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英単語の覚え方を知る!学習効果を倍増させる大学受験生必見の勉強法

2019.06.20

英単語の覚え方で悩んでいませんか?大学受験において、英単語の暗記は欠かせない作業と知りつつも、膨大な量を前にうんざりしてしまっている人も多いかもしれません。
この記事では、着実な成果を生み出す英単語の基本的な覚え方から、特に有効と言われる「語源」に注目した勉強法を紹介します。複数の効果的なアプローチを組み合わせて英単語をモノにし、大学受験を勝ち抜くための底力を身につけましょう。

1. 英単語の覚え方・3つの基本アプローチ

そもそも、英語の学習段階において「語彙力がある」とは、どのような状態のことでしょうか。
マルチな英語の技能が求められるこれからの大学受験では、単に「意味」を知っている単語の数が多ければよいわけではなく、その「発音」や「スペリング」の知識、「イディオム」としてどのような形で使われるか、どのような前置詞とセットで使うのかなど、実際に英単語を運用するための力を身につける必要があります。
そのための英単語学習、つまり語彙力を高めるアプローチは複数あります。
正しい発音を身につけるために「聞いて覚える」、英単語集や単語カードなどを使って「見て覚える」、手を使ってノートなどに「書いて覚える」といった勉強法が主ですが、語彙力を飛躍的に伸ばすためには「単語の成り立ちを知る」といった方法もあります。
これらのうちのどれかが「唯一の正解」ということではありません。複数のアプローチを上手に組み合わせて、志望大学合格のために必要な英単語を効率よく覚えましょう

1-1. 英単語を聞いて覚える

英単語を覚える際は、初めから正しい発音で覚えることが大切です。そのためには、耳を使って「聞いて覚える」アプローチが欠かせません。
英語4技能のバランスを重視する昨今の大学入試では、リスニング試験の重要性が急速に高まっています。センター試験においても、筆記試験200点に対しリスニングテストは50点という配点であり、実に全体の5分の1という比率を占めているのです。
最近の英単語集は、アプリなどで音声が聞けるサービスが充実していますので、バスや電車の中でも気軽にネイティブの音声に触れることができます。
英単語を覚える初めのステップとして、単語集を見ながらその音声を聞いて、まずは正しい発音を覚えていきましょうその際、自分で声に出して発音することも大切です。恥ずかしがらずにどんどん声に出して読む練習を重ねましょう。
この方法は、音声サービスが付属している場合、基本的にどんな英単語集でも実践できますが、音声を使った覚え方がよくわからない、あるいは、徹底的に音声重視で単語を覚えていきたいといった人には、こちらの単語集もおすすめです。

音読英単語 必修編 [改訂版] 音読英単語 必修編 [改訂版]
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音読英単語 必修編 [改訂版]
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音読英単語 必修編 [改訂版]』(Z会)
数ある単語集の中でも「音読」を重要視したユニークな1冊です。
各単語につき「①単語⇒②その単語を含むフレーズ⇒③例文」という3種類の音声が収録されており、それを聞いて自分でも発音するというプロセスを繰り返すことで、より深く単語の記憶定着を図ります。耳と口をフル活用するこの英単語集は、今求められている「4技能」重視の英語力を身につけるのに適しています。

1-2. 英単語を見て覚える

続いては、「見て覚える」アプローチです。
これは、ただ漠然と英単語を眺めるということではなく、もっと積極的なものと考えてください。
具体的な方法は2つあります。
1つは、暗記用の赤シートなどを活用して、覚えるべき事項を隠して覚えるという方法です。
最近の英単語集には赤シートがついてくるのが一般的ですから、それを使って英単語の意味やスペリングを覚えましょう。
もう1つは、単語カードを活用する方法です。
これは、自分にとって覚えにくい英単語を攻略するのに有効です。大学受験用の標準的な英単語集は2000語程度の単語を掲載しているのが一般的ですが、その2000語の中には、すでに知っている単語もあれば、知らなかったけれども比較的楽に覚えられる単語もあり、さらには何度覚えてもすぐに忘れてしまう単語もあるでしょう。
このような「何度も覚えようとしているのに覚えられない/覚えてもすぐに忘れてしまう」という、自分にとって苦手な単語は、一旦単語集から切り離して覚えるのが得策です。そのためにおすすめなのが単語カードの利用です。
まずは赤シートなどを使って単語集を2周ほどした時点で、まだ覚え切れていない単語だけをカードに写していきます。カードには、表に英単語、裏にその意味を書くだけで十分です。完成したらカードをリングでまとめ、あとはひたすら暗記作業に励みます。
単語カードが真の威力を発揮するのはここからです。
単語カードでは確実に覚えた単語をリングから外すことができます。これにより、すでに覚えた単語とこれから覚えるべき単語が明確に区別されるため、暗記の作業効率が格段にアップするのです。
アナログな方法ですが、効果は絶大です。

1-3. 英単語を書いて覚える

どうやって「漢字」を書けるようになったのかを思い出してみましょう。日頃目にする機会の多い母国語に使われる漢字でさえも、私たちは何度も書く練習を通じて習得します。
となれば、日常生活で触れる機会の少ない英単語を覚える際に、「書いて覚える」というアプローチが必須なのは言うまでもありません。その重要性は、大学入試で受験するのが、センター試験などのマーク式テストだけだったとしても変わりません。
ただし、「書いて覚える」際に気をつけてほしいのは、ただ漫然とスペリングを紙に写していくだけの「手作業」になってしまわないようにするということです。
当たり前ですが、celebrateという単語を見ながらcelebrateと書くだけなら誰でもできます。「書いて覚える」アプローチの目標は、日本語訳(例:「~を祝う」)だけを見て、それに対応する英単語を正しいスペリング(celebrate)で書けるようになることです。
また、「書いて覚える」ことのメリットとしては、「成果が形に残ること」が挙げられます。
紙などに書くことで自分の学習成果が形に残り、達成感や自信へつながることに加えて、書き取った英単語が同時に視覚的な情報として脳に入ることで、記憶を補強する効果が得られます。
アウトプットとインプットを同時に実践できる、効率のよい勉強法と言えるでしょう。

2. 英単語の「成り立ち・語源」を知って効率的に語彙力アップ!

ここまでに見てきた3つの方法は、どちらかといえば機械的な作業に近いものでした。そして、語彙力強化のためには、そういった単純作業の積み重ねが欠かせないのも事実です。
これに加えて、より賢く効率的に英単語の知識を増やす方法も存在します。それは、単語の「成り立ち」を知るというアプローチです。
もう一度、漢字を例にとって見てみましょう。漢字には部首があり、例えば「さんずい」という部首をもつ漢字(例えば「海」「河」「池」「波」など)は「水」に関係する意味を持つと習います。
逆に言えば、見たことのない漢字であっても、もし「さんずい」が付いていれば「水に関係あるのかな」と類推することが可能になります。
これと同様のことが英語にも当てはまります。
例えば、enrichmentという英単語があります。この単語を「知らない」という人も多いでしょう。しかし、単語の成り立ちを考えれば、比較的容易に意味が推測できる単語です。
この英単語はまず、enrich・mentという2つの要素から成ります。
さらに、enrichはen・richという2つのパートに分解できます。richは「豊かな、豊富な」とか「金持ちの」という意味の形容詞ですね。接頭辞en-は「~の状態にする」という意味を単語に加えるはたらきをします。したがって、動詞enrichは「~を豊かにする、(質を)高める」「~を裕福にさせる」といった意味の動詞になります。enable(~を可能にする)、endanger(~を危険にさらす)といった単語にも同じ接頭辞が含まれています。
-mentはよく目にする接尾辞です。arrangement、payment、treatmentなどにも見られるように、一部の動詞の後につくことで名詞をつくるはたらきをします。
したがって、enrichmentは「豊かにすること、強化すること」を意味する名詞となります。
このように、接頭辞や接尾辞など、単語の成り立ちに関する基本的な知識があれば、初めて目にした単語でもその意味を類推することができるようになります。

利点はそれだけではありません。
次はbenefitという単語を例にとって考えてみましょう。「benefit:利益」という知識はすでに習得済みの人が多いかもしれません。
試しに、この単語を辞書で引いてみてください。benefitの「bene-」の部分がラテン語で「良く(=well)」の意味であることを教えてくれるはずです。この「bene=良く、well」というイメージが頭にあれば、benediction「祝福」、benevolent「慈悲深い、親切な」、benign「優しい/〈腫瘍などが〉良性の」(※ここでのbeniはbeneと同じ)といった同じ接頭辞を持つ単語をグループで覚えることが可能になるため、暗記作業の効率も向上します
「接頭辞や接尾辞を覚える方が面倒くさいし、非効率」というのは、もったいない誤解です。基本的な接頭辞や接尾辞の意味・イメージなどを知っていれば、確実に英単語の暗記は楽になります。
こうした知識を補強するのに最適な1冊を紹介します。

英単語の語源図鑑』(かんき出版)
テレビ番組で紹介されたことがきっかけで大ヒットした本です。「100の語源で10,000語が身につく!」と謳う本書では、10種類の接頭辞を中心として、単語の成り立ち(語源)が紹介されています。
大学受験に特化した参考書・問題集ではなく、気軽に読める「読みもの」ではありますが、勉強に疲れた時にパラパラとめくって読むだけでも十分学習効果が望めます。
この本のもうひとつのポイントは多数挿入されているイラストです。シンプルでありながらわかりやすく、接頭辞や接尾辞の意味・イメージが自然と脳に定着します。

3. 「使い分け」「組み合わせ」「繰り返し」がポイント

ここまで、英単語を暗記するための基本アプローチと、語彙力を効率的に高めるための方法を紹介しました。単語の暗記法に唯一の正解というものは存在しません。紹介してきたそれぞれの方法を、学習する英単語の性質や場面に合わせて、使い分ける・組み合わせるといった工夫をおこなうと効果的です。
例えば次のような勉強法が考えられます。

●つづりが長くて覚えにくい英単語
対象の英単語を辞書で引いて単語の構成・成り立ちを理解し、語が示す意味をイメージでとらえる
→ 構成を意識しながら書き取り練習で記憶に定着させる

●発音が例外的で覚えにくい英単語
通学時間のバスや電車の車内で英単語集を見ながらイヤホンで音声を聞き流し、要注意の英単語にチェックをしておく
→ 発音注意の英単語のみを集めた単語カードを作り、自宅で集中的な発音練習に取り組む

このように、効果的な英単語の勉強法を編み出して実践することは、限りある大学受験の勉強時間を考慮すると重要である一方、暗記の基本はあくまで「繰り返し」であることも心に留めておきましょう。
勉強法を突き詰めることにとらわれ、学習の基本である「反復」がおろそかになってしまうことには注意が必要です。
地道な反復学習の上に効率を意識した工夫を重ねることで、初めて学習効果は倍増します。

4. まとめ

大学受験生が知っておきたい英単語の基本的な覚え方・効果的な勉強法を紹介しました。最後にポイントをまとめておきます。

  1. 聞いて覚える
    ・リスニング試験や暗記効率化のためにも初めから正しい発音で単語を覚えよう。
    ・単語集に対応した英語音声をスキマ時間に聞いて、できるだけ自分でも発音するとより効果的。
  2. 見て覚える
    ・苦手な単語を覚えるにはアナログな「単語カード」の活用が威力を発揮する。
  3. 書いて覚える
    ・書き取ることでアウトプットとインプットを同時に実践。ただし単なる「書き写し」はNG。
  4. 「成り立ち・語源」を知る
    ・接頭辞や接尾辞などの知識があれば、初見の単語でも意味が類推できる
    ・同じ構成要素を持つ単語をグループで覚えることが可能になるため、暗記作業の効率も大幅アップ

暗記の基本は反復学習であることを前提に、各英単語の性質やシチュエーションに応じて、(1)~(4)の方法を使い分けたり組み合わせたりすることで、学習効果は倍増します。
英単語を1語覚えるごとに、合格までの距離が1歩近づくでしょう。努力は裏切らないことを信じて、受験勉強の基礎である英単語学習の歩みを進めてください。

岡本 眞一郎 先生(武南中学・高等学校)
1983年より都立高等学校英語教諭として、都立青山高等学校、都立戸山高等学校、都立白鴎高等学校、2014年より埼玉県立春日部高等学校、埼玉県立浦和高等学校と首都圏の進学校を歴任。2018年4月からは、埼玉県私立の武南中学校・高等学校で教鞭を執り、多くの受験生たちの指導に当たっている。