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大学受験の英文法“苦手”単元の勉強法 ~「比較」「仮定法」「話法」「分詞」攻略のコツ~

2019.08.15

英文法は「時制」「仮定法」「関係詞」「受動態」など、様々な単元に分かれています。いずれの単元もマスターするのは容易ではありませんが、中には特に難しく感じられる分野が存在します。
ただそれらの分野も、なぜ難しく感じられるのか、どうすれば克服できるのかを知り、十分な問題演習を積めば、苦手意識は払拭されていきます。
この記事では、英文法の中でも特につまずきやすい項目として「比較」「仮定法」「話法」「分詞」をピックアップし、その攻略法を紹介します。

1. 比較

1-1. 「似ているけれど微妙に違う」要注意表現

「比較」は英文法の基礎を成す最重要項目のひとつです。
大学入試で出題される「比較」の問題はその基礎知識を問うものが大半を占めており、比較の強調、倍数の表現、「the+比較級+SV, the+比較級+SV」といった独特の表現などは、確実に押さえておく必要があります。
ただ実は、こうした最も出題頻度の高い項目の習得は、それほど難しくありません。比較の単元が難しく感じられるのは、例えば次のような問題を解くための知識の習得ではないでしょうか。

〈例題1〉
次の文に対応した英文の空欄に当てはまる語句として、適切なものを1~4から選びなさい。

そのパーティーには200人もの客が招待された。
(     )  200 people were invited to the party.

1. No more than
2. As much as
3. No less than
4. Not more than

「200人」という数の多さを強調したいので、「~もの(多くの)」という意味を表す「3. No less than」が正解です。選択肢の2も「As many as」であれば同じ意味になり正解になります。この問題でつまずく人は、次のような「否定語を含む比較表現」の紛らわしさに対処できていないことが原因だと考えられます。

no more ~ than ... 「・・・でないのと同様に~でない」
not ~ any more than ... 「・・・でないのと同様に~でない」
no less ~ than ... 「・・・と同様に~である」
no more than ~ 「~しかない」
no less than ~ 「~もの」
not more than ~ 「多くとも~、せいぜい~」

中でもno more ~ than ... 「・・・でないのと同様に~でない」を用いた次の独特の構文は、クジラを主語にした例文で有名なことから「クジラ構文」と呼ばれることもあるほど。

〈クジラ構文〉
A whale is no more a fish than a horse is.
クジラは馬が魚類でないのと同様魚類ではない。

日本人の感覚ではピンとこないこうした構文は確かに覚えるのが難しく、似たような表現がいくつもあるため混乱してしまうのも無理はありません。
では、どうすれば「比較」への苦手意識を克服できるのでしょうか。     

1-2. 優先順位を決めて攻略する

ポイントは「比較」という単元全体が難しいのではなく、「比較」単元に含まれるごく一部の項目がややこしいために、「比較」全体が難しいと感じてしまっているということです。
したがって、まずは比較的易しく、かつ入試でも狙われやすい比較全体の基礎、比較級や最上級の強調、倍数表現などを先に覚えましょう。これだけで比較単元に対する苦手意識はかなり軽減されるはずです。
ベーシックな知識を習得した後で、「否定語を含む比較表現」など特にやっかいな項目に取りかかるようにします。これらの項目は多くの受験生が苦手とするところなので、市販の英文法・語法問題集でも「コラム」として取り上げ、詳しく解説しているものがたくさんあります。ぜひそうした解説を熟読し、表現の成り立ちを理解するように努めてください。
このように優先順位を決めて取りかかれば、本当に難しいのはごく一部の項目であることを冷静に捉えることができ、効率的な学習が可能になるでしょう。

2. 仮定法

2-1. 「時制」の理解がカギ

次に取り上げるのは、苦手とされる英文法単元の“代表格”である「仮定法」です。
仮定法は日本語話者には馴染みにくい概念で、かつ使用頻度が高いため、入試で狙われやすい分野です。仮定法の理解を難しくさせているのは「現実 / 現実に反すること・実現可能性が低いこと」の区別に加え、時制(過去 / 過去完了)が絡んでくるということです。
仮定法が苦手な人は多くの場合、「時制」の理解が十分でないことが多いのです。裏を返せば、「時制」の理解を深めることが、結果的に仮定法の克服につながるケースが多いと言えます。
そのためにはまず、単純な「過去完了」から復習しましょう。
「過去完了」(=大過去)とは、過去のある時点よりさらに過去の時点の出来事・行為などを述べる際に使う時制です。
例えば、 

I arrived at the station at 8:00 this morning.
(今朝、私は8時に駅に着いた)

という文では過去時制のみが用いられますが、

The train had already left when I arrived at the station.
(私が駅に着いたときにはすでに電車は出発していた)

この文では、「私が駅に着いた」時点より前の出来事(電車が出発した)を述べるために、過去完了(had left)が用いられています。

2-2. 「仮定法過去」と「仮定法過去完了」のミックスが狙われやすい

これと同じことが仮定法でも起こります。
試しに、次の例題を解いてみましょう。

〈例題2〉
次の日本語の文を英訳しなさい。     

もし今朝もっと早く起きていれば、今頃あの電車に乗っていたのになあ。

この文では、「if節」(もし~していれば)が過去のことを表している(「今朝」に注目)のに対し、「主節」では現在のことを表しています(「今頃」に注目)。したがって、ここには「時制のずれ」があります。
仮定法では、現在のことは「過去形」で表し、過去のことは「過去完了形」で表すという決まりがあるので、答えは以下のようになります。

《解答》
If I had got up earlier this morning, I would be on that train now.

こうした「仮定法過去」と「仮定法過去完了」がミックスした文は大学入試で狙われやすい文法事項のトップクラスに属しています。
英語は積み重ねが重要な科目です。もし、ある単元(たとえば「仮定法」)の理解が難しいと感じられたら、その単元の基礎となる単元(例えば「時制」)にさかのぼって復習することで解決するケースがよくあるので覚えておくとよいでしょう。

3. 話法

3-1. 「話法」は影が薄い存在?

「話法」も苦手分野に挙げる人が多い項目です。
「そもそも、話法ってなんだっけ?」と思った人も多いかもしれません。英文法の項目の中で、ちょっと影の薄い存在であることは否定できません。
「話法」には、「直接話法」と「間接話法」の2種類があります。人の発言・セリフを“ ”(引用符)を使って「直接」表すか、それとも地の文に組み込んで「間接」的に表すかの違いです。     

[直接話法] He said, “I will go to Okinawa tomorrow.”
[間接話法] He said he would go to Okinawa the next day.

このように、直接話法を間接話法で言い換える際には、時制・人称代名詞・時を表す語句(・場合によっては動詞)を変更する必要があるのですが、それほど難しい分野ではありません。
それにもかかわらず「話法」に苦手意識を覚える人が多いのは、次のように比較的些細な理由によるケースが多いようです。 

・「話法」が英文法の最後の単元だから(※カリキュラムにもよる)
・他の単元と比べて入試に出る頻度が少ないため、学習を後回しにしがち

3-2. ポイントは「話法の転換」だけ!

入試で「話法」が問われる場合、圧倒的に多いのは「話法の転換」、それも直接話法を間接話法に転換させるという問題です。ひとつ例題に挑戦してみましょう。     

例題3〉
次の英文を間接話法に転換しなさい。     

My mother said to me, “Don’t forget to hand in your homework today.”

まず、母の発言が命令文であることに着目します。
命令文を間接話法にするときはtell O to doを使って表現します。ここでは否定の命令文なので、tell O not to doの形を用います。
ほかにも「依頼・お願い」であればask O to doを使い、疑問文であればask if/whetherを使って書き換えるなどのルールがあります。
あとは、代名詞のyourと時間を表すtodayを正しく書き換えれば完成です。

〈解答〉
My mother told me not to forget to hand in my homework that day.

繰り返しになりますが、入試で問われるポイントはこの話法の転換だけです。暗記事項もきわめて少ない分野なので、「話法」に費やす勉強時間も少なくて済みます。
このような分野を「何となく苦手」という状態で放置しておくのはもったいないことです。

4. 分詞

4-1. つまずきやすいのは「分詞構文」の多様な意味

最後に「分詞」を取り上げます。
おそらくこの記事で取り上げている4つの単元の中で、イメージや先入観を抜きにして実際に最も難しいのが「分詞」、とりわけ「分詞構文」ということになるでしょう。しかも分詞/分詞構文は使用頻度も非常に高いめ、よく理解できていないと文法問題のみならず、長文読解やリスニングでもつまずく原因となってしまいます。
「分詞構文」で苦手意識が生じる原因の1つは、その意味の多さにあります。
参考書によっても異なりますが、分詞構文は次のように説明されることが多いようです。

「時」「理由」「条件」「譲歩」「付帯状況」などを表す。「付帯状況」には「同時状況」と「動作の連続」の2種類がある。

付帯状況を除けば見た目は同じなので、文脈からこれらの違いを判断しなければならないということになります。
「時を表すにはwhen/as、理由を表すにはbecause/as/since、条件はif、譲歩はthough/althoughという接続詞をそれぞれ習ってきたのに、その全てを分詞構文で表せるなんてどういうことなの・・・」と戸惑ってしまうのも無理はありません。
しかし、実はこの分詞構文の「意味」というのはそれほど厳密に分けられるものでも、重要なものでもないのです。
大学入試で求められるのは、分詞構文を正しく運用できるかということであり、そのためには「意味」の理解ではなく、「態」の区別と「時制」をマスターする必要があります     

4-2. 「意味」より「時制」と「態」に気をつけよう

まずは例題を解いてみましょう。

〈例題4〉
次の空欄に当てはまる語句として正しいものを1~4から選びなさい。

(     )in Paris for 5 years when she was young, she speaks French fluently.

1. Had lived
2. Lived
3. Having lived
4. Living

この問題のポイントは「時制」です。
主節(she speaks French fluently)の時制は「現在」ですが、分詞句の時制は「過去」(when she was youngに注目)ですね。すなわち、ここには「時制のずれ」があります。
仮定法でも「時制のずれ」は重要ポイントでしたが、分詞構文でも同様です。分詞構文において、主節より前の時制を表すには「完了形(完了分詞)」を用いる決まりなので、例題の正解は「3. Having lived」となります。(問題文の意味は「彼女は幼い頃5年間パリで暮らしたので、流暢にフランス語を話す」)

次の問題はどうでしょうか。

〈例題5〉
次の空欄に当てはまる語句として正しいものを1~4から選びなさい。

(  )from a distant, the tree looks like a human figure.

1. Viewing
2.
Having viewing
3. Viewed
4. Having viewed

今度は「態」がポイントになります。
viewはここでは「~を見る」という意味の動詞です。主節(the tree looks like a human figure)の主語はthe treeです。「the tree」は「見る」のではなく「見られる」存在ですので、分詞は「受動態」にする必要があります。この文には「時制のずれ」はありませんので、「3. Viewed」が正解です。(問題文の意味は「遠くから見ると、その木は人の形のように見える」)
ここで見た「時制」や「態」のほかに、分詞の主語と主節の主語が異なる場合(独立分詞構文)もよく出題される文法事項です。

このように、分詞構文に関する内容が出題されたら、その「意味」より「時制」「態」「主語」は一致しているかといった点に注目するのがポイントだと言えるでしょう。

5. まとめ

苦手に陥りやすいそれぞれの英文法単元について、攻略のポイントをまとめておきます。 

〈比較〉
つまずきがちなポイント:「否定語を含む比較表現」の紛らわしさ
対処法:比較全体の基礎、比較級や最上級の強調、倍数表現などを優先的に覚えることで、比較という単元全体への苦手意識を払拭しよう。基礎が身についてから本腰を入れて「否定語を含む比較表現」に取り組めばOK

〈仮定法〉
つまずきがちなポイント:仮定法の前に「時制」の理解が不十分
対処法:時制、特に「過去完了」をよく復習しよう。また、「仮定法過去」と「仮定法過去完了」が混在する文が入試ではよく出題されるので要チェック。

〈話法〉
つまずきがちなポイント:実質それほど難しいことはないはずが、最後に習う単元だったり、覚えることが少ないことから後回しになったりして、結局手薄になっているケースが多い。
対処法:入試で出るのは「話法の転換」のみ。気をつけるべきポイントもそれほど多くないので、確実に得点源となるように演習を積むこと。

〈分詞〉
つまずきがちなポイント:「分詞構文」の意味(=「時」「理由」「条件」「譲歩」「付帯状況」(「同時状況」と「動作の連続」))が複雑で、しかも外見からは区別できないので難しく感じられる。
対処法:分詞構文で大切なのは、「意味」ではなく「態」や「時制」、「主語」といったポイント。これらの点にフォーカスを当て、問題演習を重ねることで苦手意識は軽減されるはず。

苦手意識を持ちやすい「原因」を明らかにして、これらの克服に恐れず立ち向かえば、「何となく苦手」の状況を脱出することができます。意識さえ変われば、英文法問題が大学受験の得点源になる日はもうすぐです!

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