• 理科
  • 化学

【新課程】理系必見!有機化学の勉強法とレベル別おすすめ参考書7選

2023.06.08

理系科目「化学」は、文系も履修する「化学基礎」に比べて扱う内容が難しくなります。なかでも「化学」から学習する「有機化学」の分野では覚えるべき内容が多く、何から勉強を進めればよいか分からない場合もあるでしょう。
「これから有機化学を勉強するけど不安だらけ…」「有機化学が苦手で点数が取れない…」――そんなお悩みをこの記事で解消しましょう!
「有機化学」を理解する上で意識すべきことや、自習にも適した難易度別のおすすめ参考書を紹介します。

※この記事では主に、2023年度の高校1・2年生が対象となる〈新課程〉における「化学」の内容について扱います。履修および大学受験時の学年についてご注意ください。

1. 有機化学の特徴

「化学」科目は「理論化学」「無機化学」「有機化学」の3つの分野から構成されています。「有機化学」では、炭素によって分子の骨格が形成されている有機化合物をメインに扱います。
「理論化学」に比べて学習する内容は少ないですが、「中和反応」や「酸化還元反応」などの化学反応や、「化学平衡」といった理論化学の知識が必要となる場面が多々あります。
一方で「無機化学」とはそこまで関連が強くないため、「無機化学」と「有機化学」の複合問題はほとんど出題されません。したがって、「理論化学」の基本事項について6~7割以上理解してから、「無機化学」「有機化学」の好きな分野から勉強を進めることが可能です。
また、大学受験の「化学」は、他の理科3科目(物理、生物、地学)に比べると、暗記が必要な“知識”と、理解が必要な“計算過程”がバランスよく問われます。「化学」のなかでも「有機化学」では有機化合物の構造を特定するための“計算過程”が問われる場合が多く、その際に「官能基」や代表的な化学反応などの“知識”を利用することが必要になります。
有機化合物の構造分析について検討すべき候補が多いことや、問題文で与えられる条件(=利用する“知識”)が幅広く、それらの条件を組み合わせて考察する必要があることから、全体的に難度の高い問題が多い分野となっています。したがって、「有機化学」では「官能基」や代表的な化学反応などの“知識“について特徴を完璧に理解した上で、問題を解く際に適切に利用できるかが合否の分かれ目となります。
”知識”のインプットをなるべく早めに終わらせ、アウトプットとして問題集1冊を完璧にこなせるまで演習を繰り返すことが合格への近道です。

2. 【新課程】有機化学の全体像~各単元の特徴~

「有機化学」では大きく分けて、(1)有機化合物の構造・分析(2)脂肪族化合物(3)芳香族化合物(4)天然有機化合物(5)合成高分子化合物の5つの単元を学習します。全単元共通して理解すべき内容がとても多いため、混同しないよう1つ1つ整理しながら覚えましょう。
各単元を学習する上で押さえるべきポイントについて簡単に紹介するので、ぜひ勉強計画に役立ててください。

2-1. 有機化合物の構造・分析

有機化合物の「官能基」「元素分析」「立体構造」「異性体」などについて学習します。これらの内容は以降の単元でも利用するため、抜けなくしっかり理解しましょう。なかでも「官能基」は有機化合物の特性を表すことから、構造決定の手がかりとなるためとても重要です。
「元素分析」は有機化合物の組成式を決定する際に必要な工程です。難度はそこまで高くありませんが、調べる元素を含む化合物の発生プロセスや、その生成物の確認方法を理解する場面において「理論化学」や「無機化学」の知識が必要となってくるため、併せて復習しておきましょう。
「異性体」には「構造異性体」「立体異性体」の2種類がありますが、これらを混同して理解しないように注意しましょう。「構造異性体」では炭素原子の枝分かれや酸素原子が含まれる場合は、「エーテル」や「アルコール」を考慮しましょう。一方で、「立体異性体」では“炭素元素Cの二重結合”“不斉炭素原子”に注目することが大切です。

2-2. 脂肪族化合物

有機化合物のうちベンゼン環(C6H6の六角形環状)を持たない化合物を「脂肪族化合物」といいます。脂肪族化合物は炭素原子の結合方法や官能基によって分類することができます。
以下に代表的な脂肪族化合物の分類を紹介しますので、まずはこれらを重点的に理解しましょう。

[1]アルカン(CnH2n+2

全て単結合からなる鎖式飽和炭化水素をアルカンといいます。
炭素原子数nによってアルカンの名称が異なるため、1つずつ確実に覚えましょう。
比較的安定な化合物ですが、塩素による置換反応や燃焼反応が起こる点には注意が必要です。

[2]アルケン(CnH2n

炭素原子間の二重結合C=Cを1つ含む鎖式不飽和炭化水素をアルケンといいます。
炭素原子間の二重結合C=Cの反応として、他の分子とさらに結合する付加反応があります。
付加反応は入試頻出であり、理解するには「マルコフニコフの法則」を押さえることがポイントです。

[3]アルキン(CnH2n-2

炭素原子間の三重結合C≡Cを1つ含む鎖式不飽和炭化水素をアルキンといいます。
基本的にはアルケンと同じような付加反応が起こりますが、H2Oの付加反応では生成物である「アセトアルデヒド」の構造が通常と異なる点に注意しましょう。

[4]アルコール

炭化水素のHをヒドロキシ基-OHで置換した化合物をアルコールといいます。
押さえるべきアルコールの反応は多々ありますが、なかでも脱水反応や酸化反応は入試頻出です。
脱水反応では温度の違いに着目し、酸化反応ではアルコールの級数を押さえることがポイントです。

[5]カルボニル化合物

ホルミル基を持つアルデヒドやカルボニル基を持つケトンをカルボニル化合物といいます。
代表的なカルボニル化合物であるホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトンの構造式や物理的性質を押さえましょう。
アルデヒドの検出反応(フェーリング液の還元、銀鏡反応)やヨードホルム反応は入試頻出です。

[6]カルボン酸

分子内にカルボキシ基-COOHをもつ化合物をカルボン酸といいます。
代表的なカルボン酸の種類数は多く、名前と構造式が一致しにくいため抜けなく覚えましょう。
カルボン酸の反応はどれも重要ですが、脱炭酸反応は構造の変化が比較的複雑であるため、注意して理解する必要があります。

[7]エステル/アミド

アルコールやフェノール類とカルボン酸から水分子がとれ、縮合した化合物をエステルといいます。
アミンとカルボン酸が縮合した化合物をアミドといいます。
エステル・アミドのどちらも、アルコールやカルボン酸といったこれまで学習した知識が問われるため、難しく感じた場合は該当する脂肪酸化合物の性質を復習しましょう。
エステルの加水分解は難関大学の入試問題でも扱われることが多いため、構造の変化をしっかり押さえましょう。

2-3. 芳香族化合物

有機化合物のうちベンゼン環(C6H6の六角形環状)を持つ化合物を「芳香族化合物」といいます。
ベンゼン環は付加反応よりも置換反応が起こりやすいため、以下に挙げるような複数の生成物が得られます。

[1]芳香族炭化水素

ベンゼン環に炭化水素基が置換してできた化合物を芳香族炭化水素といいます。
慣用名で呼ぶものが多いため、構造式と対応させて抜けなく暗記しましょう。
芳香族炭化水素では酸化反応が重要になります。炭素鎖の長さに関係なく、酸化後は側鎖がカルボキシ基-COOHになることに注意しましょう。

[2]フェノール類

ベンゼン環に直接ヒドロキシ基-OHが置換してできた化合物をフェノール類といいます。
フェノールの生成方法は入試頻出であるため、以下の代表的な製法3種類は確実に覚えましょう。

 □クメン法
 □ベンゼンスルホン酸塩のアルカリ融解
 □クロロベンゼンの加水分解

[3]芳香族カルボン酸

ベンゼン環に直接カルボキシ基-COOHが置換してできた化合物を芳香族カルボン酸といいます。
代表的な芳香族カルボン酸として安息香酸やフタル酸、サリチル酸などがあります。
サリチル酸の合成方法についてはしっかり押さえておきましょう。

[4]芳香族アミン

ベンゼン環に直接アミノ基-NH2が置換してできた化合物を芳香族アミンといいます。
芳香族アミンは他の芳香族化合物とは異なり、塩基性を示すことが特徴です。
アニリンに関する反応として、ジアゾ化やカップリングは入試頻出なので必ず理解しましょう。

2-4. 天然有機化合物

天然有機化合物では大きく分けて3つの単元を学習します。

[1]アミノ酸とタンパク質

カルボキシ基-COOHとアミノ基-NH2をもつ化合物をアミノ酸といいます。
アミノ酸はカルボキシ基-COOHとアミノ基-NH2の数に応じて液性が異なる点に注意しましょう。
アミノ酸が多数縮合することでできる高分子化合物をタンパク質といいます。
アミノ酸やタンパク質の検出反応は入試頻出です。

[2]糖類

糖類は分子式Cm(H2O)nで表されます。
加水分解によってそれ以上小さくならないものを単糖といい、2つの単糖からH2Oがとれて縮合したものを二糖類といいます。さらに多数の単糖が脱水縮合してできたものを多糖類といいます。
糖類では単糖の立体構造を理解することが重要です。単糖の種類によって構造が違うことを意識しながら覚えましょう。

[3]油脂

グリセリンC383と炭素数の多い鎖式1価のカルボン酸(高級脂肪酸)からなるエステルの混合物を油脂といいます。油脂の構造決定には高級脂肪酸について理解しておく必要があります。高級脂肪酸の示性式と名称を対応させて覚えましょう。
油脂の代表例として、セッケンの性質が入試でよく問われるため押さえておきましょう。

2-5. 合成高分子化合物

合成高分子は合成繊維と合成樹脂に分類できます。合成樹脂はさらに「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」に分けることができ、これらの化合物について名称や構造式、関連する化学反応式を学習します。分子量が大きいこともあり、どの化合物も構造が複雑であるため根気よく覚える必要があります。

3. 【新課程】有機化学の勉強におすすめの参考書7選

「有機化学」の学習内容の理解や問題の解法習得に役立つ参考書・問題集を、レベル別に厳選して7冊紹介します。

※この章で紹介する参考書は現行課程(2023年度の高校3年生が対象)の「化学」を取り扱っている書籍を含みます。購入の際は改訂版書籍が刊行されていないか、事前にチェックをお願いします。

3-1. 定期テスト対策レベル

宇宙一わかりやすい高校化学 有機化学 改訂版 宇宙一わかりやすい高校化学 有機化学 改訂版
理科
化学
宇宙一わかりやすい高校化学 有機化学 改訂版
0
船登惟希 水谷さるころ
  • ほしい (0)
  • おすすめ (0)

宇宙一わかりやすい高校化学 有機化学 改訂版』(学研出版)

有機化学の基本事項について、1単元につき見開き1~3ページで簡潔にまとまっています。異性体の構造決定については主鎖の数に応じて候補を挙げていく必要があるため、見開き4ページ以上のボリュームで抜けなく丁寧に解説されています。
見開きの左ページでは、各単元の重要事項について要点を押さえつつ、重要事項は赤字や枠付きで強調されながらわかりやすく説明されています。右ページでは図表を用いることで左ページに書かれた内容がイメージしやすくなっており、語呂合わせやイラストを通じて重要事項が記憶に残りやすい工夫がされています。
別冊の問題集も付いており、本書の理解度を確認することができます。問題数は少ないため、他の問題集を併用するのがおすすめです。
「これから有機化学の勉強を始める」「有機化学が苦手で何を覚えればいいかわからない」といった場合におすすめの1冊です。

 

橋爪のゼロから劇的にわかる無機・有機化学の授業 改訂版 橋爪のゼロから劇的にわかる無機・有機化学の授業 改訂版
理科
化学
橋爪のゼロから劇的にわかる無機・有機化学の授業 改訂版
0
橋爪健作
  • ほしい (0)
  • おすすめ (0)

橋爪のゼロから劇的にわかる無機・有機化学の授業 改訂版』(旺文社)

この参考書は以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
>> 【新課程】理系必見!無機化学の勉強法とレベル別おすすめ参考書6選

3-2. 大学入試対策レベル

大学受験Doシリーズ 鎌田の有機化学の講義  四訂版 大学受験Doシリーズ 鎌田の有機化学の講義 四訂版
理科
化学
大学受験Doシリーズ 鎌田の有機化学の講義 四訂版
5
鎌田真彰/著
  • ほしい (4)
  • おすすめ (4)

大学受験Doシリーズ 鎌田の有機化学の講義 四訂版』(旺文社)

大学入試における有機化学の重要事項について、要点を押さえながらわかりやすく説明されています。入試突破に必要な知識について、「これを覚えよう!」というアイコンで明示されつつ図表の形で見やすくまとまっています。
練習問題には実際の入試過去問が使われているため、理解度をチェックできるだけでなく、取り上げられている知識をしっかり理解することの大切さを、問題演習を通して実感できます。問題数は少ないため、他の問題集を併用して演習量を増やしましょう。
別冊付録の「入試で使える最重要Point総整理」では、赤シートを使って重要な化学反応の流れや有機化合物の合成実験のポイントなどを効率よく覚えることができます。定期テストや入試直前の総確認に活用しましょう。
どのレベルの大学を受験する場合でも、有機化学の基礎固めとしておすすめの1冊です。

 

有機化学演習 〈三訂版〉 有機化学演習 〈三訂版〉
理科
化学
有機化学演習 〈三訂版〉
0
  • ほしい (0)
  • おすすめ (0)

有機化学演習 三訂版』(駿台文庫)

難関国公立・私立大学対象の有機化学に特化した、全2章構成の問題集です。
第1章では入試頻出事項が簡潔にまとめられているので、問題演習を通じて忘れていた知識をその都度確認するとよいでしょう。
第2章では演習問題として例題56題、練習問題60題が用意されています。例題・練習問題のどちらも実際に難関大学で出題された問題なので、まずは解答の正誤に囚われず時間をかけて取り組んでみることが大切です。例題では、解説とは別に問題を解く上での注意点や、入試での出題頻度についてのポイントが説明されています。
「有機化合物の構造決定の演習を積みたい」「難度の高い問題にチャレンジしたい」といった場合におすすめの1冊です。

その他に大学入試対策レベルの問題集として、次の3冊をおすすめします。

化学基礎一問一答【完全版】2nd edition 化学基礎一問一答【完全版】2nd edition
理科
化学
化学基礎一問一答【完全版】2nd edition
0
橋爪健作
  • ほしい (1)
  • おすすめ (0)

化学一問一答【完全版】2nd edition』(ナガセ)

理系大学受験 化学の新研究 第3版 理系大学受験 化学の新研究 第3版
理科
化学
理系大学受験 化学の新研究 第3版
0
卜部吉庸
  • ほしい (0)
  • おすすめ (0)

理系大学受験 化学の新研究 第3版』(三省堂)

2023 実戦化学重要問題集 化学基礎・化学 2023 実戦化学重要問題集 化学基礎・化学
理科
化学
2023 実戦化学重要問題集 化学基礎・化学
4.7
数研出版編集部
  • ほしい (0)
  • おすすめ (0)

2023実戦 化学重要問題集 化学基礎・化学』(数研出版)

これらの参考書は以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
>> 【新課程】理系必見!理論化学の勉強法とレベル別おすすめ参考書6選

4. まとめ

「有機化学」は「理論化学」の知識が必要となる分野です。大学入試頻出の「有機化合物の構造決定」問題では、化合物の基礎知識や複数候補のある分子構造から答えを導き出す力が問われます。基礎を盤石にした上で正しく考察するためにも、本記事で紹介したおすすめの参考書を有効に利用しつつ、「理論化学」の復習も並行して計画的に勉強を進めましょう。
また、大学受験対策としては「理論化学」を完璧に理解してから「無機化学」「有機化学」の順に学習を進めるのではなく、「理論化学」を6~7割ほど理解できたら「無機化学」「有機化学」の好きな方から学習を始めましょう。「理論化学」での学びで「無機化学」「有機化学」の理解度をさらに高め、バランスよく勉強を進めていくことが合格への近道です!

StudiCoサポーター Y.H.
中央大学 理工学部合格