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【共通テスト】地理Bの出題トピックと効果的な勉強法・おすすめ参考書

2022.05.25

「地理」は特定の国・地域の気候や地形などについて学ぶ科目です。気候の分布やその国の文化といった知識、地図や写真のような情報を通して、知らない国でもどのような生活を送っているか予想できるようになる楽しい科目です。また、2022年度の高校1年生から始まった新課程では、「地理」は必修科目となりました。
ただ、「地理の科目自体は好きでも、テストの点数に結びつかない…」というケースが多いのも事実。地理のテストではデータや統計を読み取り、持っている知識と関連付けて解答するという技能が必要になります。
この記事では、共通テスト「地理B」で押さえるべきポイントや、「地理の基礎知識」「データの読み取り方」を身につける時におすすめの参考書を紹介します。

1.【現行課程→新課程】「地理」の履修内容について

文部科学省が告示した新しい「高等学校学習指導要領」に則り、2022年度の高校1年生から順次「地理」の履修内容が変更されます。
新課程では、現行課程の「地理A」「地理B」の内容を再編した「地理総合」が必修化され、「地理探求」が選択科目になります。なお必修科目の「地理総合」は、〈持続可能な社会づくり〉〈地図・地図情報システム(GIS)の活用〉〈グローバル社会〉に重点が置かれています。
現行課程から新課程への移行において、「地理」について注意すべきことは以下の2点です。

・「地理総合」が必修化
・選択科目として「地理探求」が設置される

なお、共通テストも2025年度から「地理総合、地理探求」という試験科目になる予定ですが、この記事では現行課程の共通テスト科目「地理B」の内容を取り上げます。

2.  地理ってどんな科目?

2-1.「系統地理」「地誌」とは

地理の内容には「系統地理」と「地誌」と呼ばれる2つの分野があります。

  1. 系統地理:特定の地域にとらわれず、地形・天候・産業・農業・経済などテーマごとに学習
  2. 地誌:大陸・地域・国ごとに、各エリアの地形・天候・産業・農業・経済などのテーマを学習

「系統地理」ではテーマごとに学習をおこないます。
例えば、「大地形」分野の場合、〈新期造山帯〉はプレートの境界で造山活動が中生代〜現在まで起こっている地形、〈古期造山帯〉は古生代に造山活動があった造山帯、〈安定陸塊〉は先カンブリア時代に造山活動があった、あるいは今まで造山活動が起こっていない地形――といった具合に学習します。
一方「地誌」では、地域を個別に見ていきます。
「北アメリカ大陸」の地形を例にすると、西部を走る険しい「ロッキー山脈」は〈新期造山帯〉、アメリカ合衆国東部を走るなだらかな「アパラチア山脈」は〈古期造山帯〉、ハドソン湾を中心とする「カナダ楯状地」を含め北アメリカ大陸の大部分は〈安定陸塊〉に属する――といったアプローチで学習します。

2-2. 地理の勉強法

地理の効率的な勉強法は、先に「系統地理」を学び、その後に「地誌」で地域ごとに細かく見ていくという方法です。

  1. 「系統地理」→「地誌」の順番で学習する
  2. 知識から推測する力を養う

「地誌」では地域ごとに具体的な地名やデータなどが登場するので、暗記事項がとても多く、全てを最初から暗記することはかなり難しくなります。「系統地理」を先に学ぶことで、既に得た知識から新たに取り入れる内容を「推測する」ことが可能になります。

*地理の勉強方法についてはこちらの記事も参考にしてください。
>>大学入試の地理対策で知っておくべき効率的な勉強法と用途別のおすすめ参考書・問題集

3. 共通テストで出題される地理の問題

実際に共通テストの「地理B」では、どのような内容が出題されるのでしょうか。各分野で取り上げられるトピックと、高得点を狙うための対策を紹介します。

3-1. 共通テスト地理B〈自然環境〉

〈自然環境〉の分野では、地形や植生、天候について問われます。
2022年本試験の第1問では、「大陸棚の分布」や「河川流域の植生・地形」、「オーストラリアの気候」「アフリカ・日本の自然災害」について図やデータが示され、正しい選択肢を解答させる問題が課されました。
〈自然環境〉分野では、(1)国・地域・地球規模などのスケール感(2)互いのトピックの関連、という2点を意識しましょう。(1)については大きなスケールから小さいスケールの順で考え、該当地域の特徴を予想すると良いでしょう。(2)について特に「植生」と「天候」は密接に関係し「農業」にも深く関わってくるので、それらの関係性を意識しましょう。
また、〈自然環境〉は他の地理の分野である産業や人口などとも関わってくる重要な内容なので、しっかりと基礎を押さえる必要があります。

3-2. 共通テスト地理B〈産業と資源〉

エネルギーや産業について問われる分野です。
2022年本試験の第2問では、「炭田・油田の分布」や「地域別のエネルギー利用」、「二酸化炭素排出量」「発電量」「木材の用途」に関するデータが示され、情報を読み取る問題が課されました。
特にこの分野は〈持続可能な資源利用〉と絡めた出題がされやすいので、今後も重要になると考えられます。その際鉄や石油などの「資源分布」は地形と絡めて学習すると、項目を関連付けて効率的に学習できます。
また、資源の利用には経済発展や人口なども関係してくるので、「木材の用途は発展途上国では燃料として使うことが多いため薪炭材としての利用が多い」「先進国では燃料として木材を燃やすことは少ないので産業用が多い」のように、因果関係を意識した各国のストーリーを予測できるようにしておくと良いでしょう。

3-3. 共通テスト地理B〈都市・村落と人口、生活文化〉

都市や村落の形態・構造、人口分布などについて問われる分野です。
2022年本試験の第3問では、「富山県砺波平野の村落の形態」について写真から情報を読み取る問題や、「都市の構造」「ヨーロッパの旅客者の移動の様子」「シンガポールとドイツの人口ピラミッド」「カナダ・韓国・バングラデシュ・マレーシアの出生率」のグラフからも出題されました。
村落の形態や構造については常識を働かせて解ける問題もあるので、自分の生活している感覚も大切にしましょう。反対に、ヨーロッパの人口移動や外国の人口分布などは予想しにくい部分があるので、「出稼ぎ労働者」など必要な知識は押さえておきましょう。
また、日本では外国に比べて関心が薄いとされる「宗教」についても重要な要素なので、人口などについて考える時は意識しましょう。

3-4. 共通テスト地理B〈地誌の問題〉

特定の地域や国ごとの地誌が問われます。
2022年本試験の第4問では「ラテンアメリカ」について出題されました。
この大問では地誌について基礎的な知識からデータを読み取る力までが問われるので、地域ごとの地形の名前や気候の分布はもちろん、同じ地域内での「国別の比較」にも対応できるよう、産業や人口などについて特徴的な数字を持つ国や地域は覚えておくようにしましょう。

3-5. 共通テスト地理B〈地域調査の問題〉

主に日本国内の特定地域について、地形や気候などの自然環境、産業や人口などについて問われます。
2022年本試験の第5問では、「北海道苫小牧市周辺」が取り上げられました。
ここで取り上げられる地域は毎年特定の地域の受験生に有利にならないように配慮されているようです。したがって、どの受験生でも地理の知識や技能で解答できる問題なので、どの地域かという点だけにとらわれず、与えられた情報を最大限活用する練習を積んでおくことが必要です。

4. おすすめの参考書

4-1. 地理の基礎知識を身につけるための参考書・問題集

村瀬のゼロからわかる地理B 系統地理編  村瀬のゼロからわかる地理B 系統地理編
地歴
地理
村瀬のゼロからわかる地理B 系統地理編
4.7
村瀬哲史/著
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村瀬のゼロからわかる地理B 地誌編 村瀬のゼロからわかる地理B 地誌編
地歴
地理
村瀬のゼロからわかる地理B 地誌編
4.5
村瀬哲史/著
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村瀬のゼロからわかる地理B 系統地理編』(学研プラス)
村瀬のゼロからわかる地理B 地誌編』(学研プラス)
地理で必要な知識や気候の分布について「どうしてそうなるのか」を講義形式で論理的に説明してくれる一冊。わかりやすい図と文章で読み物としても楽しめる参考書です。系統地理だけでも読んでおくと、地理に対する基本的な考え方が身につきます。

 

瀬川聡の 大学入学共通テスト 地理B[系統地理編]超重要問題の解き方 瀬川聡の 大学入学共通テスト 地理B[系統地理編]超重要問題の解き方
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瀬川聡の 大学入学共通テスト 地理B[系統地理編]超重要問題の解き方
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瀬川聡の 大学入学共通テスト 地理B[地誌編]超重要問題の解き方
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瀬川聡
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瀬川聡の 大学入学共通テスト 地理B[系統地理編]超重要問題の解き方(KADOKAWA/中経出版
瀬川聡の 大学入学共通テスト 地理B[地誌編]超重要問題の解き方(KADOKAWA/中経出版
知識の整理から問題演習まで、1冊で仕上げることのできる参考書です。用語の確認だけでなく、実戦形式で図や写真を見ながら問題を解くのに必要な技能も身につけることができます。丁寧な解説も読み込んで、確実な知識の定着を図りましょう。

 

大学入学共通テスト 地理Bの点数が面白いほどとれる本 大学入学共通テスト 地理Bの点数が面白いほどとれる本
地歴
地理
大学入学共通テスト 地理Bの点数が面白いほどとれる本
0
瀬川聡
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大学入学共通テスト 地理Bの点数が面白いほどとれる本』(KADOKAWA/中経出版
人気シリーズ「点数が面白いほどとれる本」の地理B版です。地理を初めて学習する人でもわかりやすい解説が中心の参考書で、図を交えつつ要点がきれいにまとまっています。
必要な知識をインプットし、問題演習時に知識を確認する時などに使えます。

4-2. データの読み取り方を身につけるための参考書・問題集

改訂第3版 地理B 統計・データの読み方が面白いほどわかる本 改訂第3版 地理B 統計・データの読み方が面白いほどわかる本
地歴
地理
改訂第3版 地理B 統計・データの読み方が面白いほどわかる本
0
伊藤彰芳
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改訂第3版 地理B 統計・データの読み方が面白いほどわかる本』(KADOKAWA/中経出版)
地理の問題を解く上で重要な、「統計・データの読み方」が丁寧に説明されている参考書です。
頻出問題が取り上げられ、「データのどこに注目すれば良いのか」や「データの傾向をどう解釈すればよいのか」といった、提示された情報に対するアプローチの方法が解説されています。

 

データブック オブ・ザ・ワールド 2022 データブック オブ・ザ・ワールド 2022
地歴
地理
データブック オブ・ザ・ワールド 2022
0
二宮書店編集部
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データブック オブ・ザ・ワールド 2022 (2022年版 vol.62)』(二宮書店)
さまざまな統計や情報が集まったデータブックです。最新のデータが載っているので教科書や他の参考書で学習したことと照らし合わせることができます。
他にも教科書などに載っている情報と関連する詳細な資料が載っているので、さまざまなデータに対し予想を立てながら見ることで、規模感や数字の多寡など地理に必要な感覚が身に付きます。
統計・データはある程度ネットでも検索できますが、正確な資料にすぐに当たりたい時や、スマホを触って集中力を切らしたくない時におすすめです。

 

2022-共通テスト対策過去問題集 地理B 2022-共通テスト対策過去問題集 地理B
過去問題集
教科別
2022-共通テスト対策過去問題集 地理B
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駿台文庫
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2022-共通テスト対策過去問題集 地理B』(駿台文庫)
共通テストの前身であるセンター試験を含め、過去問を解くことでデータや図を読み取る練習ができます。
共通テストは、2つの項目を組み合わせて選択肢を1つの選ぶ形式や、会話文の穴埋め問題など、特徴的な出題形式が見られます。「形式に慣れる」という意味でも過去問は活用しましょう。

5. まとめ

地理の勉強法と共通テストでの出題内容、対策におすすめの参考書を紹介しました。
勉強法の要点をおさらいします。

  1. 「系統地理」→「地誌」の順番で学習する
  2. 知識から推測する力を養う

地理は点数につなげるのに工夫が必要ですが、味方にすると心強い科目です。紹介した参考書や勉強法を通して、ぜひ地理を得意科目にしてくださいね。

StudiCoサポーター Y.T.
お茶の水女子大学 文教育学部 合格