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【理系・高3生】受験に向けた1年のスケジュール ~科目選択から国公立大学合格までの道しるべ~

2023.03.22

受験生になると毎日の勉強が大変で、長期的な計画・目標を持って勉強することを忘れてしまいがちです。特に理系の国公立大学入試は科目数が多い上に、数学や理科など相当の勉強量が必要な科目もあり、対策期間や学習計画の進め方で不安な面もあるかと思います。
「学校の授業はまだまだ範囲が終わっていなくて、過去問演習に手が出せない…」「志望校は決まっているけれど、自分の実力がどれくらい足りないのかよくわからない…」――そんなお悩みをこの記事で解消しましょう!
理系を選択した高校生に向けて、長期的な勉強計画を立てる上でのポイントや、数学――特に「数3」や理科の勉強法など、受験学年にやるべきことを時期別に紹介します。一緒に受験に向けた戦略を立てていきましょう!

1. 自分の現在地を知る

受験学年である高校3年生になったら必ずやってほしいことが、早いうちに志望校の過去問を解いてみるということです。学校の授業はまだ全範囲の履修が終わっていない場合がほとんどだと思いますが、遅くとも夏休みまでには一度、本番と同じ形式で全科目の過去問を解くようにしましょう。
過去問=本番と同じレベルの問題を解くことで、まだ習っていない範囲も含めて、自分がこれからどのくらい勉強しなければならないのか、志望校のレベルに対して自分の現在地を知ることができます。また、これまでに習った範囲の問題が十分に解けなかったら、それらが自分の苦手科目・苦手分野であることを自覚しておくことが大切です。自分の実力をしっかり把握した上で、改めて受験に向けた戦略を立てていきましょう。

2. 受験に向けた戦略を考える

2-1. 科目の優先順位を決める

志望校が決まっている場合は、入試の科目と配点を調べるところから始めましょう。
各大学・学部の入試科目・配点については、「大学受験パスナビ」などの受験情報サイトに情報が掲載されています。積極的に活用しましょう。
共通テストの配点が大きかったり、二次試験の数学が非常に重視されていたり、科目や配点の重要度傾斜は大学・学部によって様々なので、自分の志望大学に合わせて計画を立てていくことが重要です。「共通テストの対策を早めに始める」「数学に一番時間をかけて勉強する」など、自分なりに計画をカスタマイズしてみましょう。
また、過去問を解いてみて苦手だと感じた科目は、早いうちから対策を考えておく必要があります。特に英語は「単語」「文法」「構文」「長文読解」など勉強することがたくさんあるので、苦手分野を明確にしたら毎日コツコツ勉強するようにしましょう。

*志望校がまだ決まっていない場合は、次のような記事も参考に自分の目標とする志望校を探してみてください。
>> 大学受験「志望校の決め方」を学ぶ!~現役大学生4名の体験談とアドバイス~

2-2. 理科・社会への取り組み方

学校によっては理科や社会の範囲が、高校3年生の授業でギリギリの時期まで終わらないということがあると思います。そのような場合は、過去問演習のトレーニング期間を後悔なく確保するために、予習を進めておくことをおすすめします。
また、受験で理科2科目を使う場合は、どちらか1科目を得意教科・好きな教科にしておくのがおすすめです。得意な方を先に仕上げておくことで、もう1つの科目も余裕をもって勉強できる上に、大学に進学して何を専攻するかを考える際にも役立ちます
社会は理系にとって多くの場合、共通テストでのみ使う科目ですが、大学・学部によっては共通テストの社会科目の配点を高く設定した入試方式を採用しているケースもあります。志望校・併願校の入試科目・配点をしっかり確認した上で、スキマ時間を上手く使ってコツコツ勉強し、直前に焦って詰め込むことのないようにしましょう。

3. 受験に向けた勉強計画を立てる

なんとなく勉強を始めるのではなく、1週間、1ヵ月、1年といった長い期間での目標を立てておき、それに向かって勉強に取り組むようにしましょう。例えば、「今週までにこの分野の暗記を終わらせておく」「今月でこの問題集を解き終える」「自分は志望校に〇〇〇点で合格する」といったように、無理のない範囲での目標を立てるように意識してください。
また、目標を達成するのが難しいと感じたり、勉強していく中で苦手分野を見つけたりしたら、その都度計画を修正していくことが大切です。ただしここで同時に気を付けなければならないことが、「長い期間の目標は簡単に変えていけない」ということです。例えば、入試本番で各科目どのくらいの点数を取ればよいのか計算して目標を立て、それに従って勉強時間をうまく配分したにもかかわらず、途中でその目標自体を変更してしまうと、合格までのイメージが揺らいでしまいます。焦って勉強計画を変更すると、得意科目ばかり時間をかけたり、苦手な分野を捨ててしまったり、偏った勉強をしがちです。
過去問をある程度解いて明確なイメージができる高校3年生の秋までは、原則一度決めた計画に沿って勉強しましょう。

4. 高校3年生・各時期の勉強計画

4-1. 4月~6月

4月~6月は基礎をしっかり固めることが何より重要な時期です。この時期に過去問を解いた経験があり、自分の苦手科目が分かっていればなおよし、その科目を中心にじっくりと対策できます。
数学は数3の勉強に本格的にとりかかる前に数学1A・2Bを完璧にして、英語は苦手分野の克服に時間をかけましょう
理科も同じように、これから習う範囲につながるような分野を復習しておくとよいです。物理では、多くの分野の基礎になっている「力学」をしっかりできるようにしましょう。化学では、特に「溶液」「化学平衡」の分野が身に付いていると、「無機化学」の内容を理解しやすくなります。

4-2. 夏休み

高校3年生の夏休みは「受験の天王山」と言われるほど、受験生にとって大切な時期です。まとまった時間が取れるので、今までできなかったことに取り組んでいきましょう。
数3で山場となる「微分・積分」の計算の処理は、繰り返し基礎問題を解いて身に付けましょう。
英語は問題を解いてみてどの分野ができていないのか、こまめに確認することが大切です。
理科は習った範囲の問題から演習を始めましょう。化学は「無機化学」、物理は「電磁気」まで予習・復習をしておくと過去問演習を進めやすいです。
各科目2~3年分の入試過去問を解いて、問題の傾向と自分の実力を知っておくとよいです。また、理科は問題に目を通すだけでよいので、どの分野が頻出であるか、どういった内容がテーマになりやすいのかを把握しておくと勉強の方針を立てやすいでしょう。

4-3. 9月~12月

共通テストの勉強が始まっても、勉強時間を全て共通テスト対策に費やすのではなく、二次試験対策も並行して進めるようにしましょう二次試験対策をおろそかにしてしまうと、受験直前期に過去問演習に切り替えるのが大変になってしまいます。
また、共通テストで得点するには問題のクセをつかむことが重要だとよく言われますが、共通テストの勉強は各科目の基礎を再確認する機会でもあります。二次試験の勉強と並行して進めながら、基礎と応用の両方を仕上げていきましょう。
理科は「無機化学」「有機化学」の暗記、英語は英単語の確認、国語は古文・漢文の文法の復習など、基礎知識の定着にスキマ時間をいかにうまく使うかが重要な時期となります。電車やバスで通学している時や、問題演習に疲れて気分転換をしたい時に暗記するのがおすすめです。

4-4. 入試直前期

共通テストが終わった後は、高校や予備校の授業がほとんどなくなります。夏休みに過去問演習をあまりできなかった人もまだまだ時間は残っているので、焦らず本番と同じ形式で過去問を解いていきましょう。
出題の傾向をつかんだら、自分が得意な問題・苦手な問題を見極めて、どのくらいの時間をかけるかの戦略を立てておくとよいです。共通テストの結果があまり芳しくなかったとしても、二次試験の対策がきちんとできていれば合格する可能性は十分にあります
試験の手応えに一喜一憂しないためのポイントとしては、共通テストと二次試験の目標点数に幅を持たせておくことです。これによって、もし各試験の出来栄えが思うようにならなかったとしても、極度に落ち込まずに切り替えて勉強に取り掛かることができます。ここまでくれば、受験本番まで体調に気を付けて、自分がこれまでやってきたことを信じるだけです。

*入試直前期の過ごし方やメンタル管理について、さらに詳しくまとめた記事はこちら。
>> 大学入試直前期の過ごし方~受験本番で後悔しないための対策と「時間に勝つ方法」~

5. まとめ

理系選択の高校3年生向けに、受験に向けた勉強計画の立て方を紹介しました。各時期に適した勉強の進め方を以下にまとめます。

・4月~6月:既習範囲を中心に基礎固め。
・夏休み:演習を繰り返して、計算処理に慣れていく。過去問2~3年分を解いて、問題の傾向と自分の実力を確かめる。
・9月~12月:共通テストの勉強で基礎を再確認しながら、二次試験対策にも並行して取り組む。
・入試直前期:1点でも多く得点するために戦略を立てながら過去問演習する。

なんとなく過ごしていると、受験生としての時間はあっという間に過ぎ去ってしまいます。しっかり計画を立てて、自分が何を目標にしているか常に意識しながら受験勉強に取り組みましょう!

StudiCoサポーター I.T.
東京大学理科一類 合格