の科目とのバランスを考えて「1ヶ月で終わらせるには1周に何日かけられるか」というように逆算して計画を立てていきます。この時学校の授業があまり進んでいないようであれば、試験範囲を予想して教科書内容を予習しておくと後で楽だと思います。
また、成績の付け方に関する説明は、提出物や小テストの成績換算の割合、定期テストで自分がどれくらいの点数を取ればよいかをしっかり聞いておきましょう。説明がない場合は、先生に「指定校推薦を考えている」と相談してしまうのも手です。

5-2.  定期テストの過去問を手に入れる

テスト勉強に最も有効な対策は定期テストの過去問演習です。できれば自分が授業を受けている先生の過去問を入手してください。過去問には先生が出しやすい問題の系統や難易度など、多くの情報が詰まっています。部活の先輩など、上級生にお願いするのが良いと思います。
注意してほしいのが、過去問を解くタイミングです。決してテスト直前の確認用ではなく、入手できたら早く問題を解いて、解いた上で勉強を進めるようにしてください。私もテスト直前に確認用として解いたことがあるのですが、自分が想定していた問題が出ておらず慌てて勉強し直した経験があります。
過去問の価値を最大限に発揮するためにも、できるだけ早い段階で解いておきましょう。勉強してから出題傾向を知るより、傾向を押さえてから重要ポイントを勉強していく方が効率的です。

5-3. 暗記科目の勉強時間を習慣化する

定期テストは科目が多いため暗記が重要になります。部活などで十分な時間を取れないこともあると思いますが、その時工夫してほしいのが「勉強時間」です。
暗記科目は夜にインプット、朝にアウトプットすると記憶に定着しやすいと言われています。私は夜寝る2時間前に社会系や副科目といった暗記科目を勉強し、朝の電車時間に暗記用アプリで復習していました。寝る前に暗記科目をやって電車で暗記アプリを開くという流れを習慣化してしまえば、他の時間を演習に当てることができるのでおすすめです。
また、単なる一問一答形式で覚えるのではなく、自分で問題を作ってみるのも良いと思います。

5-4. 苦手なところをメモに残して試験直前にチェックする

私は勉強をする中でいつも間違える、忘れてしまうポイントを、科目問わず1冊のノートにメモしていました。テストの直前にそれらに目を通し、改めて自分に注意喚起することでミスを防ぐようにしていました。

【例】化学:単位変換の計算ミスに注意

*「間違いノート」の作り方については、こちらの記事もぜひ参照してください。
>> 間違いノートで効率的に勉強しよう ~ミスを次に活かすノートの作り方と活用方法~

5-5. 定期テストの結果を振り返る

定期テストが返ってきたら必ず振り返りをしておきましょう。
点数が悪かった場合は、その原因と次回への対策や次のテストで取るべき点数といった目標を考えます。
逆に良かった場合も、何が良かったのかを考え計画を立てる際や次の試験に役立てるようにしましょう。

【例】結果:化学が7割しか取れなかった 
→原因:時間がなくて演習不足 
→対策:次は1カ月前から勉強を始める
→目標:得点9割

6. 指定校推薦で入学しても大学の勉強についていける?

指定校推薦で入学した場合、「大学の勉強についていけるか」といった不安があるかもしれません。1年間大学に通ってみた私の経験としては、大学での成績に入試方式は関係していないと感じています。
指定校推薦で入学した人の中には高校と同様に良い成績を取るために勉強する人もいれば、あまり勉強をせずに単位を落とす人もいます。一般選抜で入学した人も同様に千差万別です。
指定校推薦で大学が決まったけれど周りについていけるか不安という場合も、高校と同じようにコツコツと勉強を続けられれば大丈夫です。

7. まとめ

大学入試の「指定校推薦」について、その仕組みや気を付けておくべきことを、実際の経験を基に解説しました。指定校推薦を考えていない人でも高校の成績を高く保つことは、総合型選抜や公募制推薦など受験の幅が広がります。大学入試が多様化する昨今、さまざまな受験の選択肢を持っておくことは、将来の成功にも大きく影響するはずです。

この機会に、自分の通っている高校が過去にどんな指定校枠を持っていたかなど、先生に聞いてみてはいかがでしょう。

StudiCoサポーター Y.I.
東京理科大学 経営部 合格