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日本史の「総理大臣」を攻略!各時代のポイントとおすすめ勉強法

2024.02.28

明治時代以降の日本史において、「総理大臣」は時代の流れに直結する一番のキーパーソンです。一方で、人数の多さに加え、それぞれがおこなった政策や政党との関係など、とにかく覚えることが多くややこしい、という悩みもあるかもしれません。

この記事では、日本史での歴代総理大臣を覚える際のポイントやおすすめの勉強法を紹介します。各時代の特徴も押さえつつ、問われやすく間違えやすい「総理大臣」についての知識をマスターし、周りに差をつけましょう!

1. 総理大臣を覚える際のポイント

日本史の総理大臣に関する学習を進めるにあたって、押さえておきたいポイントをレクチャーします。

1-1. 出来事の「流れ」でとらえる

総理大臣に関する知識の中でも、特にその人物が「なぜ辞任することになったのか」はとても重要なので必ず確認しておきましょう。その人物が在籍中におこなった政策や起きた事件が原因であることが多く、非常に問われやすいポイントです。
明治時代以降は、江戸時代以前と比べて1年の間で覚えるべき出来事がかなり多くなります。数年という短期間の中で、「○○内閣の時代の出来事を選びなさい」という総理大臣区切りで起こった出来事の時期を問う出題も多く、これらの並び替え問題なども難易度が高くなります。
こうした時期に関する問題を攻略するには、「総理の辞任」をキーに、出来事の流れを頭に入れておきましょう。

1-2. 「政党」との関係に着目する

各総理大臣と政党の関係も必ず確認するようにしましょう。
主にこの2点が問われやすいポイントとなります。

・政党内閣か否か
・どの政党の支持を受けているのか

政党内閣ではない場合は「その内閣を支持する政党」、また、政党の支持を受けていない場合は「なぜ特定の支持政党がないのか」(「超然内閣」「藩閥内閣」など)も確認しておきましょう。
また、政党そのものの変遷をたどることも近代史の流れを把握する上で非常に重要になります。
戦前までの日本においては、主に明治期の「自由党」「立憲改進党」の2大政党の流れを汲んでそれぞれ政党が派生していき、交互に組閣していくことが多いです。そのため、各時代の政党について「自由党」「立憲改進党」どちらの流れを汲んだ政党なのかを確認しておくことが大切です。
また、政党の創設者・成立時期をはじめ、その政党の前身、その後どのように派生したのかなども問われやすいポイントになります。合流・派生が多く政党の流れはとても複雑なので、資料集などの系図を活用することで、視覚的に整理するようにしましょう。

1-3. 内閣・総理大臣の特徴に注目する

その内閣や総理大臣自体の特色に着目してみることも大切です。政権のカラーや特徴を押さえることでおこなった政策への理解が深まり、記憶に定着しやすくなります。

例)田中義一(積極外交)・・・治安維持法改正、第一次山東出兵など
  浜口雄幸(協調外交)・・・ロンドン海軍軍縮条約調印など

また、特に金融政策・外交政策においては各大臣の特徴が反映されやすいため、頻出の外相・蔵相についても特徴をつかんでおくようにしましょう。高橋是清大隈重信といった複数の政権で大臣を務めた人物は、特に重点的な確認が必要です。

2. 時代ごとのポイント

各時代のポイントや特徴をそれぞれ解説しますので、通史を学習する上でも参考にしてください。

2-1. 明治期

法律の公布、条約提携などの出来事が多いです。伊藤博文松方正義など複数回政権を担った人物も多いため、政権の順番とおこなった政策が何次政権のものか、通史も参照して一致させておきましょう。
特に初期の内閣では、政権内の各大臣(山形有朋森有礼など)も以降登場する重要人物が多いため確認しておきましょう。

〈大学受験で問われる+α〉
明治期には多くの法律が成立しますが、「工場法」など公布と施行の時期にずれがある法律は、それぞれ公布・施行時の政権や時代を問われることがあります。

2-2. 大正期 

第一次世界大戦をはじめ外交政策の重要事項が多いため、総理大臣ごとに海外との関わり方について押さえておきましょう。政党の変遷も激しい時期なので、政党成立時の内閣や総理との関係、なぜその政党が成立したのかについても押さえておきましょう。

〈大学受験で問われる+α〉
大正期に成立した法律のうち特に重要な「普通選挙法」「治安維持法」は、その前後に複数回同法の改正がなされています。改正された内容や改正時の政権も問われることが多いです。

2-3. 昭和期(〜戦前)

軍事色が濃くなる時代のため、事件や戦争、軍事条約の締結などの出来事が多いです。条約については破棄や失効といった出来事も頻出ですが、確認が抜け落ちやすい点なので注意しましょう。
戦争に対する政策の結果・戦況などが政権の存続を左右することが多く、総理大臣の入れ替わりのスパンが比較的短いことが特徴に挙げられます。

〈大学受験で問われる+α〉
特に戦争が激化した終戦前の政権では、「ミッドウェー海戦」「レイテ沖海戦」などといった戦況の順番が細かく問われます。地図なども活用して流れを整理しましょう。

2-4. 昭和期(戦後〜)

終戦後は法律の公布、条約締結など現代の基盤にもなる重要な出来事が多いため、昭和期の中でも重点的に確認しておきましょう。
総理大臣においては、戦後~高度経済成長期において、吉田茂鳩山一郎池田勇人佐藤栄作など、連続して政権を持った人物が多い点が大きな特徴です。各人物とも比較的在職期間が長く、政策や出来事がかなり多いため、流れを重点的に整理しておきましょう。
また、終戦直後は政党の変遷が複雑です。戦前のどちらの党の流れを汲む政党なのかも含めて、「自由民主党」が結成されるまでの政党の変遷についても必ず確認しておきましょう。
なお、特に2000年代以降の現代史は、個別入試において出題される大学・学部が限られています。志望校の出題傾向を必ず確認するようにしましょう。

〈大学受験で問われる+α〉
複数回政権を担った総理大臣について特に重要な出来事は、人物名だけでなく「第何次内閣の出来事か」まで問われる場合もあります。戦後は任期が連続している人物が多く特にややこしいため、年号等でも出来事の流れを把握しておくようにしましょう。

3. 歴代総理大臣のおすすめ勉強法

早稲田大学・一般選抜入試の「漢文」でよく問われる問題形式ごとに、対策のポイントを解説します。

3-1. まずは順番をマスター! 

歴代総理大臣を覚えるにあたって、まず語呂合わせや替え歌などで順番を丸暗記し、そこから各人物についての知識を肉付けしていくという手順がおすすめです
特に近現代史は学校によっては習うのが秋以降、入試直前になることもあるため、順番だけでも暗記することでスムーズに理解しやすくなります。また、明治期以降は総理大臣の順番を覚えていないと解けない問題も多いです。暗記しておくことで素早く思い出せるようになりますので、テスト本番での解答時間節約にも繋がります。
暗記方法としては、「替え歌・語呂合わせ等を自作で暗記する」「ツールを活用する」などの方法があります。
自作で暗記する場合、時間はかかるもののそのぶん覚えやすいというメリットがあります。
ツールの活用に関しては、YouTubeのような動画サービスの利用がおすすめです。プロの塾講師が作成した替え歌や、キャッチーでくせになる替え歌など覚えやすいものが多いため、スキマ時間に動画を見るなどして効率的に暗記することができるでしょう。おすすめの動画を二つ紹介します。

こちらは「夏祭り」の替え歌です。「歌で感覚的に覚えたい」という人におすすめです。

歴代内閣総理大臣98 覚え歌 夏祭り 高校日本史

こちらは語呂合わせでの覚え方動画です。語呂合わせの意味まで解説されているため、頭に残りやすいでしょう。

147 歴代総理大臣の覚え方(語呂合わせ)日本史ストーリーノート第15話

3-2. 「流れ」をノートにまとめる!

情報量が多い総理大臣について流れを掴むには、通史と合わせてノートにまとめていくことがおすすめです。通史の年表ノートに、就任時期といった総理大臣に関する情報を付け加えていく、というまとめ方が効率的でしょう。
下のノートは一例ですが、使う色等のルールを決めて出来事や人物に意味付けをすることで、視覚的に情報を整理できるようにまとめています。

・黄線:辞職の原因となった事件や出来事

・青線:自由党の流れをくむ内閣、または政党

・緑線:立憲改進党の流れをくむ内閣、または政党

・線なしの総理大臣:非政党内閣

・総理大臣の数字:第何次内閣か

・「海」「外」のマーク:各政権における海相、外相

まとめ方の例として、ぜひ参考にしてください!

4. まとめ

日本史での歴代総理大臣の勉強法や、着目ポイントについてまとめます。

  1. 総理大臣の順番を替え歌などで丸暗記
  2. 各時代の特徴も踏まえ、「流れ」をノートにまとめていく
    (「政党との関係」「各政権のカラー」にも着目)

覚えることが多く近代史の核となる総理大臣ですが、裏を返せば彼らを攻略することで日本史の勉強が大きくはかどります。総理大臣に関する知識をマスターして、近代史を日本史の頼れる得点源にしましょう!

StudiCoサポーター Y.K.
早稲田大学 文学部 合格