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【大学生活】現役大学生の「時間割」を大公開!~高校とは全然違う?大学での“学び方”~

2022.10.27

大学生活で最も重要となるのが普段受講する「授業」。高校生までの時間割は一律で決まっていますが、大学生は自分で一から時間割を作ります。
授業や時間割の内容は大学や学部によってもさまざまで、比べてみるとどれも個性的で面白そう!時間割作成のポイントとあわせて、履修時期に応じた具体的な時間割例も紹介しますので、将来の大学生活をイメージする際の参考にしてみてください。

1. 時間割を作る際のポイント

1-1. 「必修>選択必修>自由選択」の順に決めるのが王道

大学には所属する学部・学科、専攻によって履修が必須となる授業科目と、必要な単位(※1)数だけが決まっていて選択が可能な科目や、完全に自分の希望で受講することのできる授業があります。
必修科目の授業は基本的に、受講できるタイミングでなるべく早く履修するのがスタンダード。他に履修したい科目との兼ね合いもありますが、必ず単位を取らなくてはならないためできるかぎり優先して受講する学生が多いです。また履修できる学年が限られている授業もたくさんあり、「必修科目の履修年度」を確認することも必要になります。大学に入学したら、同じ学科の先輩に確認してみてくださいね。
単位を落としてしまう(※2)と留年の学部もあれば、卒業までに必修授業を取り終えればよい学部もあります。大学に入ったらまず、自分の所属する学部・学科の履修の組み方を理解する必要があります。
※1 大学では授業を履修し、一定以上の基準を満たして成績を修めると単位がもらえます。大学では取得した単位数が卒業や進級に深く関わってきます。
※2 履修した授業科目で評定が不十分となり、定められた単位数が取得できなくなること

1-2. 授業のカタログ「シラバス」を読もう!

どんな授業が開講されているのか、授業名・担当教員名・講義の目的や計画などが記されているのが、「シラバス」です。眺めてみると、大学では実に多種多様な分野の授業が展開されていることがわかります。実際に受講するかどうかは別として、自分の学部以外でも興味のアンテナに引っかかる講義テーマがあるかどうか調べてみましょう。中には有名教授の授業などもあり、大学の学術機関としての価値を改めて認識できるでしょう。
さらにシラバスには授業内容だけではなく、評定についても記載があります。成績によって単位が与えられるかが決まるので、評価基準は気になるところ。出席点と期末の試験やレポートとの比率などを把握してから授業をとるのも、うまく大学生活を送る上での作戦のひとつです。授業内容ばかり重視して選択すると、期末のレポートがたくさんあって大変だった…なんてことになるかもしれません。
また授業が対面なのかオンラインなのかも重要です。自分のスケジュールや体力と相談しながら時間割を組む必要があります。
なお、隔年開講の授業や、夏休みや春休みに短期集中型で開講する授業など、少し特殊な動きのある授業もあります。取りたい授業を取れるように、入学時に大学卒業までの履修計画をざっくりと立てることをおすすめします。

1-3. 先着・抽選がある人気授業も

大学の授業には「先着順」「抽選」で履修者を決める科目があります。主に人気の授業や少人数で実施する授業などが対象となり、高校までとは違って、自分が履修したいと思った授業を必ずしも履修できるとは限らないケースがあります。
初めに時間割を組んだ時に第1希望、第2希望…と順位付けしておくと良いでしょう。
また抽選スケジュールにも注意が必要です。後期の科目でも前期の間に抽選がおこなわれることがあります。
受けておきたい人気教授の授業、名物講義のチェックと履修申し込みはお

2. 【学年別】大学生の具体的な時間割例

2-1. 大学1年生の時間割例

〜Y.Tさん(お茶の水女子大学 文教育学部)の例〜

 
1限     LA心理学    
2限 LA演習
日本語教育
基礎中国語 LA思考力 基礎英語  
3限 スポーツ健康実習
(体育)
    基礎中国語 中国古典文学史
(先秦~唐)
4限 情報処理演習 日本語文章表現論 日本語学通論 日本文学概説 日本古典文学史論
(上代)
5限     LA大学論    

※LA:リベラルアーツ科目。自分の専門とは関係なく受講できる教養科目。

〈時間割の特徴〉
1年生のうちにLA科目を多く受講していました。(自分の興味の赴くまま!)
1年生なので必修が多いのが特徴です。
・必修:「スポーツ健康実習」「情報処理演習」「基礎英語」「日本古典文学史論」など
・2年次までの選択必修:「日本文学概説」「中国古典文学史」など
言語文化学科なので外国語で20単位取る必要があり、1・2年生の時は外国語が占める割合が大きくなっています。
なお、教職(教員免許)などの資格はとっていません。

〈お気に入り授業〉
・水曜5限の「大学論」はOGの講演が聞ける科目で、卒業後研究者として活躍している方や民間企業に勤めている方などの興味深いお話を聞くことができ、自分のキャリアについて考えるきっかけになりました。
・LA演習「日本語教育」は1・2年生のうちに一度だけ履修できる、各授業履修者が10人以下程度の少人数科目です。他のLA演習科目には英語を翻訳する授業や、暗号解読の授業などがあり、さまざまなテーマの授業を文理に関わらず受講できます。
人気の授業は抽選がありますが、少人数でディスカッションをする経験を積むことができ、日本語教育についてかなり詳しく学ぶことができたので良かったです。
・高校生の時から興味のあった日本文学で、最初に具体的な文学作品を読んだ「日本文学概説」の授業がとても楽しかったです。

2-2. 大学2年生前期の時間割例

〜Y.Hさん(中央大学 理工学部)の例〜

 
1限     構造力学演習I   水理学演習I  
2限 応用解析I   構造力学I   水理学I 英語表現演習3
3限 物理実験     コンクリート材料    
4限 物理実験     英語講読演習3 法学  
5限   データ解析     環境行政概論  

〈時間割の特徴〉
●総合教育科目の授業を多めに受講
総合教育科目は1群から3群に構成されています。なかでも人文・社会・自然分野の総合的知識の学習を目的として設置された講義(2群)や、専門教育科目の基礎科目として設置された講義(3群)には卒業要件として必修単位数が設定されています。
学年が上がるにつれて開講される専門教育科目の講義数が増えるため、大学1・2年のうちになるべく多くの総合教育科目を受講しようと考えました。例に挙げた時間割では、月曜3・4限の「物理実験」(3群)、金曜4限の「法学」、金曜5限の「環境行政概論」(どちらも2群)が総合教育科目にあたります。

●オンライン形式中心
時期的にほとんどの講義がオンライン形式でした。そのため、火曜日や土曜日に講義1コマのために大学に行く必要がなく、履修登録をする上で空きコマ(講義と講義の間に空く時間)についても考慮しなくてよかったです。3年生になった現在はほとんどの講義が対面形式なので、なるべく同じ曜日に続けて講義を取るようにしています。

〈お気に入り授業〉
火曜5限の「データ解析」では、「多変量解析法」を中心にデータ解析で用いられる主な手法について学びました。
分析手法の説明では多くの数式が用いられ、理論から理解するのはとても難しかったです。一方で、回帰分析以外にも様々な分析手法を学べることができ、とても面白かったです。特に変数を合成して新たな少数の変数を作成することで、解釈を合理的にする「主成分分析」という手法は興味深かったです。
実例として、都市間鉄道の存廃問題における要因となった項目を検討する過程について説明を受けたり、実際に統計解析に適した「R」というプログラミング言語を利用して分析手法を実行したりすることで、より具体的にデータ解析で用いられる手法を理解できました。

2-3. 大学2年生後期の時間割例

〜M.N.さん(青山学院大学 文学部)の例~

 
1限       博物館展示論 古文書学  
2限     博物館教育論 英語講読 日本史特講(中世史) 日本史特講(古代史)
3限 日本史史料講読 博物館経営論   史学概論 日本史特講(日本史学)  
4限 基礎演習 現代社会の諸問題        
5限 英語講読 考古学特講        

〈時間割の特徴〉
●学芸員課程の授業
2年生から学芸員の資格を取得するための授業が多くなりました。実際に博物館に勤務されている学芸員やミュージアム関係のジャーナリストなど、経験豊富な先生の講義を受けられます。博物館ひとつとっても資料保存・展示から経営・教育に至るまで、複数の角度から学ぶことができたのは大きな収穫でした。
3・4年次の博物館実習を経て所定の単位を取得し、学士の学位を有する(卒業する)と学芸員の資格を取得することができます。

●必修・選択必修の授業が多い
1年・2年生の間は必修・選択必修で履修しなければならない授業が多く、自由選択科目を入れる余地はどこにもありませんでした。
必修・選択必修の授業を後回しにすると卒業が近くなる頃に苦労することになるので、早めに必修科目の単位を取得することを意識して時間割を組むようにしていました。この時間割も全て必修と選択必修の授業です。

〈お気に入り授業〉
私が通っている青山学院大学には「青山スタンダード」(いわゆる教養教育)があり、5つの領域の科目を必ず履修しなければいけません。その領域のうちのひとつに「社会理解関連科目」があり、それに含まれるのが「現代社会の諸問題」(火曜4限)という授業です。同じタイトルでも複数の授業があり内容も異なるため、興味のある芸術文化に関連したクラスを選択しました。
私が履修した授業のテーマは「文化経済学」でした。芸術文化と社会のつながりを経済学の観点から見る授業で、毎回授業内にディスカッションがありました。コロナ禍ということもあり芸術文化の経済的側面が重要視される中で履修した授業だったので、芸術文化が人々の間で成長し社会の中で生きていることを実感しました。

2-4. 大学3年生の時間割例

~M.O.さん(上智大学 法学部)の例~

 
1限   会社法 ドイツ法 会社法  
2限   労働法     労働法
3限 Environmental science 行政法総論 債権法各論 Environmental science 行政法総論
4限   平和構築とメディア     企業環境マネジメント
5限   国際法ゼミ     地球環境と科学技術

〈時間割の特徴〉
●オンデマンド授業と対面授業をバランスよくとる
上智大学は都心に位置しているためキャンパスが比較的狭く、感染症対策の観点では十分な広さの教室が確保できない場合があります。また法学部は人数が多いものの、ディスカッションなどのワークがない講義が多いので、オンデマンド授業(※)も多く開講されています。火曜日は5コマ入っていますが、対面授業は4つで、1つはオンデマンドで受講しています。
※オンデマンド授業‥‥あらかじめ収録された講義内容を、インターネットを利用して映像や音声として後から視聴する授業。時間や場所を問わず受講することができる。

●単位取得が試験かレポートかをよく確認する
法学部の授業はほとんどが試験100%での評定。つまり、普段の授業への出席等は評価されず、試験のみで単位が取得できます。これはいうなれば、授業に全く出なくても試験さえ解ければいいのです。しかし法学が苦手な人もいます。私も法学が苦手な人間なので試験だけで評価されるのは怖く、レポートや出席が加味される授業を選んで履修するようにしています。

〈お気に入り授業〉
・上智大学の法学部は、「環境法」に強いです。「地球環境法学科」という日本で唯一の学科をもっています。上智大学法学部では自分の在籍する学科に関わらず授業を履修することができるので、「法律学科」「国際関係法学科」「地球環境法学科」の3つの科目を、自分の興味に合わせて履修することができます。
「環境法」と一口に言われると、温暖化を防止するような法律の制定などを思い浮かべますが、実は影響を及ぼす範囲はさまざま。京都の景観が美しく整備されている理由は「景観法」で保護されていることが理由であることを学んだり、気候変動対策を国際的な枠組みで守るための「COP条約」について学んだり、幅広い領域について触れられます。
・「キリスト教人間学」は1年生の必修授業でした。上智大学はキリスト教の大学なので、キリスト教についての学びに触れる科目が設置されています。この科目群は、「キリスト教と音楽」「キリスト教と死生学」「キリスト教とジェンダー」「キリスト教と美術」「旧約聖書論」などさまざまに展開されており、キリスト教になじみがない人でも、自分の興味に合わせて履修科目を選ぶことができます。

3. まとめ

大学では興味のある特定の分野を専門的に学ぶ授業だけではなく、語学などの必修科目や資格取得のための授業など、さまざまな目的の下に授業科目が用意されています。高校までの授業とは異なり、大学生たちはそれらをうまく組み合わせて、充実した時間割を作っているようですね。また、文系・理系とも学部・学科に関わらず、学年が上がるにつれて徐々に専門科目が増え、より深い学問の領域に踏み込んでいます。
大学生になったらどんな授業を受けてみたいですか?大学のシラバスは一般の人でも見られるようになっているので、今から調べてみても面白いと思います。受験勉強の合間に、志望大学のWebサイトをぜひ検索してみてください。