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英単語が覚えられない人の暗記NG例と着実に成果を出すための勉強法

2019.08.22

英単語を覚えようと頑張っていても、思うように暗記がはかどらないと、どうしても焦りを感じてしまいますよね。大学受験で必要とされる英単語の数は、大学入学共通テスト(旧センター試験)レベルで約2000語、難関大学入試レベルともなれば4000語以上にもなるので、その習得には相当の労力が伴います。
…とはいえ、工夫次第で着実にかつ効率的に語彙力を高めることは可能です!この記事では、英単語の暗記がうまくいかない2つの原因とその対処法を紹介します。

1. 英単語が覚えられない2つの原因とその対処法

英単語の暗記は決して楽な作業ではありませんが、それなりに努力しているのに中々うまくいかない場合には、何か決定的な原因があると考えられます。この種の悩みを抱える受験生の多くに当てはまる原因として、次の2つが挙げられます。

  1. 学習計画が現実的でない
  2. 復習をしていない

2. NG例-1 学習計画が現実的でない

大学入試に必要な英単語の語彙数は、入試の難易度によって異なりますが、例えば共通テスト(旧センター試験)で8割程度の得点を確保するには1800~2000語(中学までに習う単語を除く)を覚える必要があるとされています。
未知の英単語を2000語新たに覚えるというのは、一朝一夕で達成できる勉強量ではありません。
もし「本格的な受験勉強は部活を引退してからでいいや」と、英単語学習を先延ばしにしてしまうとどうなるでしょうか。
仮に7月に部活を引退して、そこから英単語の暗記を始めるとして計算してみましょう。
2021年の大学入学共通テストの実施期日は1月16日(土)・17日(日)です。7月1日から数えてちょうど200日後くらいということになります200日で2000語を覚えるには、一日で10語覚える計算になります
「なんだ10語か。それならなんとかなりそうだ」と思うかもしれませんね。
しかし実際には、200日間で2000語をしっかり覚えるというのはかなり大変です。
まず、その200日間は英単語の暗記だけをやっていればよいわけではありません。受験に必要な科目を全て勉強しなければなりません。
さらに、一度覚えた単語でも復習をしなければどんどん忘れていきます。したがって、1日に10語覚えるのに加えて復習の時間も必要なのです。
ここで思い出してほしいのは、2000語というのはあくまで共通テストで8割を目指すのに必要と言われている語数だということです。難関大学合格を目指すなら、これでもまだ足りません

2-1. 学校の英単語テストやアプリを活用

したがって、語彙力強化のための英単語学習は早くスタートを切るに越したことはありません。
同じ2000語を覚えるにしても、400日間あれば1日5語で済みます。
とはいえ、高校1年生や2年生の段階では、「部活も忙しいし、まだ自分が受験生という実感も湧かない。継続的に単語を暗記するなんて無理…」と思う人もいるかもしれません。
そういう人は、学校の英単語テストなどを上手に活用しましょう。
多くの高校で、週に1度や2週間に1度といった頻度で、英単語の小テストが実施されているのではないでしょうか。テスト当日の朝に大急ぎで勉強して、何とかその日のテストを乗り切っているという人も多いかもしれませんが、この方法では、居残りや追試は避けられても、長期記憶として定着しないので大学受験対策としてはあまり役に立ちません
せっかく学校で英単語テストが課されているのであれば、それをペースメーカーとして計画的に英単語の暗記を進めていきましょう
例えば、週に1回20単語分のテストが実施されるのであれば、次のような計画を立ててみるとよいでしょう。

月曜日:5語覚える
火曜日:次の5語を覚える
水曜日:次の5語を覚える
木曜日:最後の5語を覚える
金曜日:月・火で覚えた10語を復習する
土曜日:水・木で覚えた10語を復習する
日曜日:20語すべてを復習する
月曜日:テスト当日

これが習慣として定着すれば受験までに毎週20語覚えられることになります。
仮に高校1年生の夏から3年生の夏までこの習慣を続ければ、2000語近くを覚えられることになります。すでに共通テストで高得点を取るのに、十分な語彙力が備わっていることになりますね。
自分の学校では英単語テストがないという人もいるかもしれません。そういう人は、スマートフォンの英単語アプリを活用するのも手です。
例えばターゲットの友(「英単語ターゲット」対応)というアプリでは、1日朝と昼に5問×5セットのミニテストが出題される機能があり、スキマ時間を有効に使って、ペースを守りながら英単語を着実に覚えていくことができるようになっています。
英単語アプリ mikanというアプリでは、「1日に○語覚える」という学習目標を自分で設定することができます。これを使えば、自分で学習のペースを管理し、計画的に単語を覚えることができます。
英単語アプリに関しては、こちらの記事で詳しく紹介しているので参考にしてください。
>> 英単語アプリでスキマ時間を活用!大学受験におすすめのアプリ3選

2-2. 「少しずつ」を毎日続けよう

学習期間自体が足りないケースがある一方、英単語を早く覚えたいという気持ちが強過ぎるあまり、最初からペースを飛ばしてしまい、「長続きせずに途中で挫折してしまう」ということもあります。
これには主に2通りの問題があります。

  1. 1日に覚える語数が多すぎる
  2. 一度に覚える情報量が多すぎる

モチベーションが高い初めの数日は、ある程度覚える分量が多くても頑張れるかもしれませんが、それを数週間、数カ月続けられるかという視点が必要です。
まずは1日に数語ずつの暗記から始め、余裕がありそうなら覚える語数を少しずつ増やしていくというのがおすすめです。決して無理はせず、「少しずつ」を毎日継続することが肝心です。

「覚える情報量」については、もう少し詳しい解説が必要かもしれません。
仮に自分の使っている英単語集で、relationという語の項目が次のように掲載されているとしましょう。

relation [riléiʃən]
①(国家間などの)関係
②血縁関係
[例文]
Diplomatic relation between Japan and China was normalized in 1972.
1972年に日本と中国の国交が正常化された。
[派生語]
relate to:
①~に関係がある、かかわる
②(考え方などを)理解する
[コラム]
類義語にrelationshipがあるが、relationは「国と国との関係」を意味することが多く、relationshipは「人と人との関係、恋愛関係」を意味することが多い。

1語に対して、

・見出し語(=relation)
・見出し語の発音記号
・見出し語の語義(2個)
・見出し語を含む例文とその和訳
・派生語とその意味(2個)
・コラム

という情報が掲載されています。
では、この情報をすべて暗記する必要があるのでしょうか。
英語の得意・不得意、暗記の得意・不得意、志望校の難易度などによっても変わりますが、初めから全てを覚える必要はないということは断言できます。
英単語集を1周~2周するくらいの段階では、「relation」「[riléiʃən]」「①(国家間などの)関係」の部分、すなわち、見出し語の「スペリング」「正しい発音」「初めに載っている意味」の3点セットの暗記で十分です。
発音を軽視する人がいますが、効率的な暗記のためにも、リスニング力を鍛えるためにも大切ですから、付属のCDや音声ダウンロードサービス、対応アプリなどを活用して、必ず正しい発音で覚えるようにしてください。
3周目くらいからもし余裕がありそうなら、その英単語集が強調している(色が付いている、太字になっている、下線が引いてあるなど)他の部分も覚えていくようにしましょう。
何もかも全て覚えようとして結局中途半端になってしまうより、情報量が少なくてもよいので、正しい知識を「少しずつ」着実に身につけていくことに専念しましょ

3. NG例-2 復習をしていない

英単語の暗記に復習は必須です。
「自分はこの英単語集を2周も勉強したのに、まだ覚えられない単語がたくさんある!」などと悩んでいる受験生が少なくないのですが、2000語ほども掲載されている単語集をたった2周で全部覚えられたとしたら、その人は驚異的な暗記力の持ち主だと言わざるを得ません。
英語が得意な人でも単語集を3~4周繰り返すのは当たり前で、超難関大学合格を目指す人でも英単語集を10周繰り返し勉強してようやく覚えられた、という人もいるくらいです
したがって、まず「英単語は一度覚えてもすぐに忘れるものだ」「英単語を覚えるのは時間がかかるものだ」ということを、頭にたたき込んでおくことが大切です。

3-1. あらかじめ復習を計画に盛り込む

学習計画の重要性については既に触れましたが、計画を立てる際、英単語集は一度や二度ではなく何周も繰り返す必要があるため、復習のための時間もあらかじめ必ず盛り込んでおきましょう
そのためにはある程度時間のゆとりが必要になります。このことからもやはり、英単語学習はできるだけ早くスタートを切るのがよいいうことがわかりますよね。
とはいえ、単語集を何度も繰り返すとなると「いくら時間があっても足りないのでは?」と疑問が湧くかもしれませんが、心配はいりません。初めの1~2周目にじっくり時間をかけて計画的に取り組めば、3周目に入る頃にはその単語集についてかなりの部分の内容が頭に入っており、かつ英単語の暗記作業にも慣れているはずです。
つまり、覚える量は少なくなり、覚えるスピードは増しているので、3周目以降は初めの1~2周に要したほどの時間はかからないのです。初めは1周するのに半年以上かかったのが、3周目には1カ月もかからないということさえありえます。
初めは焦らず着実に暗記作業を進め、知識の定着と技術の向上に合わせて徐々にペースを上げていくというのが、語彙力強化のポイントです。

4. まとめ

最後にこの記事のポイントを振り返ります。

●英単語を覚えられない原因①
「学習計画が現実的でない
短期間に多くの単語を一気に覚えようとするのは無理があります。かつ、長期記憶として定着しないので、長い目で見れば非効率的。
【対処法】
数千語という英単語の暗記が必要な大学受験では、しっかり計画を立て、それを実行することが重要。学校のテストや英単語アプリを語彙力強化のペースメーカーとして上手に活用しながら、「少しずつ」を毎日続けるのがコツ。     

●英単語を覚えられない原因②
「復習をしていない」
よほど暗記力に優れた人でなければ、一度覚えた単語も復習しなければすぐに忘れていきます。
【対処法】
英単語集を1冊マスターするのに3~4周するのは当然という意識を持ちましょう。そのための時間を見越して復習をあらかじめ計画に盛り込み、かつ早い時期から英単語学習のスタートを切ること。

まだ受験勉強が本格化していない高校1年生・2年生も、英単語の暗記は早めにスタートしておくことに越したことはありません。
スキマ時間を活用して復習を繰り返し、盤石の英単語力を身につけましょう!

岡本 眞一郎 先生(武南中学・高等学校)
1983年より都立高等学校英語教諭として、都立青山高等学校、都立戸山高等学校、都立白鴎高等学校、2014年より埼玉県立春日部高等学校、埼玉県立浦和高等学校と首都圏の進学校を歴任。2018年4月からは、埼玉県私立の武南中学校・高等学校で教鞭を執り、多くの受験生たちの指導に当たっている。