• 地歴公民
  • 日本史

なぜ「日本史」を勉強するのか ~歴史の〈苦手〉を克服して楽しく学習!~

2021.07.20

「日本史」に対して苦手意識を持っていませんか?あるいは、「日本史は暗記科目」と捉えている人は多いかもしれません。でも、日本史は必ずしも退屈な暗記科目ではありません。それにせっかく日本史を勉強するなら、楽しい方が良いですよね。
私たちに身近な存在でもある「日本史」を、受験対策のためだけに勉強する科目と考えてしまうのはもったいない――。私は大学受験で日本史の対策に注力して勉強し、大学でも引き続き歴史を学びたいと感じて、日本史学を専攻しました。
この記事では、日本史を受験生時代から学び続けている私の経験を基に、歴史を学ぶ意義と苦手を克服するための勉強法、さらには日本史を楽しむ方法も紹介します!
(StudiCoサポーター M.N. / 青山学院大学)

1. なぜ日本史を勉強するのか

日本史は、人によって好き嫌いや得意不得意が大きく分かれる科目です。「日本史は暗記科目に過ぎない」「大学受験の対策のために日本史を勉強しているが、内容に面白さを感じられず、つまらない」という声もよく耳にします。また日本史に対して苦手意識がある人の中には、「何のために勉強するか分からない」「日本史の勉強をしたところで将来役に立たない、意味がない」と考える人もいるかもしれません。
――ですが、そんなことはありません。日本史を勉強することは、意義あることなのです。それに、せっかく日本史を勉強するなら楽しく学べる方が良いですよね。「日本史を学ぶ理由」は人それぞれですし、正解はありませんが、ここでは私の考える「日本史を学ぶ理由」を紹介します。

1-1. 「歴史から学ぶ姿勢」を体得する

日本史を含む「歴史」という学問分野の最大の特徴は、「他の全ての学問分野と密接に関係しているという点にあります。どの学問分野でも、それまでの功績が積み重なった上に現在の学びが存在しています。大学ではこれまでの研究を遡り、また文献を探して参考にすることが必須の作業となります。過去を知り、現在に活かすという行為は、日常的におこなわれていることなのです。
このような観点などから、多くの大学では教養専科で歴史分野の科目を設置しており、歴史を専攻しなくても歴史を学ぶ機会は存在しています。大学での歴史の授業は、受験対策での勉強とは大きく異なり、日本史などの歴史について論理的に思考することを主としています。1つの事象についてあらゆる角度から「考察」するので、これまで持っていた概念を簡単にひっくり返されることも少なくありません。
高校とは異なる歴史の世界が大学にはあります。将来的にどの学問を専攻しても、歴史的な考え方が必要になる場面は多く、大学での学びを深めるためにも高校での歴史の学習は意義あることなのです。

一方で、高校までの学習でも、大学での学びでも、「歴史の内容が直接将来役に立つことはない」と考える人もいるのではないでしょうか。そもそも、世界の全てのことが「直接自分の役に立つこと」だけで構成されているはずはなく、また「役に立つかどうか」の判断基準は、人それぞれの価値観で変化するものです。例えば「関ヶ原の戦い」の内容について詳しく覚えていても、日本史と直接的な関わりを持つ仕事に就かない限りは「役に立たない」でしょう。
しかし、「日本史を勉強する姿勢」や「日本史を勉強して身についたものの考え方」は役に立つのではないでしょうか。日本史を勉強していると、身分も職業も考え方も異なる様々な人物が登場します。その当時は肯定的な評価を受けていた人でも、時代が変わると低い評価を下されているということも少なくありません。これは時代が変化するにつれて、人々の価値観も変化しているということを示しています。
歴史上の事件を考察する時は、政治・経済・文化など様々な観点から考察します。例えば、鎌倉幕府3代将軍の源実朝は、一般的には将軍としては頼りないという評価をされていますが、文化的側面から見ると、『金槐和歌集』を完成させたという業績を残し、高い評価を受けています。評価は1つに定まらないのです。このように歴史は多角的な考察の上に成り立つ学問であり、その考え方は社会の中で生きる上でも重要になります。

1-2. 未来のために歴史を知る

さらに、日本史を勉強して身につけた「多角的なものの見方」は、グローバル化した社会を生きる上でとても重要なことです。今後、日本以外の国や地域の人とコミュニケーションを取る機会が増えることは間違いありません。そこで相手について理解しようとする時、その国や地域の宗教や歴史、環境、衣食住などについて調べると思いますが、特に歴史について知ることは、歴史上の出来事を把握するだけではなく、価値観を理解することにも繋がるのです。お互いを尊重するためには、価値観を押し付け合うことなく、理解し合うことが重要です。
また日本史は国内の歴史だけではなく、外国との交流も含まれています。国家間での価値観の相違から戦争が勃発したという事例もたくさんあります。歴史は繰り返されると言いますが、繰り返されるべきではない歴史も多数存在するのです。それらを繰り返さないためには、やはり歴史を知る必要があります。
一方で、歴史上で起きた事件と同じような出来事が起きた時、歴史から成功例と失敗例を学び活かすことができます。未来を創るためには過去を知らなければなりません。個人間での理解を深めるだけではなく、国際社会での関係性を理解するためにも、歴史を学ぶことは重要です。
以上が、私の考える「歴史を学ぶ理由」です。人はそれぞれ価値観が異なりますし、「歴史を学ぶ理由」について正解はありませんが、少しでも歴史を学ぶ意義を見つけるきっかけになると嬉しいです。

2. 日本史の「苦手」「嫌い」を克服する

ここからは、日本史の苦手意識を克服するための具体的な方法を紹介します。

2-1. 漫画を読む

日本史が苦手な人が発展的な知識を身につけようとしても、土台となる基礎レベルの事項が定着していなければ成績が伸びにくくなります。また日本史が嫌いという人は、その壁を取り払う必要があります。そこでまずおすすめしたいのは、「日本史の漫画を読む」ことです。普段自分の好きな漫画を読む時と同じ感覚で、日本史の漫画を読んでみてください。
様々な種類の漫画がありますが、自分で手に取ってみたときに、「これなら読めそう」という感覚がある本にしてください。そして、漫画は1周ではなく、何度も繰り返し読んでください。
歴史を学習する上で最も重要なことは、「歴史の流れを理解する」ことです。漫画ではとても簡単に歴史の流れが描かれていますが、何度も繰り返し読むことで初めて知識として定着します。歴史の流れを理解できていれば、その後どんな細かい内容を学ぶとしても理解しやすくなるでしょう。

2-2. 声に出してみる

手を動かして勉強することはもちろん大切ですが、より確実に日本史の知識を身につけるには「声を出す」という方法があります。教科書を音読することは歴史の流れを把握することに効果的です。また音読は、一字一句丁寧に読むことで、見落としを防ぐことができ、また誤って認識していた部分に気づくことができます。
さらに、「他人に説明する」ということも大きな効果があります。自分が身につけた知識をアウトプットすることで、上手く説明できなかった箇所は復習すべき点だと分かりますし、また間違っている点を指摘してもらうこともできます。

2-3. 基礎レベルの参考書を読む

日本史が少しでも身についたと感じたら、簡単な参考書を読んでみましょう。教科書とは異なり、参考書はそれぞれ性格が大きく異なるので、自分にぴったりの1冊を見つけやすいという特徴があります。
参考書も選んだ1冊を何度も読んでください。そして参考書の内容は徹底して覚えてください。ここで基礎レベルの内容確実に定着できていれば、この先難しい内容を学ぶ場面でも無理なく学習することに繋がるからです。

おすすめの基礎レベルの参考書を3冊紹介します。

教科書よりやさしい日本史 教科書よりやさしい日本史
地歴
日本史
教科書よりやさしい日本史
0
石川晶康/著
  • ほしい (1)
  • おすすめ (1)

教科書よりやさしい日本史』(旺文社)
日本史は難しいと感じている人に向けて作られた参考書で、タイトルの通り日本史の苦手を克服し、基礎的な内容を身につけることを目的としています。テーマごとに細かく分けられているので、スキマ時間で読むことも可能です。
説明文は短いですが要点が的確にまとめられています。また、図やイラストを用いた解説が右ページにまとめられており、日本史の勉強を始めるための1冊としては最適です。

石川晶康の日本史教室 石川晶康の日本史教室
地歴
日本史
石川晶康の日本史教室
0
石川晶康/著
  • ほしい (1)
  • おすすめ (1)

石川晶康の日本史教室』(旺文社)
基礎レベルの知識を定着させるための1冊です。本文はとても分かりやすく、日本史が苦手な人でもすらすらと読むことができます。
また日本史の要点が簡潔にまとめられており、押さえるべきポイントがはっきりと記されていることも特長の1つです。さらに最重要ワードは赤字になっているので、赤シートを使って学習することもできます。

名人の授業シリーズ 金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本【改訂版】 近現代史 名人の授業シリーズ 金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本【改訂版】 近現代史
地歴
日本史
名人の授業シリーズ 金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本【改訂版】 近現代史
4.7
  • ほしい (7)
  • おすすめ (2)

金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本』(東進ブックス)
日本史の中でも基礎レベルの知識に特化して解説している参考書です。タイトルにもある通り、「日本史における疑問を徹底的に解消すること」と「歴史の流れを理解すること」に重きを置いているため、日本史が苦手な人もすらすら読むことができます。
「原始・古代史」「中世・近世史」「近現代史」「文化史」の4冊で構成されており、時代順に読むことをおすすめします。難しいと感じる部分があれば、何度も繰り返し読んだり自分で調べたりしてみてください。学びを広げるきっかけにも繋がります。

2-4. 資料集を活用する

これまで教科書や参考書など「文章で説明されている本」を紹介しました。しかし文章を読んでいるだけでは知識の定着に限界があります。そこで活用すべきは「資料集」です。
資料集には基礎レベルから発展レベルまでの知識が収録されていますが、何より最大の特徴は「図・画像などを中心に構成されている」という点です。本来であれば足を運んで本物の文化財を見学すると良いのですが、なかなか難しいでしょう。そこで資料集を使って文化財を画像で確認します。写真などの画像を見ると記憶に残りやすくなりますし、また思い出すことも容易になります。
さらに資料集には、その出来事の相関図や家系図などの図がたくさん掲載されています。日本史では幕府の将軍などの役職に世襲制を導入している場合も多く、家系図で関係性を把握しておくとより深い理解に繋がります。また詳細な年表もあるので、歴史の流れを把握することにも役立ちます。
特に文化史の学習では資料集は欠かせません。大事な用語の印を付けたり何度も確認したりして、ボロボロになるくらい使い込むことをおすすめします。

3. 日本史は学校だけで学ぶものではない

日本史は学校で学ぶ内容が全てではありません。日本史を身近に感じながら、学校以外で日本史の楽しさを知ることができる方法にも触れてみましょう。

3-1. 博物館に行く

博物館と聞くと、堅苦しいという印象を抱いている人がいるかもしれません。普段はあまり訪れない場所かもしれませんが、博物館には非日常の面白い世界があります。
最大の特徴は本物の文化財が展示されているという点です。本物を見ると、写真だけでは分からない部分を知ることができます。文化財には、展示品そのものにたくさんの情報が含まれているので、じっくり観察してみると新たな発見がたくさんあるでしょう。
また最近の博物館では、本物の文化財を見るだけではなく、実際に触れる展示や最新技術を活用した展示など、来館者に楽しんでもらうための工夫を多く取り入れています。
特に、博物館では体験型の展示や企画もおこなわれており、歴史についてより実践的に学習することができます。文化財は簡単に触れられるものではありませんから、とても貴重な経験になると思います。そのようなプログラムを見つけたら気軽に申し込んでみてください。
さらに同じ歴史系の博物館でも、それぞれ得意としている分野が異なります。たくさんの領域をカバーしている博物館もありますが、その地域の歴史である郷土史について詳しい博物館や1人の偉人に特化した博物館など、様々な種類があります。また特別展として期間限定でおこなわれる展示もあります。
まずは興味のある展示を見つけ、そこに足を運んでみてください。自分の住んでいる地域に、郷土史をメインとした博物館の展示があれば、知っている地名などの情報から、より身近に歴史を感じられると思います。博物館のホームページを見るなどして調べてみましょう。
なお、「インターネットミュージアム」というサイトでは、全国の博物館や美術館についての最新情報や展覧会のレポート、特集記事を掲載しています。遠くて見に行けない展示についても知ることができますよ。ぜひ興味のある博物館や展示を見つけてみてください。
●インターネットミュージアム
美術館・博物館・ミュージアムはアイエム[インターネットミュージアム] (museum.or.jp)

3-2. 遺跡や神社、寺院に行ってみる

遺跡や神社、寺院などもまた本物を見て感じるという経験ができる場所です。その土地に行って肌で感じることで、その土地で起きたことや残っているものについて考えを巡らせてみてください。
遺跡などの場合、研究に基づき復元されている場所も増えています。神社や寺院では、敷地内に宝物館があり、そこに伝わる文物を展示しているケースもあります。
日本史と仏教や神道は、とても密接な関係にあります。その場の雰囲気を感じるだけでも貴重な経験になるはずです。自分の住んでいる地域の遺跡や神社・寺院なども、その地域の歴史と切り離せない関係があるので、日本史の理解を深めるきっかけになるでしょう。

3-3. テレビを見る

歴史に関連したテレビ番組はたくさんあります。「歴史は全ての学問分野と関係がある」と書きましたが、学問分野に限らず、人々の生活とも関わりを持っているということが、歴史番組の多さに表れています。偉人に焦点を当てた番組や、歴史上に残っている謎に迫る番組など種類も様々です。
有名な歴史関連の番組と言えば大河ドラマでしょうか。1年という長い時間をかけて放送されるので、マニアックな部分もありますが、ほとんどが史実に基づいてストーリーが展開されるので、ドラマを楽しみながら歴史についても知ることができます。
また「NHK高校講座」シリーズは、高校で学習する内容を解説した番組です。短時間で学習できるだけではなく、解説も分かりやすいので、苦手分野の理解に役立つでしょう。テレビでの放送だけではなくホームページで動画を公開しているので、自分のペースに合わせて視聴することをおすすめします。

4. まとめ

歴史を学ぶ意義を知って、日本史を楽しく勉強する――。苦手意識を克服して、日本史を得意科目にするためのポイントを振り返ります。

  1. 日本史の苦手を克服するために、まずは漫画や教科書、簡単な参考書を読むことで基礎レベルの知識を定着させる。
  2. 学校での勉強だけではなく、博物館などで「歴史が体現された本物を見る」という経験をしてみる。

日本史はとても奥が深い学問です。また、日本史は全てが連綿と繋がっている1つの「物語」とも言えるでしょう。日本史を学習すると、これまで自分が見ていた世界が一変するかもしれませんよ。

StudiCoサポーター M.N.
青山学院大学文学部史学科 合格