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【センター試験】英語長文問題を解くために必要な力とは? ~必ず知っておくべき2つのポイント~

2018.12.03

センター試験の英語(筆記)で最も多くの配点が与えられている「長文読解」問題
ここでの高得点確保が、センター英語の成功のカギを握ると言っても過言ではありませんしかし、長文読解は、「勉強法がよくわからない」「対策はしているのに点数が伸びない」といった悩みを抱える人も多いことでしょう。この記事では、センター試験英語の長文読解問題で、確実に得点力を伸ばしていくために必要な2つのポイントを解説します。

1. 【センター試験】英語長文問題の配点と傾向

例年、センター試験の英語(筆記)では、第4問(40点)/第5問(30点)/第6問(36点)が長文読解問題にあてられており、200点満点中の106点、つまり50%以上という非常に大きなウェイトを占めています。
出題形式は毎年決まっているわけではなく、対話形式、物語、図表や広告文の読み取りを含む形式、論理的な説明文など様々です。
2018年度・本試験の第5問では、意外なオチがあるSF風の「日誌」が取り上げられるなど、新傾向の問題も出題されています。といっても、基礎的な英語力があれば十分に解ける難易度ですから、過度の心配は無用です。
これについては、一風変わった形の英文が出題された時にもびっくりしないよう、様々な形式の長文問題に取り組んでおくことが、もっとも効果的な対策と言えるでしょう。

2. センター試験英語の長文読解で必ずおさえたい2つのポイント

センター試験の英語(特にリスニング)は難化傾向にありますが、全国の受験生の実力を一定基準で測るための試験ですから、極端に難しい問題は出題されません。
それでも、「センターの長文って、長さはあるけど、単語はカンタンなんでしょ」「センターって全部4択問題なんだよね。フツーに読めれば解けるよね」と、実際以上にセンター英語を簡単な試験だと勘違いしてしまうことには、くれぐれも注意が必要です。
単語レベルは標準的だが、文量は多く、回答時間が限られている」というのが、センター試験の英語長文問題における特徴です。
このため、効率よく得点を稼ぐには、瞬時に正答を導く判断が必要となります。そのためには「語彙力」の土台となる「単語力」と、大量の文章やから読み取れる情報をスムーズに処理するための「読解力」を鍛えておくことが、対策の第一歩といえるでしょう。

3. センター試験英語で必要な「単語力」の強化

3-1. センター試験英語の単語レベル

次に挙げた単語の意味が、すぐにわかりますか?

assumption
abandoned
resemble

diagnose
alter

これらはすべて、2018年度センター試験・本試験の英語長文に登場した単語です。「意外とレベルの高い単語が使われるんだな・・・」と思った人もいるかもしれませんね。
センター試験の英語には「基本的な英単語が中心に出題される」というのが前提ですが、中学英語レベルの単語力があれば十分などというのは大きな誤解です。
「基本単語」とは、あくまで大学入試を基準とした「基本」のことであり、それを身につけるには相応の勉強量が必要になります。
専門的で聞きなれない単語が出ることはあまりありませんが、先に挙げたレベル程度の単語の意味と使われ方を、しっかりマスターしておくことが必要です。
ここで、センター試験の英語長文問題で高得点を取るのに「語彙力」が大切であるという理由をまとめておきましょう。

センター試験の英語長文問題は文量が多い
⇒ できるだけ速く・正確に読む力が必要
⇒ 単語がわからず何度もつまずくのは大きなタイムロス
⇒ 「基本単語」は意味と使われ方をマスターしておくことが必要

センター試験英語を攻略するためには、まず「基本単語のマスター」が必要なのです。

3-2. センター試験英語の攻略におすすめの英単語帳

実際にセンター試験の英語長文を攻略するための単語学習においては、「どのくらいの量の単語を覚えたらいいの?」「どうやって覚えるのが効率的?」などの疑問や不安があると思います。
そこで、多くの受験生におすすめできる英単語帳を2冊紹介します。

英単語センター1800【改訂版】 英単語センター1800【改訂版】
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英単語センター1800【改訂版】
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英単語センター1800 [改訂版]』(ナガセ)の特徴
・この1冊を完璧にマスターすれば、センター試験レベルの単語は網羅できる
・中堅レベルの私立大・国公立大の2次試験に対応できる基礎語彙力もカバー
・工夫されたレイアウトで使い勝手が非常によい

英単語ターゲット1400 5訂版 英単語ターゲット1400 5訂版
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英単語ターゲット1400 5訂版
4.9
ターゲット編集部 編
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英単語ターゲット1400[5訂版]』(旺文社)の特徴
・1冊で受験基礎~センター試験レベルまでの必要十分な単語を習得できる
・1つの単語ごとに「最も重要な意味」が赤字で書かれているので覚えやすい
・アプリ「ターゲットの友」でリスニングやテストもできて便利

4. センター試験英語で必要な「読解力」の強化

4-1. 英語長文を難なく読解するための「パラグラフ・リーディング」

読解力を問う4択問題も、素材文を最初から最後まで読んでから「さて設問を解こう」と思ってみても、「あれ?こんなのどこに書いてあったっけ?」となってしまうことが多々あります。
このような状況を回避するために効果を発揮するのが、パラグラフ(段落)ごとに要点をおさえていく「パラグラフ・リーディング」という読み方です。「パラグラフ」(段落)とは、改行によって区切られた、文章のまとまりの単位のことです。
今まで、あまり段落を意識せずに長文を読んできた、という人も多いかもしれませんが、実は、英語長文(論説文)を読むうえで、パラグラフを強く意識することはきわめて重要なのです。それどころか、パラグラフを意識せず文章の構成を無視して読むと、以下のような事態に陥りやすくなります。

・長文を漫然としか読めず、集中力が持続できないため、読解に時間がかかりすぎる
・各パラグラフの「要旨」がつかめないため、文章全体の主張・テーマにたどり着きにくい
⇒ 設問で誤答を選択してしまうリスクが高まる

このような事態から抜け出すために、次の2つのことを覚えておきましょう。

・英語の論説文では、1つのパラグラフで1つのトピック(話題・テーマ)について論じられる。 
・パラグラフ内にはトピックの根拠や具体例を示す「サポート・センテンス」がある。

1つのパラグラフは、「(このパラグラフでは)こんな話をします」ということを読者に示す「トピック・センテンス」と、それにひもづく「サポート・センテンス」で構成されています。
「サポート・センテンス」とは、「それについてはこんなデータがあります」「実際にこんな問題が起こっています」「こう考えるとそれは間違っている(正しい)ということがわかります」といった、トピックに根拠を与えたり、その具体例を示したりする役割の文のことをいいます。
たとえば、長文を読んでいて、以下のようなパラグラフがあったとしましょう。
(わかりやすくするために英文の日本語訳の方を掲載します)

日本では今後、労働力不足の深刻化は避けられそうもない。日本の人口は減少の一途をたどっており、今は1億2,600万人いる人口も、2065年までには8,800万人、100年後には5,000万人にまで減少すると予想されている。しかも、少子高齢化はこの先さらに加速し、2024年には3人に1人が65歳以上になる超高齢社会が到来する。労働力となる年齢層はますます減っていくのである。

このパラグラフで筆者が取り上げているトピックは、1文目の「日本では今後、労働力不足の深刻化は避けられそうもない」ということですね。
これがトピック・センテンスです。そして、この段落の残りの文章はすべて、そのトピック・センテンスの根拠を示すためのサポート・センテンスになっています。
パラグラフ・リーディングの手法では、これを読みながら、「筆者はこのパラグラフで、『日本では今後、労働力不足の深刻化は避けられそうもない』というトピックを取り上げているんだな」ということを強く意識します。そして、「その後に続く文がその根拠になっていて、この数字はそれを示すデータだな」と、確認しながら読みます。
次のパラグラフに移るときは、「トピックも変わるぞ」とまた意識を切り替えます。
「第2段落では~と主張していた。その根拠は~だった」、「第3段落では~と主張していた。その根拠は~だった」といった具合に、この作業をパラグラフごとに積み重ねます。

このように、筆者が展開する論理を、パラグラフごとに要点を取り出して読み取っていく方法が「パラグラフ・リーディング」であり、「パラグラフを意識する」ということこそが長文読解のポイントなのです。
2018年度センター試験英語の第6問では、論説文全体の主張を問う問題(第6問-A 問5 「What is the main idea of the passage?」)という問題と、各パラグラフのContent(内容)を整理させる問題(第6問-B)が出題されています。これらはまさに、「しっかりパラグラフ・リーディングができているか」ということを問うものでした。

4-2. センター試験英語の長文対策におすすめの問題集

最後に、センター試験の英語長文対策におすすめの問題集を2冊紹介します。

大学入試 全レベル問題集 英語長文(2)センター試験レベル(CD付)  大学入試 全レベル問題集 英語長文(2)センター試験レベル(CD付) 
英語
英語長文
大学入試 全レベル問題集 英語長文(2)センター試験レベル(CD付) 
0
三浦淳一/著
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大学入試 全レベル問題集 英語長文 2センター試験レベル』(旺文社)
演習量をこなして実力アップにつなげることができる、センター試験対策に最適の1冊です。
段落ごとに分けた解説が掲載されているというのが特徴で、パラグラフ・リーディングの習熟にもうってつけの一冊です。
高校3年生の秋以降、いよいよ入試本番が間近という時期には、こうした過去問が掲載された問題集での演習が、得点力アップに最も効果を発揮します。

センター試験過去問研究 英語(2020年版センター赤本シリーズ) センター試験過去問研究 英語(2020年版センター赤本シリーズ)
過去問題集
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センター試験過去問研究 英語(2020年版センター赤本シリーズ)
5
教学社編集部
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センター試験過去問研究 英語(2020年版センター赤本シリーズ)』(教学社)
センター試験を受験するのであれば手元に置いておきたい1冊です。
この本には「25年32回分」の問題が収録されていますが、必ずしもすべてを解く必要はありません。
何年分解くべきなのかは、自分の実力やセンター試験対策に割くことができる時間と相談しながら決めましょう。
また、過去問に取り組む際には、全体の試験時間の中で、長文問題に割ける時間はどれほどあるのか、ということも意識するようにしましょう。

5. まとめ

最後に、ポイントを整理しておきましょう。
センター試験の英語長文問題で高得点を取るためのカギは、以下の2点でした。

●語彙力の土台である「基礎単語力の強化」
●読解力をつけるためのコツ「パラグラフ・リーディング」

文量の多いセンター試験の英語長文を攻略するには、まず「基礎単語力」をつけ、読解に時間をかけないようにすることが重要です。
さらに、長文読解問題に臨む際は、設問ばかりに意識を向けるのではなく、各パラグラフのトピック・センテンスは何か、その主張の根拠や例として、筆者はどんなことを述べているのか、そして文章全体のテーマ・主張は何なのか、ということを常に意識するように心掛けましょう。これを念頭に置くだけで、かなり長文が読みやすくなるはずです。
「語彙力強化」や「パラグラフ・リーディング」は一朝一夕で身につくものではありませんので、継続的に取り組みましょう。

岡本 眞一郎 先生 武南中学・高等学校
1983年より都立高等学校英語教諭として、都立青山高等学校、都立戸山高等学校、都立白鴎高等学校、2014年より埼玉県立春日部高等学校、埼玉県立浦和高等学校と首都圏の進学校を歴任。2018年4月からは、埼玉県私立の武南中学校・高等学校で教鞭を執り、多くの受験生たちの指導に当たっている。