• 英語
  • 英語長文

パラグラフ・リーディングを実践!英語長文〈論説文〉を効率的に読み解くための王道テクニック

2019.10.11

大学入試で出題される英語長文、特に「論説文」の読解が苦手な受験生にとって、大きな助けとなるのが「パラグラフ・リーディング」というテクニックです。英語の論説文読解は、センター試験から私立大入試、国公立大2次試験に至るまで、必ずと言ってよいほど出題され、配点も高くライバルに差をつけやすい分野。英語長文読解における王道テクニック「パラグラフ・リーディング」の考え方とコツを身につけ、入試本番で高得点をマークするための実践力を養いましょう。

1. 英語論説文を制するための「パラグラフ・リーディング」

英語の論説文には、決まったスタイルがあります。文章の型がある程度決まっているのです。
もしかしたら、「物語文より論説文の方が難しい」という漠然としたイメージを持っているかもしれませんが、それは扱われているトピック(=話題、テーマ)が難しく感じられるのであって、文章の構成は、論説文の方がしっかりしており、読みやすくできています。ひいては、論説文は慣れればより確実に得点源にしやすいと言うことができるでしょう。

論説文の基本的なスタイル(型)は次の通りです。

・必ず1つのテーマ(主題)がある
・文章全体を通じて、テーマに関する筆者の「主張」が展開される
・主張に説得力を持たせるために、複数の「根拠」が挙げられる
・「根拠」に基づく説明のために、文章が複数の部分に分割される(これがパラグラフ(=段落)です)

この論説文の構成が分かると、どのような読み方をすればよいかがおのずと見えてきます。

まず、テーマを把握しましょう。
テーマとはその文章の主題のことで、例えば「畜産業が地球温暖化に及ぼす影響」、「日本の捕鯨文化に対する国際社会からの批判」、「女性がより働きやすい社会を実現するために何をすべきか」などといったものです。通常、テーマは第1パラグラフで提示されるので、読み始めてすぐに分かります。
次に、パラグラフごとに要旨を掴んでいきます
それらを繋ぎ合わせて、文章全体を通して筆者は何を主張しているのかを考えます。

このように、英語の論説文のスタイルに合わせて、パラグラフごとに要旨を掴み、筆者の主張を理解していく読み方を「パラグラフ・リーディング」と呼びます
このような英語の論説文の仕組みを理解していないと、
・長文がだらだらと続く文の連なりにしか見えず、集中して読めない
⇒文章の「要旨」(筆者が最も主張したいこと)を掴めない
⇒設問が解けない
…ということになってしまいます。

しかし、パラグラフの性質を理解し、パラグラフ・リーディングに熟達すれば、
・長文をいくつかのまとまりで区切られた文章として読める
⇒パラグラフごとの要点が掴め、文章全体の主張も把握できる
⇒設問に正解できる
…ということになります。

2. 論説文構造の具体例

ここからは具体的な例を挙げて、パラグラフ・リーディングを実践してみましょう。
例えば、次のような1文があるとします。

日本にとって外国人労働者の受け入れは良いことだ。

これだけでは、これが「良いこと」だと判断する材料がないため、説得力に欠けます。読者を納得させるためには、以下のように、その主張を支える(サポートする)根拠を提示する必要があります。

[主張]日本人にとって外国人労働者の受け入れは良いことだ。
[根拠1]超高齢化社会を迎える日本では、労働人口の減少が喫緊の問題である。外国人労働者を受け入れることで、労働者不足の改善が見込める。
[根拠2]また、移民としてやってくる労働者の多くは若者であるため、高齢化した日本社会に新鮮な活気をもたらすことが期待される。
[根拠3]さらに、様々な出自を持つ外国人が地域コミュニティーや企業に加わることで、異文化交流が深まり、日本の文化が豊かになる。
[結論]これらの理由から、日本は今後、より積極的に外国人労働者を受け入れるべきだ。

以上のような構成の文章であれば、「日本人にとって外国人労働者の受け入れは良いことだ」という「筆者の主張」に、説得力を持たせることができます。
これが論説文の典型的な構造です。通常、英語の論説文では1つのパラグラフにつき1つの根拠を提示していきます。そうすることで、見た目にも文章の構造が明確になるからです。

3. パラグラフ・リーディングに挑戦!

続いて、パラグラフ・リーディングのための練習問題に取り組んでみましょう。
ここでもパラグラフ・リーディングの方法を理解しやすくするために、あえて日本語の文章を取り上げます。
次の文から、(1)筆者の主張はどのようなものか(2)その根拠としてどのようなことを挙げているか、という2点を読み取ってみてください。

《練習問題1》
[1]カフェやレストランで冷たい飲み物を注文すると、プラスチックストローが一緒についてくるのが一般的だが、最近、プラスチックストローの提供をとりやめる店舗が増加している。なぜか。
[2]まず、プラスチックは環境汚染の原因となっていることが挙げられる。プラスチックは自然分解されないので、例えば浜辺に捨てられたプラスチックはそのまま海に漂い続ける。そのため、世界中で海洋汚染を引き起こしており、多くの海洋生物の生態に悪影響を与えている。
[3]次に、プラスチックは人間にも悪影響を及ぼす可能性がある。プラスチックは分解されずに、粉々に破砕され、きわめて小さな破片となる。それを微生物がエサと誤って飲み込んでしまう。その微生物を魚が食べる。その魚を人間が食べる。そうすると、人間がプラスチックを摂取することになるのである。
[4]そもそも、プラスチックストローは多くの人にとって必要不可欠なものではない。多くの人は、家で冷たい飲み物を飲む時、ストローを使わずに、直接コップから飲む。もしストローが必要だとしても、プラスチック以外の素材(紙など)があり、代替可能である。
[5]確かに、プラスチックは柔軟性に富む素材で使いやすいという利点はあるが、今後は上記のような理由から、できるだけその使用を減らしていくことが望ましい。

さて、この文章の「構成」を掴みましょう。

[1]導入
カフェやレストランで冷たい飲み物を注文すると、プラスチックストローが一緒についてくるのが一般的だが、最近、プラスチックストローの提供をとりやめる店舗が増加している。なぜか。〔=テーマの提示〕

[2]根拠(1)
まず、プラスチックは環境汚染の原因となっている。プラスチックは自然分解されないので、例えば浜辺に捨てられたプラスチックはそのまま海に漂い続ける。そのため、世界中で海洋汚染を引き起こしており、多くの海洋生物の生態に悪影響を与えている。

[3]根拠(2)
次に、プラスチックは人間にも悪影響を及ぼす可能性がある。プラスチックは分解されずに、粉々に破砕され、きわめて小さな破片となる。それを微生物がエサと誤って飲み込んでしまう。その微生物を魚が食べる。その魚を人間が食べる。そうすると、人間がプラスチックを摂取することになるのである。

[4]根拠(3)
そもそも、プラスチックストローは多くの人にとって必要不可欠なものではない。多くの人は、家で冷たい飲み物を飲む時、ストローを使わずに、直接コップから飲む。もしストローが必要だとしても、プラスチック以外の素材(紙など)があり、代替可能である。

[5]結論
確かに、プラスチックは柔軟性に富む素材で使いやすいという利点はあるが、今後は上記のような理由から、できるだけその使用を減らしていくことが望ましい。

パラグラフごとの「要旨」だけを取り出せば、下記のようになります。

[導入=テーマの提示]最近、プラスチックストローの提供をとりやめる店舗が増加している。なぜか。
[根拠(1)]プラスチックは環境汚染の原因となっている。
[根拠(2)]プラスチックは人間にも悪影響を及ぼす可能性がある。
[根拠(3)]プラスチックストローは必要不可欠なものではない。
[結論]今後はできるだけその使用を減らしていくことが望ましい。

文章全体の構造が把握しやすくなりますね。
筆者の主張は「結論」で述べられているように「プラスチックストローの使用は今後減らしていくべきだ」というものであり、その根拠を3つ挙げていることが分かります。

もう1題、練習問題に取り組んでみましょう。今回も、(1)筆者の主張はどのようなものか(2)その根拠としてどのようなことを挙げているかを読み取ってください。
先ほどより少し長い文章ですが、日本語なので読むこと自体にはそれほど苦労しないはずです。

《練習問題2》
[1]かつてはアメリカと並ぶ経済大国だった日本だが、今後、人口減少や他国の発展に伴い、国際的な経済競争力は弱まっていくと言われている。しかし、日本が世界でリーダーシップをとるためには、何も経済大国であり続ける必要はない。いま地球を脅かしている最大の問題の一つ、気候変動への取り組みにおいてイニシアティブをとることで、日本はこれまで以上の存在感を世界に示すことができるはずだ。
[2]そのための絶好の契機となるのが、2020年に開催を控えた東京オリンピック・パラリンピック大会である。実は、この大会では、五輪史上例を見ない画期的な取り組みがいくつか行われているのである。
[3]その内の1つが、五輪大会の競技会場および選手村で使用される全ての電力を再生可能エネルギーでカバーするというものである。言うまでもなく、石炭や石油といった化石燃料の燃焼による発電は、地球温暖化の主要因の1つと見なされている。東京五輪では、それに代わる再生可能エネルギーによる電気を使用する、あるいは、道路にソーラーパネルを敷いてそこから電力を得る、といった計画が進められている。
[4]もう1つのユニークな取り組みは、東京五輪で授与されるメダルの原材料を「都市鉱山」から得るというものである。通常、金、銀、銅などの鉱物は、鉱山から採掘することで得られる。しかし、これらの資源には限りがあり、しかも鉱山での採掘作業は大きな危険を伴うことでも知られている。「都市鉱山」とは比喩的な表現で、実際の山を指すのではない。これは、不要になって廃棄されるパソコンやスマートフォン、その他さまざまな電子機器に埋め込まれた「レアメタル」--貴重で希少な金属--を集合的に指す言葉である。電子機器はそのまま廃棄されると有害なゴミとなるが、見方を変えれば、貴重な鉄資源が埋まった「鉱山」なのである。そして、東京五輪の組織委員会は、今大会で使用される約5000個のメダルの製造に必要な資源をすべて、全国の市町村や市民の協力を得ながら、「都市鉱山」から回収することに成功したのである。
[5]日本は「技術立国」であるとは昔からよく言われてきた。テクノロジーを上手に活用することで資源の有効利用を図り、気候変動対策に結び付けることは、決して容易ではないが、不可能ではないはずである。まずはこの東京五輪をもって、日本は今後、気候変動対策の国際的リーダーになるという決意をアピールする契機とすべきではないだろうか。

筆者の主張(1)は、「日本は今後、自国の技術を活用することで気候変動対策を打ち出し、世界に存在感を示すべきだ」というものであり、それは第1パラグラフと最終パラグラフで繰り返し述べられています。
筆者は「2020年の東京五輪がそのきっかけとなる」と考えており、すでに行われている取り組みの例、つまり、自らの主張の根拠(2)として、「競技会場および選手村の全電力を再生可能エネルギーでまかなう」、「メダルの材料を『都市鉱山』から回収する」といった内容を挙げています。
この文章が英語で書かれている場合、パラグラフ・リーディングは大きな効果を発揮するはずです
この文章で最もボリュームがあるのは[3]と[4]の段落ですが、この2つのパラグラフの内容はやや専門的で、難しい語彙が多用されているので、読むのに非常に苦労するはずです。しかし、これらの部分が、筆者の主張を支えるための「根拠」であると分かっていれば、必要以上に時間をかけてこの部分を読む必要がなくなり、設問に関係する箇所により注目できるようになります文章の構造を意識しながら読むかどうかによって、設問を解くスピードに大きな差が生じるのです。

4. パラグラフ・リーディングの注意点

パラグラフ・リーディングは英語の論説文を読み解く上で大いに有効なテクニックですが、「落とし穴」もあります。
それは、あらゆる英文が[序論・主張→根拠(1)(2)(3)…→結論]のように、きれいな型通り構築されていると思い込み、文章の構成自体を誤って把握してしまうということです。これでは本末転倒です。
パラグラフ・リーディングの目的はあくまで、論説文の主旨を効率的かつ正確に把握することです。筆者の主張は何か、その根拠として何を挙げているか、ということを意識しながら読むためのテクニックです。
当然のことながら、試験で出題される英文はそれぞれ段落数も異なり、論の展開の仕方も文章によって異なります。したがって、「この方法さえ知っていればどんな英文でもラクラク読める」という魔法のようなメソッドは存在しません。
それでも、文章全体に通底するテーマは1つであり、筆者の主張を裏付ける根拠は、1つのパラグラフにつき1つという大原則は共通しています。パラグラフ・リーディングというテクニックが有効なのはこのためです。その本質を押さえ、あくまで「文章の内容を理解する」というリーディングの目的を見失わないようにすることが大切です。

5. 先輩の体験談「意識するだけで変わる!」

パラグラフ・リーディングを実践することの重要性に気づき、見事、志望大学合格を掴み取った先輩の声を紹介しましょう。

私はパラグラフ・リーディングの重要性を知るまで、長文読解に時間がかかりすぎることが悩みでした。しかし、この方法を意識するようになってから、パラグラフごとにキーワードに印をつけ、要点をまとめ、それを繋げることで文章全体の主旨を素早く把握できるようになりました。パラグラフごとの要点さえ掴めればいいので、分からない単語が出てきてもいちいちそこで立ち止まる必要がないということが分かったのが大きな収穫でした。現在は学習塾で英語を教えていますが、長文読解を苦手とする生徒にはパラグラフ・リーディングを教えるようにしています。意識させるだけで効果があるので、受験生はぜひともこの方法を習得してほしいと思います。
(東京大学 K・Yさん)

6. まとめ

最後に、英語の論説文読解に有効なパラグラフ・リーディングの要点を振り返ります。
まず、英語の論説文には決まったスタイル(型)があるということを押さえましょう。その中で1つ1つのパラグラフが、文章を構成する上でどのような役割を果たしているかを意識し、段落ごとの要旨を読み取ります。
文章全体を漫然と読むのではなく、パラグラフという固まりごとに要旨を掴み、それを繋げて文章全体の構造と主張を理解するということに意識を向けましょう
この考え方さえ身につけば、あとは練習あるのみです。どんな英語長文も文章構成がわかれば怖くありません。これからはぜひ、パラグラフ・リーディングを意識した長文読解を試してみましょう。

岡本 眞一郎 先生(武南中学・高等学校)
1983年より都立高等学校英語教諭として、都立青山高等学校、都立戸山高等学校、都立白鴎高等学校、2014年より埼玉県立春日部高等学校、埼玉県立浦和高等学校と首都圏の進学校を歴任。2018年4月からは、埼玉県私立の武南中学校・高等学校で教鞭を執り、多くの受験生たちの指導に当たっている。
data-ad-format="auto" data-full-width-responsive="true">