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【共通テスト】日本史の勉強法と攻略におすすめの参考書 ~問題形式別の対策で得点8割以上を目指す!~

2024.11.28

2021年度から始まった共通テスト。2025年度からは新課程となり、前身のセンター試験や他の私立大学入試などと比べても出題が特徴的で、まだ過去問も少ないから対策も不安になりがちですよね。特に社会科目は英・国・数などの主要科目と比べて対策が後回しになりがちです。
この記事では共通テスト・社会科目の中でも受験者の多い「日本史探究」に焦点を当て、出題の特徴から問題形式別の対策法、さらに対策に適したおすすめの参考書も紹介します!

※この記事では主に、2024年度の高校3年生が対象となる共通テストにおける「歴史総合、日本史探究」、その中の「日本史探究」の内容について扱います。履修および大学受験時の学年についてご注意ください。

1. 共通テスト「日本史探究」の特徴

共通テスト「日本史探究」の試作問題では、大門1の歴史総合を除くと、大門2から「テーマ史」「古代」「中世」「近世」「近代、現代」の5つの大門から構成されており、全時代の履修内容から比較的均一に出題されていました。
大きな特徴は、「知識のみで解ける問題が少なく、論理的思考力、読解力も必要とされる」点です。
「どれだけたくさんの知識を暗記できているか」ではなく「基本的な知識をどれだけ活用できるか、もしくは本質的に理解できているか」を重視する問題が多いです。
細かい知識を問われる私立大学の入試などと比べると基本的なインプットで対応できますが、当然一定の知識量を蓄えることは必要。頑丈な知識を土台にして、そこに思考力や読解力といったプラスアルファを積み上げていくイメージで対策を進めましょう。
また共通テストは、グラフや表・史料などをはじめ問題文の情報量が多く、思考する時間が必要なことも特徴の1つです。大門ごとに登場する学生がまとめたメモやポスターについては、すべての文章を読む必要がないものも多いため、最初に問を確認して「何が問われているのか」を確認することがおすすめです。社会科目のテストは比較的試験時間に余裕が持てるケースが多いですが、「共通テストは思ったよりも時間が余らない!」という声も聞きます。余裕をもって見直しができるように、時間配分にも意識しましょう。

2. 共通テスト「日本史探究」問題形式別の対策法

ひと言で日本史の問題といっても、ノーマルな知識問題から表・グラフの読み取り問題など、共通テストでは様々なバリエーションの問題が登場します。それぞれの問題形式を事前に把握することで、形式別に適した細かな対策が可能となり、自分の苦手や対策すべき分野を顕在化できるといったメリットがあります。
以降、2025年度新課程の試作問題から例題をピックアップしながら、共通テスト「日本史探究」で出題された各問題形式の特徴を紹介します。ぜひ参考にしてください!

2-1. テーマ史問題

テーマ史は、時代ごとではなく1つのテーマに焦点を当てる問題形式です。共通テストでは大問の1つとして出題されます。
「外交史」「女性史」など広いテーマから、「姓の歴史」「沖縄史」など狭いテーマが取り上げられることも多いです。対策としては、テーマごとに自分で情報をノートにまとめたり、資料集の特集ページなどを活用したりしましょう。ただ、広いテーマだと自分でまとめるのは大変なので、まず狭いテーマからまとめていき、それらを組み合わせることで広いテーマにも対応させていく方法がおすすめです。例えば「外交史」であれば、「朝鮮史」「沖縄史」「北海道史」など狭いテーマを積み重ねていくことで、より精度が高まります。
普段は日本史を時代ごとに学び、情報をまとめていくことが多いので、テーマ史の対策によって別の角度から知識を整理することができ、全体の学びの質も上がります!
例)試作問題  第2問 問1~問5

2-2. 表・グラフ読み取り問題

表・グラフ読み取り問題では、知識の活用、主に論理的思考力が問われます。
知識(主に時代背景が大切)を根拠としてグラフや表を読み解いていきます。表やグラフのデータがどのようなことを表しているのか確認し、時代背景などを踏まえつつ歴史知識でデータ(数値の増減など)を根拠づけるといった考え方を意識してみましょう。この時、問題の作成者がそこから何を読み取ってほしいのかも考えてみると根拠づけの助けになります。
また、共通テストは選択回答式なので、まず選択肢の内容を見てヒントにしてみるといった攻略法もおすすめです。
例)試作問題 第6問 問3

2-3. 史料読み取り問題

史料の読み取りでは、主に読解力と知識が問われます。
「史料内容の読解問題」+「関連した知識問題」がセットで1問とされることが多いです。後者の知識問題でも、史料の内容を読み取れていることが前提となるケースが多いため、史料に書かれていることから出来事や人物などを推測する力も必要です。問題を解く際は、先に選択肢を確認し、史料のキーワードになりそうな用語に目星をつけてから資料を読んでいく、という手順が取り組みやすいです。
また、史料は古文で書かれているものが多いので、「受験に古文を使わない」という人も少し文法などを復習しておくと安心です。
例)試作問題 第5問 問2

2-4. 地図・地名問題

建物や貿易地、都など、地名が問われる分野は多岐にわたります。また、旧国名ではなく現在の都道府県名を答える問題や、地名だけでなく地図上で場所を問うといった出題も見られます。
対策としてはまず、古代の行政区間の旧国名とその位置を把握しましょう。旧国名の名前を覚える際は、「石見銀山」「加賀一向一揆」など直接地名が使われている用語や、「飛騨山脈」「信濃川」「讃岐うどん」など今に残る地名や名物から連想していくと記憶に定着しやすいです。
旧国名の位置を覚える際は、現在の都道府県と比べてみて、地形が異なる部分を特に意識することが大切です。また、用語を覚える際、その用語の地理的情報も確認するように心がけましょう。
意外と対策が薄くなりがちな分野なので、この分野をしっかり対策することでライバルとも差がつきます!
なお、試作問題においてはこの問題形式は出題がありませんでしたが、地名や地図上で場所を把握することは、日本史全体の理解の定着につながるためぜひ対策してみてください。

2-5. 正誤問題

正確な知識を問う問題です。消去法で解ける問題もありますが、全ての選択肢について知識をしっかり持っておく必要のある問題も見られます。
どの正誤問題でも、用語そのものを問う内容より、用語に関する出来事の内容や因果関係が問われるケースが多いです。暗記だけでなく、その用語と関連情報をしっかりと理解するように心がけましょう。用語集などで学習する際、用語だけに印をつけるのではなく、説明文にも線を引くなどして覚えていくことで、用語への理解が深まります。
例)試作問題 第3問 問5

2-6. 時代並び替え問題

共通テストでは基本的に、年号を覚えなければ解けないような細かい時代の並び替え問題はあまり見られません。ただ、幕末以降の近代からは月単位でも流れが重要となる出来事が登場するため、細かく出来事の「順序」を確認することが大切です。
出来事を単体としてみるのではなく他の出来事との結びつきなどを意識して年表を作ってみるなど、流れを整理することを心掛けて対策しましょう。資料集や教科書の巻末にある時代年表を参考にするのもおすすめです。
以下に挙げた例題のように特定分野での並び替え問題も多いので、テーマ史の勉強法などもあわせて参考にしてみてくださいね。
例)試作問題 第3問 問2(1)

3. 共通テスト「日本史探究」の対策におすすめの参考書・問題集

3-1. 問題形式別の対策に効果的な参考書

まずは、これまで紹介してきた共通テストの問題形式を意識して対策する際に、おすすめの参考書を紹介します。特定の問題形式に特化した参考書もあり、重点的・効率的に学習できます。主に自分の苦手分野を中心に使用を検討してみてください。

攻略日本史 テーマ・文化史 整理と入試実戦 攻略日本史 テーマ・文化史 整理と入試実戦
地歴
日本史
攻略日本史 テーマ・文化史 整理と入試実戦
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攻略日本史 テーマ・文化史 整理と入試実戦』(Z会)

1部:テーマ史、2部:文化史の構成。それぞれの章の前半は重要事項のまとめになっており、手薄になりがちなテーマ史と文化史を整理して覚えることができます。赤シート等を用いて、効率的に学習しましょう。
後半は演習となり、テーマに沿った入試過去問で構成されているため、インプットとアウトプットでバランスよく学習できます。

大学入学共通テスト 歴史総合,日本史探究トレーニング問題集 大学入学共通テスト 歴史総合,日本史探究トレーニング問題集
地歴
日本史
大学入学共通テスト 歴史総合,日本史探究トレーニング問題集
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仙田 直人
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大学入学共通テスト 歴史総合,日本史探究トレーニング問題集』(山川出版社)

新課程の傾向も反映された、資料読解に特化した参考書です。基礎トレーニング編・実践トレーニング編・模擬テスト編の3部に分かれており、段階的なレベルアップを目指せます。他の入試過去問や問題集では対策が手薄になる部分なので、特に意識して取り組めるとよいでしょう。

名人の授業シリーズ 金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本【改訂版】 近現代史 名人の授業シリーズ 金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本【改訂版】 近現代史
地歴
日本史
名人の授業シリーズ 金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本【改訂版】 近現代史
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金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本』(ナガセ)

「原始・古代史」「中世・近世史」「近現代史」の3冊に分かれています。出来事が「なぜ」、どのような「流れ」で起こったのかが、図やまとめの表など視覚的な情報も用いながら丁寧に解説されています。
文体も口語調で展開されており、スキマ時間にパラパラ読み進められるなど、取り組みやすいのも特徴です。歴史の流れや出来事の因果を理解するのが苦手、という人におすすめ。
共通テストはこのシリーズでおおよそ対応可能ですが、9割など高得点を目指す人には『石川晶康 日本史B講義の実況中継』シリーズ(語学春秋社)もおすすめです。こちらはGMARCHや早稲田・慶應など難関私立大学入試の対策にもつながります!

日本史用語集』(山川出版社)

教科書に準拠した用語集です。そのため教科書と併用して使いやすいのが特徴です。1つの用語に対して説明がとても丁寧なので、歴史用語の正確な内容理解に役立ちます。
また、用語の隣に教科書で実際にその単語が出てきた回数が明記されているため、その用語の頻出度・重要性がわかります。共通テスト対策では掲載回数5回以上の単語を目安に確認していくとよいでしょう。
ただ、文字ばかりで解説も多く、日本史が苦手な人などからすると少しとっつきにくいかもしれません。もう少し軽めの用語集が欲しい場合は、『日本史B一問一答 完全版』(ナガセ)がおすすめ。1文1文が比較的短くまとめられており、こちらも各用語に付された星の数で頻出度が確認できます。

3-2. 入試過去問・予想問題

過去問と予想問題はどの入試でも外せない対策コンテンツです。平均的に5~10年分に取り組む受験生が多いですが、自分の入試方式に合わせて、共通テストの過去問6回分プラスαくらいの量に取り組むことをおすすめします。2021年から始まった共通テストの過去問は、追試験もあわせて6回分あります。プラスαで取り組む場合は予想問題を活用し、演習量を積みましょう。以下の2つを参考にしてみてください。

(1)各予備校の共通テスト模試が収録された過去問ならぬ過去模試集

2025共通テスト総合問題集 歴史総合,日本史探究 2025共通テスト総合問題集 歴史総合,日本史探究
地歴
地歴(その他)
2025共通テスト総合問題集 歴史総合,日本史探究
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河合塾日本史科
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2025共通テスト総合問題集 歴史総合,日本史探究』(河合出版)

実際に模試で使用された問題だけあり、本格的です。自分が受けた模試が含まれる可能性もあるので、なるべくかぶらないように注意しましょう。

(2)出版社が刊行する予想問題集

改訂版 大学入学共通テスト 日本史B予想問題集 改訂版 大学入学共通テスト 日本史B予想問題集
地歴
日本史
改訂版 大学入学共通テスト 日本史B予想問題集
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山田勝(進学教室講師)
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改訂版 大学入学共通テスト 日本史B予想問題集』(KADOKAWA/中経出版)

予想問題以外にも共通テストの傾向や対策法のレクチャーなど、参考書としても活用できます。

なお、2020年まで実施されたセンター試験は共通テストとやや傾向が異なるので、対策に使用する際には共通テストの過去問・予想問題を優先しましょう。センター試験時代は共通テストと比べて「表、グラフ読み取り」「史料読み取り」といった、知識プラスαの力を問う出題が少なく、知識系の問題が多いのが特徴です。センター試験の過去問は主に知識問題の補強など、補助的に活用しておきましょう。

4. まとめ

独特な出題形式のため専用の対策が必要となる共通テスト。「日本史B」攻略のポイントを振り返ります。

(1)出題の特徴をつかむ
特に思考力・読解力など知識プラスαの力が求められることが大きな特徴です。
(2)問題形式別に対策
自分の苦手な問題形式を把握し、参考書などを活用して重点的に対策しましょう。
(3)過去問・予想問題で実践演習
過去問が少ない共通テスト。予想問題を活用する、センター試験の過去問などで知識問題への対策を補強するなど、工夫しましょう。

これらの勉強法は共通テスト対策はもちろん、全体の入試対策にも活かせるはずです。この記事が、少しでも大学受験合格に近づくための助けになると嬉しいです!

StudiCoサポーター Y.K.
早稲田大学 文学部合格