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【東大英語】大問別の対策と攻略法を現役東大生が徹底解説!

2023.06.22

東京大学の一般選抜における英語の試験は非常に文章量が多く、さまざまなタイプの問題が課される大変難易度の高い試験です。全科目の合計440点中120点と他の科目と比較して配点が大きく、非常に重要な科目です。
「それでも東大に挑戦したい!」――そんな受験生に向け、現役東大生が受験生時代に意識していたことを元に、東大入試英語の特徴・傾向、各設問の攻略ポイントと、それぞれの対策におすすめの参考書を5冊紹介します。過去問演習に取り組む際や参考書を探す際に、ぜひ参考にしてください!

1. 東大入試英語の特徴・傾向

東大の一般選抜における外国語(英語)の試験時間は、120分。その時間内に、放送時間が約30分あるリスニング問題から、自由英作文、和文英訳、長文読解など、さまざまなタイプの問題を処理する必要があります。よほど英語が得意な受験生でない限り、時間内に満足に解き終えることは難しいでしょう。多様な問題形式への対策が必要になり、必然的に英語にかける勉強量も多くなりがちなので、効率的に勉強を進める必要があります。
年度にもよりますが、例年80点弱が合格者の英語の平均点と言われています。近年の合格最低点と照らし合わせながら、まずは、自分は英語が得意か苦手か、他の教科でどのくらい得点できそうかを考えて、英語の目標点を決めましょう。
そして、さまざまな問題の中で、合格するために解くべき問題はどれかを見極めて、作戦を立てていきます。
また、東大には「TLP(トライリンガル・プログラム)」という、日本語・英語に加えてもう1つ別の外国語の運用能力を鍛える教育プログラムがあります。TLPの参加条件は合格者の上位1割程度とされているので、このプログラムに参加したいと考えている場合、さらに英語力に磨きをかける必要があるでしょう。詳しい情報は、「TLPウェブサイト」などをチェックしてみてください。

2. 各設問の対策とおすすめ参考書

2-1. 【大問1(A)】要約

大問1(A)は、300~400語程度の文章を少なくとも70字程度の日本語でまとめる設問です。「要約」は文章全体についてまとめることを意味するので、文章全体の流れを把握する必要があります。
全体の流れを掴むことは大切ですが、ただ漠然と日本語に直した文章をまとめるだけでは要約になりません。冒頭と終盤の、文章全体の論理構成に関わる部分に注目し、要約の核となる文を見つけましょう。
また、重要な文は言い換えによって繰り返される傾向にあるので、“in other words…” など、特定の表現やディスコースマーカーの後にくる英文には要注目。
1文1文正確に理解するというよりは、おおざっぱに内容を理解し注目すべき部分を見極めて、10分程度で解き終えるのを目標にしましょう。

2-2. 【大問1(B)】空欄補充

大問1(B)は、文章中の空欄に当てはまる適切な選択肢を選ぶ設問です。選択肢が一文だけの年と、複数の文で構成されている年があります。
段落の内容と、段落同士の関係性をよく理解して解くようにしましょう。文章の流れの中で、抽象的な話から具体的な話に移る部分や、具体例をまとめて一般論を導く直前の部分が問題になっていることが多いので、「抽象」と「具体」、どちらについての段落なのか気を付けると良いです。
また、空欄になっている部分の近くに、“this …” のような指示語があれば、指示語が何を指しているか明らかにすると解きやすくなります。
並び替えの問題については、非常に難易度が高い内容が出題されることもあります。考え込んでしまって時間を取られ過ぎないようにしましょう。一見難しい問題でも、第何文型を取りうる動詞なのか、関係代名詞がかかる先行詞はどれか、基本的な文法を意識して解いていきましょう。

2-3. 【大問2(A)】自由英作文

大問2(A)は、与えられた課題について60~80語で作文する設問です。過去には、画像・絵を見て思ったことを書く、という形式でよく出題されましたが、近年では比較的内容を思いつきやすいトピックが出題される傾向にあります。
自由英作文で陥りがちなのが、書く内容を日本語で考えてしまい、英訳するのが難しくなってしまうということ。東大入試では、日本語で考えるのも難しいようなテーマを出題されることがたびたびあります。そういった問題でまともに日本語へ変換して考えてしまうと、内容を組み立てたり英訳したりするのに非常に時間がかかってしまいます。何を書くか考える際には、内容についてのメモを英語で取って考えるようにしましょう。こうすることで、自分の英語力の範囲で書ける内容になり、文章として仕上げるのもスムーズになります。

【現役東大生おすすめ!東大英語を攻略する参考書・その1】

基礎英作文問題精講 3訂版 基礎英作文問題精講 3訂版
英語
英作文
基礎英作文問題精講 3訂版
5
竹岡広信
  • ほしい (0)
  • おすすめ (0)

基礎英作文問題精講 3訂版』(旺文社)

英作文問題で使いやすい「基礎構文編」、自由英作文を書く際に意識すべき「鉄則・論理表現編」、頻出かつ重要な問題を通じて実践的に学べる「自由英作文編」の3つのパートに分かれた、非常に内容の濃い1冊。
特に、鉄則をまとめた「鉄則・論理表現編」では、重要な英語表現だけでなく、構成の組み立て方、語数が不足した時の対処法など、習得しておけば自由英作文のフォーマットを確立できるエッセンスがまとめられています。
また、「基礎構文編」では、英訳をする際に使える表現ばかりが掲載されているので、大問2(B)の和文英訳の対策もできます。「自由英作文で何を書けばいいか分からない」「説得力のある文章を書きたい」「英作文の基礎事項を復習したい」という人におすすめです。

2-4. 【大問2(B)】和文英訳

大問2(B)は、日本語の文章を英訳する設問です。出題される日本語の文章は難しく見えますが、英訳をする際は常に基礎を意識しましょう。
近年の出題傾向として、和文英訳の問題部分に、英訳しにくい日本語が含まれていることがよくあります。直訳しにくい、普段英語を勉強している時には見かけないような日本語が意図的に含まれているので、英訳しやすい日本語に自分で解釈して言い換えてから英訳するようにしましょう。
文法の誤りがないようにするのはもちろんですが、元の和文から重要な要素が抜け落ちないように注意しましょう。

2-5. 【大問3】リスニング

リスニングの放送は、試験開始45分後から約30分と言われています。放送時間が近くなったら、少し時間を取って問題文や選択肢に目を通す「下読み」をしておきましょう。ただし、時間をかけすぎると他の問題を解く時間が短くなってしまうので、5分程度に収めること。下読みをする際には、選択肢のポイントを掴み、どんな部分に注目して聞くべきか想定しておくことが大切です。
発音・アクセントについての知識が不足していると、スペルや意味はよく知っている単語でも、勘違いをしてしまったり、何を言っているか分からないという状態になったりしてしまいます。単語帳で英単語を勉強する際は、発音・アクセントも合わせて覚えるようにしましょう。
普段学校の授業で習うようなアメリカ英語話者だけではなく、独特な訛りで話す人が登場することもあります。TED(※)や英語雑誌の音声、ラジオ等で、様々なタイプの英語に触れておくことをおすすめします。
試験本番では、リスニング音声は2回放送されます。1回目の放送で聞き逃した内容があったとしても、2回目の放送で気を付けて聞けばOKです。もし2回目の放送で聞き逃しても、気持ちを切り替えて、今放送している内容に集中するようにしましょう。多少のミスをしても、常に気持ちを落ち着け、流れている音声に集中することが、確実な得点につながります。

※TED…米国に本部を置く非営利団体「Technology Entertainment Design」。世界の各分野で活躍する専門家や著名人がスピーチする、大規模な国際講演会を毎年開催している。

【現役東大生おすすめ!東大英語を攻略する参考書・その2】

新 キムタツの東大英語リスニング 新 キムタツの東大英語リスニング
英語
リスニング
新 キムタツの東大英語リスニング
0
木村達哉
  • ほしい (0)
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新 キムタツの東大英語リスニング』(アルク)

東大のリスニング問題対策として、高い人気があるシリーズの改訂版です。アメリカ英語、イギリス英語、オーストラリア英語の音声を収録するなど、近年の東大入試英語のリスニングの出題傾向にも対応しています。
東大のリスニング問題を対策できる参考書は非常に貴重なので、繰り返し音声を聞いたり、声に出して音読したりして、時間をかけてやり込みましょう。

2-6. 【大問4(A)】文法

大問4(A)は、長文の中に下線がいくつか引いてある中から、修正が必要なものを選ぶ設問です。
難易度の高い文法問題が出題されることがあり、多くの受験生が後回しにしがちな問題です。しかし、最近では基礎的な文法が出題されることもありました。文法に自信があって、この大問を得点源にできるなら1番良いですが、文法に自信がなくとも全ての問題に時間内に目を通し、分からない問題が続いても、落ち着いて基本に忠実に問題を解いていくことが大切です。

2-7. 【大問4(B)】和訳

大問4(B)は、英文和訳の問題です。
まずは、文の構造をしっかり把握すること。そして、意訳をせず忠実に和訳することを心がけましょう。
指示語や代名詞が何を指しているかを明らかにして、「自分が内容を理解していること」を余すことなく答案で示すことで、他の受験生と差をつけましょう。

【現役東大生おすすめ!東大英語を攻略する参考書・その3】

ポレポレ英文読解プロセス50 : 代々木ゼミ方式 ポレポレ英文読解プロセス50 : 代々木ゼミ方式
英語
英語長文
ポレポレ英文読解プロセス50 : 代々木ゼミ方式
4.4
西きょうじ/著
  • ほしい (24)
  • おすすめ (6)

ポレポレ英文読解プロセス50』(代々木ライブラリー)

どのような順序で構文を把握していくか、読解のプロセスが細かく記してあります。それぞれの問題の特徴的な部分だけでなく、英文を読み解く際に普遍的に使えるコツも紹介されています。
1日に1~2題程度、丁寧に復習しながら学習するようにしましょう。扱っている英文の難易度もそこまで高くないので、構文を把握するのが苦手な人、復習をしたい人におすすめです。

2-8. 【大問5】長文

他の大学では、英語長文といえば「論説文」が出題されるのに対し、東大入試の大問5では、ほぼ100%、「物語・エッセイ」が出題されています。出題傾向が独特であるため、東大の英語長文対策には、一般的な問題集だけでは不十分。東大の過去問研究を入念におこなったり、英語で書かれた比較的読みやすい小説を読んだりする必要があります。自分が気になった本を読んでみるのも良いと思いますが、書店の英語学習者向けコーナーにある本なら、難易度が分かりやすく示されていることもあります。自分に合った難易度の本を選ぶのがおすすめです。
長文の冒頭を読んでいる段階では、まだ内容がよく理解できなくても大丈夫。読み進めるうちに徐々に内容を掴めるような形になっているので、序盤で悩み過ぎないように気を付けましょう。
また、物語長文は時系列で書かれているとは限らないので、時系列を整理しながら読み進めることを心がけてください。
よく言われるコツとして、「小問の問題文に先に目を通す」ということが挙げられますが、問題になっている部分を意識して読解できる場合と、先に読んでもよく理解できずに問題文を再度読み直す場合もあり、時間が無駄になってしまうこともあります。小問に先に目を通すかは、好みで良いと思います。
長文読解対策におすすめの参考書を2冊紹介しますが、物語・エッセイを対策することは難しいので、速読・精読の力を身に付けることを意識しましょう。東大入試英語の問題は、長文を絡めた問題ばかりで文章量が非常に多いので、とにかく長い英文に慣れておくことが大切です。
加えて、論説文と物語・エッセイでは、問題の形式やよく使われる語彙も異なります。繰り返しになりますが、物語・エッセイの対策は、東大の過去問をじっくり解くことが何よりおすすめです。

【現役東大生おすすめ!東大英語を攻略する参考書・その4】

やっておきたい英語長文700 やっておきたい英語長文700
英語
英語長文
やっておきたい英語長文700
4.7
塚越友幸/著 山下博子/著 早崎スザンヌ/著 杉山俊一/著
  • ほしい (1)
  • おすすめ (5)

やっておきたい英語長文700』(河合出版)

旧帝大、難関私立大等で出題された、700語程度の長文問題を収録しているのが特徴です。よく耳にするテーマの英文が多く、「王道の参考書」というイメージです。
内容はしっかり詰まっていますが簡単に持ち運べるサイズなので、スキマ時間に復習しやすいという長所もあります。過去問演習を始めるにはまだ長文読解に不安がある人、たくさん長文を読んで力をつけたい人におすすめの1冊です。

 

【現役東大生おすすめ!東大英語を攻略する参考書・その5】

関正生のThe Rules英語長文問題集4入試最難関 関正生のThe Rules英語長文問題集4入試最難関
英語
英語長文
関正生のThe Rules英語長文問題集4入試最難関
5
関正生
  • ほしい (4)
  • おすすめ (4)

関正生のThe Rules英語長文問題集4入試最難関』(旺文社)

どんな英語長文に当たっても通用する、普遍的な“ルール”に則って解法を説明しています。
「この表現がある時はこの部分に注目する」「このタイプの問題はこの解法で解けば良い」など、段なんとなく意識している解法も、この本で確固たる“ルール”として身に付けることで、難しい問題でも通用する武器になります。
全文に対して構文解析されており、スマホやPCでダウンロードできる音声も付いています。発音を確かめながら何度も音読したり、音声をシャドーイングしたり、1題1題丁寧に復習することで、確実に長文を解く力を伸ばすことができるでしょう。

3. まとめ

東大の一般選抜で課される入試英語の全体的な特徴のほか、各設問の対策とおすすめの参考書を紹介しました。
各設問で意識しなければならないポイントがたくさんあり、対策には時間がかかります。裏を返せば、問題数が多いので、ある意味「勉強した分だけ得点が伸びる」のが東大英語の特徴です。
今回紹介した参考書の問題を解いたり、過去問演習をしたりしながら、学んだこと・感じたことを組み合わせて、自分なりの〈攻略法〉を編み出すのが、合格への近道になると思います。
この記事の内容を参考にして、効率的かつ戦略的に、東大英語への対策に取り組んでくださいね!

*東大英語の対策ついては、これらの記事も参考にしてください!
>> 東大入試レベルに必要な英単語力を養うために ~おすすめ英単語帳3選と東大合格者の実践例~
>> 東大の英語ライティング〈自由英作文〉問題を徹底攻略!~求められる思考力・英語力を身につけよ~

StudiCoサポーター I.T.
東京大学理科一類 合格