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英文法の苦手を解消!基礎からの学習ステップと文法知識が効率的に身につくおすすめ勉強法

2019.03.01

「英語のテストで良い点が取れない」「なんとなく英語が苦手」・・・そんな大学受験生にとって、「英文法」への苦手意識は、このような問題の最大の原因になっているケースがあります。英文法は、文法問題のみならず、長文読解、リスニング、英作文など、すべての問題を解くために必要な、英語力の根幹をなす知識です。この記事では、英文法を地道に習得することの重要性を押さえた上で、基礎から徹底して学習し直すためのステップと、とっておきの勉強法を紹介します。

1. 英文法への苦手意識はどこからくる?

英文法の習熟には、知識の積み重ねが大切です。
例えば、「現在完了形」と「現在進行形」がわからないままでは「現在完了進行形」は理解できませんし、「仮定法現在」がわからなければ「仮定法過去」も理解できません。
英文法の学習においては、どこかの段階でつまずいてしまうと、それ以降に習う文法事項の理解が困難になるという一面があるのです。
もしも「比較だけが苦手」「分詞構文だけよくわからない」というのでなく、英文法全体に苦手意識を感じているということであれば、中学英語の理解が不十分であるという可能性があります
英語を運用するための基本的なルールは、すでに中学英語の時点で網羅されています。
動詞の活用、時制(現在、過去、未来、完了)、比較、受動態、不定詞などは、すべて中学校の段階で学習済みであり、高校ではその応用を学んでいるだけといっても過言ではありません。

2. 焦りは禁物!いきなり高度な問題集に手を出さない

英文法が苦手だと感じている人が、いきなり本格的な大学入試対策用の問題集に取り組んだらどうなるでしょうか。
英文法の知識はますます混乱します。
したがって、英文法の基礎知識がある程度身につくまでは、大学入試用の難易度の高い問題集に取り組むのは、いったん後回しにしましょう
周りの人がどんな問題集を使って勉強しているかが気になるかもしれませんが、大切なのは、まずは自分の英語力を高めることのはず。「自分は自分」と割り切って、今の自分の実力を伸ばすために何を優先すべきかを考えましょう。その後の急速な英語力の伸びをイメージしながら、まずは、じっくりと基礎力を見直すことです。

3. 基礎ができていない場合は中学英語の総復習から

英文法の基礎ができていないと思ったら、まずは中学英語の総復習から始める必要がありま
高校受験のときに自分が使った参考書や問題集がまだ手元に残っているのなら、それを引っ張り出してきて、解き直すのも良いでしょう。
処分してしまっているなら、市販の参考書を1冊買ってきて最初から最後まで解きます。その際、中学校で習う文法事項が網羅されていて、かつ分厚過ぎない(=分量が多過ぎない)ものを選ぶようにしてください。

おすすめとしては、高校入試向けの問題集高校入試 中学3年間の総復習 英語』(旺文社)などが挙げられます。

さて、高校入試向けの問題集を使って、中学英語の総復習がひと通り終わったとしましょう。
その出来具合に応じて、次に進むステップを決めます。
おそらく、次の3つのうちのいずれかのパターンに当てはまるはずです。

(1)中学英語を総復習したら、あやふやだった文法知識が整理できた!
(2)中学英語を総復習したら、理解できた部分と理解できない部分があった
(3)中学英語を総復習してみても、やっぱり全体的によくわからなかった

それぞれのパターンをひとつずつ見ていきましょう。
まず(1)に当てはまった人の場合。もしあなたがこれに当てはまるなら、それほど心配はいりません。
ただ、高校英語は中学英語と比べて、次のような難しさがあります。

・例文に含まれる語彙が難しくなり、読む文も長くなる
・各文法事項について発展的な用法まで学ぶので、覚える内容が増える
・授業が進むスピードも速い

このため、中学英語の内容を理解できていても英文法に苦手意識がある人は、本質的には英語に対する理解力が高いにもかかわらず、暗記事項の数や進行のスピードに追いついていないだけという場合があります。このケースに相当する人は、自分のペースで高校英語の基礎から勉強し直すことで理解が追いつき、スムーズなステップアップが可能になります。
中学英語の総復習をおこない、特に問題が見つからないようなら、高校英語を理解する力も十分備わっているはずだと自信を持って、今度はじっくり自分のペースで高校の英文法を復習してみましょう。
英文法の勉強法やおすすめの参考書・問題集を紹介しているこちらの記事に進んでください。
>> 英文法の勉強法・決定版!大学受験を制する英文法習得のための3つの黄金ステップ

次に(2)の「中学英語を総復習したら、理解できた部分と理解できない部分があった」という人の場合。
これには、「感嘆文や間接疑問文の語順がやっぱりよく理解できなかった。でも、それ以外はよくわかるようになった」や、「助動詞の使い分けができない。でもそれ以外は大丈夫だ」などといったケースがあるかと思います。 
これに当てはまる人は、早い段階で自分の弱点が見つかったことを喜びましょう。
当然ですが、ここでよくわからなかった部分を放置してしまっては、状況は何も変わりません。理解が不十分だった項目に関しては、この記事後半の章に書かれている説明を参考にして、苦手を克服しましょう。

最後に(3)の「中学英語を総復習してみても、やっぱり全体的によくわからなかった」という人。
問題の原因は、英語の基本的な原則、英語の根底にある考え方がうまく理解できていないということにあるでしょう。
既に高校3年生で、もしも自分がこの状態にあるとわかったら、どうしても焦りを感じてしまうかもしれません。しかしここは落ち着いて、今何をすべきかを冷静に考えましょう。確かに困難な状況ではありますが、裏を返せば、英語の基本原則・根底にある考え方さえしっかり理解できれば、その後は急速な実力アップと巻き返しも可能です!

4. 中学英語もわからない・・・打開策は2通り!

「中学英語を総復習してみたものの、やっぱりよく理解できなかった」という、前章での(3)に該当する人がこの状況を打開するためには、主に2通りの解決策があります。

【A】「理解」重視型
問題演習からいったん離れ、日本語とは全く異なる「英語」という言語の根本から理解するための解説書・参考書を読み込んでいきます。オーソドックスな苦手克服法といえるでしょう。

【B】「量」重視型
とにかく大量の問題演習をこなし、正しい英文にできるだけ多く触れて慣れ、できれば暗記をします。そうすれば、英文法への理解は後から自然についてくる、という考え方です。本や参考書をじっくり読むのが苦手で、バリバリ問題を解きながら実力アップを目指したいという人向きです。

この2つの方法のどちらが良いかというのは、自分の性格や好みによって異なりますが、実際には、英語力向上のためには「英語という言語の根本的な理解」と「問題演習」は、どちらも必要不可欠です。
ただ、どちらも中途半端なまま立ち止まっていては 仕方ありません。まずは問題をたくさんこなしてとにかく慣れ、実践力を身につけることを優先するか、あるいは逆に、まずは腰を据えて解説書を読むなどして、英語の根底にある考え方への理解を深めた上で問題演習に取り組むか、という順序の違いがあるだけです。

5. 英文法を根底から理解する!おすすめの参考書3選

まず、前章の【A】「理解」重視型の人向けに、英語という言語を根本的に理解するための参考書・書籍を3冊紹介します。

イメージでわかる表現英文法(「英文法の本質」をビジュアルで解説)(学研プラス)
文法項目の本質を「コア」という革新的な考え方を使って説明している文法解説書です。ふんだんに挿入されているイラストによって、視覚的なイメージから英文法の核心に迫ることができます。この本を読めば「文法=堅苦しい、つまらない、単調、複雑」というイメージは払拭され、英文法が身近な存在に感じられるようになるでしょう。
特に「文字だけの説明は苦手・・・」「いくら授業を聞いてもよく理解できない」と感じている人にはおすすめ。忙しくて最初から最後まで読み通す時間がないという人でも、たとえば「冠詞(a/an, the)」の使い方がよくわからないなら、その章を読むだけでも十分勉強になります。
英語に苦手意識がある人はもちろんですが、英語が得意な人が読んでも理解がより深まるので、すべての受験生におすすめできる1冊です。

一億人の英文法 ―すべての日本人に贈る「話すため」の英文法』(ナガセ)
NHKラジオ講座の講師も務めている、大西泰斗先生の人気文法書。700ページ近くある分厚い本なのですが、スッと頭に入ってくる語り口調の文体と、その解説の面白さから、どんどん読み進めることができます。
このボリュームにもかかわらず、「本書の使い方・特徴」では「高校生なら1週間から10日」で本書を読破すべし、とされています。それくらいわかりやすくまとまっているということです。
英文法の基礎から発展的な知識まで、1冊で一気に習得したいという意欲のある人なら、英語の得意・不得意にかかわらずおすすめできます。一度通読しておしまいという本ではなく、分からない事項を確かめるための文法書として、ずっと手元に置いておきたい参考書です。

日本人の英語』(岩波書店)
日本人が陥りがちな間違いについての説明はもちろん、「そもそも英語とはどういう言語なのか」という根本的な理解を助けてくれる1冊。著者マーク・ピーターセン氏が、英語のネイティブスピーカーならではの視点で解説してくれます。
この本は特に、英作文対策を始めると難しさを痛感する、冠詞や時制など、日本語にはない英文法の理解を深めるのにも役立ちます。
英語が苦手だという人でも、読書好きな人、論理的な理解力の高い人は、この本を読むことで英語の理解が飛躍的に高まる可能性がありますので、ぜひ手に取ってみてください。

6. 「量」重視型で進めるなら知っておきたいリスク

続いて、【B】「量」重視型の方が自分に合っていると思った人向けのアドバイスです。
学校で英文法を教わった時のことを思い出してみてください。
まず先生から新たな文法事項について詳しい説明があり、それを理解した上で問題演習に取り組む、という順序で学んだはずです。「理解⇒問題演習」というステップは英文法学習の基本です。

ただ、それが唯一の正しいやり方というわけではありません。知識が定着していない段階でも、ひたすら問題を解き、間違えた問題を復習する、というプロセスを何度も繰り返す。このような実践的な訓練を通じて、理解が後からついてくる。・・・そういう勉強法もあります。この方法が自分に向いているという確信があるなら、挑戦してみる価値はあるでしょう。
ただし、この勉強法にはリスクもあるということは、あらかじめ頭に入れておいてください。
「理論の理解」という段階をすっ飛ばしているのですから、問題演習を始めても初期の段階ではわからない問題だらけで、その復習も相当大変になることを覚悟する必要があります。
また、「問題演習の繰り返し⇒後から理解がついてくる」というプロセスが成立するには、中途半端な分量では足りません。やはり、相当量の演習を積んで初めて可能になるプロセスなのです。それをこなす覚悟と実行力があるのなら、この方法でも十分実力はつきます。
「量」重視タイプの人は、このことを押さえた上で、大学入試向けの英文法・語法問題集の取り組み方を解説した、こちらの記事に進んでみてください。
>> 英文法の勉強法・決定版!大学受験を制する英文法習得のための3つの黄金ステップ

7. 「my例文」をつくろう!

最後に、英文法への苦手意識を払拭するための、とっておきの勉強法を紹介しましょう。
英文法・構文を覚える時に、自分なりの例文を作ってそれを暗記していく、つまり「my例文」を作るという方法です。
自分が覚えたい文法事項を盛り込み、かつ自分にとって身近な事柄を元に、たとえば次のような例文をつくってみるのです。

I decided not to play video games more than two hours a day.(比較
(1日に2時間以上ゲームはしないと決めた)

This year I spent my summer holidays in Sapporo, where my grandparents live.(関係副詞whereの非制限用法
(今年の夏休みは、祖父母が住んでいる札幌で過ごした)

I would rather go alone than go with my brother.(仮定法の慣用表現
(兄と一緒に行くくらいなら、1人で行く方がましだ)

誰に見せるものでもありませんから、内容はどんなものでもかまいませんし、多少間違っていてもかまいません。とにかく、自分にとってリアリティがある文をつくるというのがポイント。自分の経験、自分の好み、自分の考えに合わせて自由に例文を作成していきます。
「my例文」のメリットは、身近な題材を元にしているので暗記に適しているということです。TomやNancyといった架空の人物しか出てこない文より、自分やその家族、友人、好きなアーティストなどが登場する文の方が親しみやすく、覚えやすいのは当然ですよね。
また、このように重要な文法事項を組み込んだ例文を覚えておけば、単に文法の知識が身につくのみならず、英作文やスピーキングへの応用が利きます。条件や状況に合わせて自在に応用が利く「ストックフレーズ」となるのです。

8. まとめ

最後にもう一度、英文法を基礎から学習するステップについて確認しておきましょう。

  1. 英文法に対して苦手意識がある
    ・Yes ⇒ 中学英語を総復習する ⇒ 次のステップへ
    ・No ⇒ >> こちらの記事へ
  2. ・文法事項の知識が整理できた ⇒ >> こちらの記事へ
    ・やはり文法はよく理解できない ⇒ 次のステップへ
  3. ・対策【A】「理解」重視型 ⇒ この記事後半の章の内容をチェック
    ・対策【B】「量」重視型 ⇒ >> こちらの記事へ

英語力の伸び悩みを感じている人は、できるだけ早い段階で、英文法の基礎をマスターできているかを確認しておくことが重要です。基礎の理解が足りていないと気づいたなら、1日でも早く巻き返しのための勉強法を実行しましょう。その後の英語力に差が出てくること、間違いなしです!