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古文助詞を覚える!覚えるべき助詞と効率的な暗記法を解説

2024.12.24

古文読解のレベルアップに重要なのが、「助詞」のマスターです。助動詞だけではなく助詞までマスターすることで、古文読解の正確性がグッと向上します。
まずは「どこまで勉強をすればいいのか」という疑問を解決しましょう。おすすめの暗記法や参考書・問題集も合わせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
古文助詞の対策はつい手薄になりがちなので、しっかりマスターして他の受験生と差をつけましょう!

1. 古文の助詞とは~助動詞との違い~

古典文法の重要な要素として「助動詞」と並び、「助詞」が存在します。助詞と助動詞は、いずれも品詞の分類上では「付属語」に属します。簡単に説明すると、付属語とは、文章中において動詞や形容詞、名詞などに意味を付け足す要素のことです。
一方で、助詞と助動詞とでは明確な違いがあります。助詞には未然形・連用形といった活用はありませんが、助動詞には活用が存在します。

*助動詞の勉強方法については、以下の記事を参考に進めてください。
>> 古文助動詞の覚え方をポイント攻略! ~古文読解で重要な助動詞をマスターするコツとおすすめ参考書~

古文助詞は現代語と同じ意味のものと、現代語と異なる意味をもつものが混在しています。したがって、助詞の文法的意味を理解していないと、古文の文章の意味を取り違えてしまう場合があります。特に要注意の古文助詞についてしっかり押さえておきましょう。

2. 古文助詞の暗記のポイント

古文助詞を覚えるべきポイントを紹介します。

2-1. 現代日本語と異なる意味の助詞を暗記しよう

古文助詞は、現代日本語の助詞と同じ文法的意味をもつものが多いです。効率的に勉強をするためには、現代日本語と文法的意味が異なる助詞を重点的に学ぶとよいでしょう。
現代日本語と同じ文法的意味をもつ助詞の例として、格助詞の「へ」を挙げます。

接続 用法・意味 現代語訳
体言 ①方向を示す ~へ、~に向かって
②帰着点を表す ~に

このような助詞は特別な勉強をしなくても意味を理解することができますよね。
一方で、現代日本語と異なる意味をもつ助詞は重点的に覚えておきましょう。

2-2. 助動詞と混同しやすい助詞に注意しよう

助詞と助動詞は、どちらもひらがなで表記されるので、古文を読解する上で混同してしまうことがあります。
例えば、終助詞「なむ」と、助動詞「ぬ」と「む」がくっついた「なむ」は、文中では同じ「なむ」と表記されます。
これらを区別するには、接続している語の活用形に注目する必要があります。接続する品詞の活用形を覚えて、助詞と助動詞を見分けましょう。

2-3. 例文で暗記しよう

古文助詞のおすすめ暗記法として、例文での暗記をおすすめします。実際に助詞が用いられている例文を暗記してしまえば記憶に深く定着して、試験当日に「うっかり文法的意味を忘れてしまった…」というような事態を防げます。
また、他の語彙や文法事項も一度に覚えることができます。この記事で挙げる各助詞を含んだ例文も有効に活用して、効率的に助詞の学習を進めましょう。

3. どこまで覚えればいい?押さえるべき古文助詞

大学入試対策で覚えるべき古文助詞を、助詞の種類ごとにまとめて紹介します。
特に入試で問われやすい助詞を中心に、各助詞の文法的意味の中から注意が必要なもののみを掲載しています。
全ての文法的意味を知りたい場合は、古文の教科書や文法参考書にまとめられている助詞一覧表などを参照するようにしてください。

3-1. 格助詞

格助詞にはさまざまな種類がありますが、ここでは「の・が」「と」から、現代日本語と異なる文法的意味を紹介します。

●「の・が」:比喩

接続 用法・意味 現代語訳
の・が 体言、連体形など 比喩 ~のように

例文:
例の、集まりぬ。
(現代語訳:いつものように、集まった。)

●「と」:比喩

接続 用法・意味 現代語訳
体言 比喩 ~のように、~と同じように

例文:
櫂のしずくも花と散る
(現代語訳:船の櫂から落ちるしずくも花のように散る)
「春のうららの隅田川~」で始まる有名な童謡「花」の一節です。入試で出題される古文の範囲にはありませんが、歌で覚えやすいのでおすすめの例文です。

3-2. 接続助詞

接続助詞「ば」は、接続の活用形が未然形か已然形かによって文法的意味が変わる点に注意してください

●「ば」

接続 用法・意味 現代語訳
未然形 順接の仮定条件 ~たら、~なら
已然形 原因・理由 ~ので、~から
偶然条件 ~(する)と
恒常条件 ~といつも

例文:
【未然】人を殺さば、悪人なり。
(現代語訳:もし人を殺したなら、悪人である。)
【已然/原因・理由】生野の道の遠ければ、
(現代語訳:生野を通っていく道のりが遠いので、)
【已然/偶然】念仏すれば、往生す。
(現代語訳:念仏すると、往生する。)
【已然/恒常】風吹けば沖つ白波たつ
(現代語訳:風が吹くといつも沖の白波が立つ)
「風吹かば沖つ白波たつ」とあった場合は、カ行四段活用の動詞「吹く」の未然形に接続しているので、訳は「もし風が吹いたら沖の白波が立つ」になることに注意です。

●「つつ」

接続 用法・意味 現代語訳
つつ 動詞・助動詞の連用形 動作の反復 ~し、~しては
動作の継続 ~し続けて

例文:
【反復】出で行きし日を数へつつ
(現代語訳:出発した日から何日経ったかを数えては、)
【継続】いかで見ばやと思いつつ、
(現代語訳:なんとかして見たいものだと思い続けて、)

3-3. 係助詞

係り結びを作る助詞が文中に出てくると、本来終止形であった文末が連体形に変化します。この法則を「係り結び」と呼びます。ただし、「こそ」が文中に出てきた場合は、文末が已然形に変化する点に注意してください。
係り結びを作る助詞「ぞ」「こそ」に、係助詞「も」が付いた「もぞ」「もこそ」は、「危惧・心配」という文法的意味をもちます。「もぞ」「もこそ」は入試問題でおさえるべきポイントです。文中に出てきたら現代語訳に注意しましょう。

●係り結びを作る助詞

接続 用法・意味 現代語訳
種々の語 強調 語訳不要
もぞ 危惧・心配 ~するといけない、~したら大変だ
なむ(なん) 強調 語訳不要
こそ
もこそ 危惧・心配 ~するといけない、~したら大変だ
や・やは 疑問・反語 ~か
~か、いや…ない
か・かは

例文:
雨もぞ降る
(現代語訳:雨が降るといけない)

3-4. 副助詞

「だに」と「さへ」の違いに注意しましょう。副助詞「だに」は現代語訳で「~でさえ」という意味を持ちます。他方で、副助詞「さへ」は、現代語訳で「~でさえ」ではなく、「~までも」(添加)の文法的意味をもちます。古文と現代日本語で、意味のずれがある点に要注意です。

●「だに」

接続 用法・意味 現代語訳
だに 種々の語 最小限の一事をあげて強調する せめて~だけでも
軽いものをあげて重いものを類推させる ~でさえ

例文:
【強調】命をだに助け給へ
(現代語訳:せめて命だけでも助けてください)
【類推】み山には 松の雪だに 消えなくに 宮こはのべの わかなつみけり
(現代語訳:山では松の上の雪でさえ消えないのに、都では野辺の若菜を摘んでいる)

●「さへ」:添加

接続 用法・意味 現代語訳
さへ 体言、連体形など 添加 ~までも

例文:
香さへなつかし山吹の花
(例文:香までも慕わしく感じられる山吹の花よ)
※副助詞「さへ」を現代日本語の「さえ」と訳さない点に注意してください。

3-5. 終助詞

終助詞とは、文末につく助詞です。
禁止の助詞「な」・「そ」はペアで使われることが多いです。例文を暗記して効率的に記憶してください。また、終助詞「なむ」は、助動詞や他の助詞と似ているので、接続する語の活用形を確認するようにしてください。

●「な」:禁止

接続 用法・意味 現代語訳
動詞・助動詞の終止形(ラ変の連体形) 禁止 ~するな

●「そ」:穏やかな禁止

接続 用法・意味 現代語訳
動詞・助動詞の連用形(カ変・サ変の未然形) 穏やかな禁止 ~してくれるな

例文:
雲な隠しそ 雨は降るとも
(雲よ、隠してくれるな、たとえ雨が降っても)

●「ばや」:希望

接続 用法・意味 現代語訳
ばや 動詞・助動詞の未然形 自己の希望 ~たいものだ

例文:
いかで見ばやと思いつつ
(現代語訳:なんとかして見たいものだと思い続けて)

●「なむ」:希望

複合助動詞「なむ」(連用形接続の助動詞ぬ+未然形接続の助動詞む)との混同に注意してください。終助詞「なむ」は未然形接続、複合助動詞「なむ」は連用形接続である点で区別してください。
例文:
【終助詞】雪降らなむ。(雪が降ってほしい。)
→「雪が降ったらなぁ」という気持ちと覚えましょう。
【助動詞】雪降りなむ。(雪がきっと降るだろう。)
→「らなぁ」じゃない方と覚えましょう。

接続 用法・意味 現代語訳
なむ 動詞・助動詞の未然形 他に対してのあつらえの希望 ~てほしい

例文:
はや夜も明けなむと思いつつ
(現代語訳:早く夜が明けてほしいと思い続けて)

●「もが・もがな」:願望

接続 用法・意味 現代語訳
もが・もがな 体言・形容詞の連用形・助詞「に」 願望 ~があればなあ、~であればなあ

例文:
惜しからざりし命さへ 長くもがなと 思いけるかな
(惜しくなかった命までも長くあればなあと思うようになった)

●「しが・しがな」:願望

接続 用法・意味 現代語訳
しが・しがな 動詞の連用形 願望 ~たいものだ

例文:
秋ならで妻よぶ鹿を聞きしがな
(秋以外の時に妻を呼んで鳴く鹿の声を聞きたいものだ)

4. 古文助詞のマスターにおすすめの参考書

古文助詞をマスターするためのおすすめ参考書を紹介します。
まずは学校で配られる古典文法の参考書も利用しながら、実際に演習問題を解いて記憶を定着させると良いでしょう。すでに紹介した例文も活用しながら、入試頻出ポイントを効率的に押さえてください。

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基礎からのジャンプアップノート 古典文法・演習ドリル 新装改訂版』(旺文社)
本書では、格助詞・接続助詞といった種類ごとに助詞の解説と演習問題が載っています。
また、助詞の問題だけではなく、助動詞・敬語などの古典文法の重要事項も収録されているため、この1冊を完璧にすることで古文文法のマスターに近づけるでしょう。

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この問題集は、古文文法の基礎をひと通り学んだタイミングにちょうど良い、基礎レベルの演習問題が収録されています。文法書で身につけた知識を実際の古文読解において活用できているか、試してみましょう。

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『古文上達 基礎編 読解と演習45』の発展編です。古文文法の基礎を押さえた上で、更なるステップアップを目指したい人は、ぜひ利用してみてください。

5. まとめ

古文助詞を学習する上での重要ポイントから、どの助詞を重点的に学習すればよいのか、具体例を紹介しました。例文と一緒にしっかり覚えておきましょう。
古文は暗記事項が多く定期テスト・入試対策に骨が折れますが、根気よく取り組むことで必ず成績アップが見込める科目でもあります。紹介した例文や参考書を交えて、まずは着実に文法をマスターしてください!

StudiCoサポーター K.K.
早稲田大学 文学部 合格