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大学受験の世界史ってどんな科目?勉強法の基本ルールと参考書・問題集の使い方

2019.05.16

大学受験「地歴公民」の中から「世界史」を選ぼうと思っている、あるいは「世界史」を選択することに決めたけれども、どうやって勉強を進めたらよいのか、途方に暮れている人はいませんか?
この記事では、そもそも受験世界史とはどのような科目なのか、「いつから」「どのように」受験対策を進めていくべきなのか、大学受験「世界史」の攻略ポイントを解説します。

1. 大学受験における世界史の特徴

1-1. 世界史を学ぶ意義

受験で世界史を選択しようか迷っている、あるいは世界史を受験することにしたけれど勉強法がよく分からず、まだ着手していないという人もいるかもしれません。そんな人にぜひ知っておいてほしいのは、世界史は大いに勉強しがいのある科目だということです。それは単に、受験においてだけではありません。
大学進学後のさまざまな講義においても、社会人になってから世界情勢を把握する上でも、世界史の基礎知識があるかないかでその理解度は大きく変わります
新聞やテレビで見聞きする、例えば「イギリスのEU離脱」「イスラエルがガザ地区に空爆」などのニュースは、世界史を学ぶことでその本質をより深く、正確に理解できるようになります。アフリカの国々の多くが英語やフランス語を公用語としていることや、韓国と北朝鮮が元は1つの国であったのに今は緊張関係にあることも、世界史を学ぶことでその背景を深く知ることができます。
大げさでなく、世界史は「今」を理解するために必要な学問なのです。
文系理系を問わず、将来は世界を舞台に活躍したい、海外の人々や企業と関わる仕事がしたいという人には特におすすめです。ぜひ大学受験を機に世界史を勉強し、将来に役立ててください。

1-2. 大学受験における世界史

さて、大学受験において世界史はどのような科目なのでしょうか。
世界史を含め、地歴公民の科目は暗記すべき事項が多いと言われます。確かに覚えるべきことが多いというのは事実で、勉強し始めたばかりの頃は途方に暮れてしまう人もいるかもしれません。
しかし逆に言えば、努力が確実に実を結ぶ科目です。特にセンター試験は、比較的広く浅い知識で解けるため、満点を狙うのも十分に現実的な目標となり得ます。

世界史の受験勉強はどのような人に向いているでしょうか。
基本的に世界史は文系向けの科目だと言えます。国公立大学を目指す理系の受験生は、センター試験で地歴公民から選択する必要がありますが、単純に暗記事項の量から言えば、地歴よりも公民から選ぶのが得策です。
ただし、たとえ理系の受験生であっても、子どもの頃から読書などを通じて世界史に通じている、あるいは純粋に世界史が好きだという人なら、それが受験科目として世界史を選ぶ十分な理由になるでしょう。
また、文系の受験生で世界史か日本史のどちらを選ぶかで迷っている人もいるかもしれません。世界史の方が日本史よりも広く浅い知識の習得で済む傾向はありますが、素直に「関心が強い内容はどちらか」で選ぶ方が勉強のモチベーションを維持しやすいため、結局は効率的だと言えます。
受験科目を世界史にするか日本史にするか迷っている人は、こちらの記事も参考にしてください。
>> 日本史・世界史、どっちを選ぶ?大学受験での選択におけるそれぞれのメリットと注意点
世界史は覚えることが多く地道な努力が必要ですが、理解が深まれば深まるほど、その楽しさに気づくことができるでしょう。

2. 受験世界史の具体的な勉強法

2-1. 4つの学習ステップ

世界史の受験対策の学習ステップは、大きく分けて、(1)基礎知識の定着 ⇒(2)「流れ」の理解⇒(3)問題演習 ⇒(4)過去問演習という4つのステップから成ります。ひとつずつ細かく見ていきましょう。

(1)基礎知識の定着
1つ目のステップは基礎知識の定着を図るというものです。
どんな難関大学を志望する人でも、基礎知識をおろそかにしてはハイレベルな実力も身につきません。
そして、基礎知識の習得にとって重要なのが、日々の学校の授業です。授業で習ったことをその都度復習し、少しずつ着実に知識を増やしていくのが、結局は一番の近道です。
初めは細かな用語にこだわり過ぎる必要はありません。教科書で太字になっていたり、用語集で重要度が高くなっていたりするものが、まずは暗記の対象となる用語です。
「一問一答」問題集を使うなどして、重要語句とその意味をひたすら覚えていきましょう。また、教科書や資料集に写真や図で示されているものは、必ず用語とそれらをセットにして覚えるようにします。
さらに、世界史では地理の知識も欠かせません。「メコン川下流域の扶南」「タリム盆地周辺のオアシス都市」といった文を見たときに、それがどこを指すのか分からないようでは、本当に理解したことにはなりません。
都市名や川・海・山など地形名は、地図で場所を確認しながら学習することが重要です。

(2)「流れ」の理解
2つ目のステップは歴史の流れの理解です。
世界史の知識は、それぞれがバラバラなままでは意味がありません。各知識を自分の頭の中で有機的に結びつけ、ストーリーを描いていく必要があります。
その際に特に意識すべきは「比較」「背景」「原因」「結果」といった観点です。
例えば、「アッシリア」と「アケメネス朝ペルシア」の対異民族政策は「比較」して覚えるべきです。「古代ローマで中小農民が没落」した「背景」には、「農民が従軍で疲弊」したことや「属州から安価な穀物が流入」したことがあります。「古代ギリシアで直接民主政が成立」した「原因」は、「サラミスの海戦で無産市民が活躍した」ことです。
このような点に注意しながら学習すれば、頭の中を整理することができ、次のステップで問題演習に取り組む時に必ず役立ちます。
また、歴史の流れを理解するには「抽象化」という概念も重要です。「イギリス国教会の成立」や「フランスにおける官僚制・常備軍の整備」は、どちらも「近世における中央集権化の一環」と抽象化できます。
ひとつひとつの出来事を歴史の大きな文脈の中に位置づけることができるようになれば、かなり世界史の力がついてきたと言えるでしょう。

(3)問題演習
3つ目のステップは問題演習です。
(1)基礎知識の定着(2)「流れ」の理解でインプットした知識を、問題を解く中で正しくアウトプットするための力をつけていく段階です。
ただし学習の進め方としては、1・2のステップが終わってから3に移るというより、1・2がある程度進んだ段階でこの3に取り組み、1と2をさらに強化していくというイメージです。このステップで、入試に必要な実戦力を養成します。
具体的な勉強法については、以降の内容で詳しく触れます。

(4)過去問演習
最後のステップは、志望大学の過去問演習です。
過去問に本格的に取り組むのは高校3年生になってからでよいでしょう。

2-2. いつから始める?

世界史の受験対策はいつ頃から始めるのがよいのでしょうか。
早ければ早いほどよいというのは言うまでもありませんが、現実的には、高校2年生の4月から通史の学習をスタートさせることが理想的です。
学校の授業をただ漫然と受けるのではなく、高校2年生の初めから入試に意識を向けてコンスタントに授業の復習や定期試験対策をおこなっていれば、着実に実力が身につきます。特に難関大学を目指す場合は高校2年生から本格的な勉強を開始することをおすすめします。
高校2年生の4月にはスタートできなかったという人も、3学期には受験に向けて気持ちを切り替えることが大切です。高校2年生の3学期は「高3ゼロ学期」とも言われるように、高校3年生でよいスタートを切るための重要な準備期です。この時期に、自分に合った受験勉強のスタイルを確立しておくことが重要となります。
世界史の受験対策における1つの目安は、高校3年生の夏休みのうちに基礎固めをひと通り済ませておくということです。
受験直前まで力は伸びるため、必要以上に焦ることはありませんが、夏休みに基礎力を固めておけば、秋以降は実践的な演習や過去問対策に専念することができるでしょう。

2-3. 何を・どう使う?

大学受験世界史を学習する上で欠かせない教材を挙げながら、その活用法を見ていきましょう。

●教科書
まず、世界史学習の基盤となるのは「教科書」です。
教科書の内容を100%理解していれば、センター試験やほとんどの大学の入試はもちろん、難関大学の入試にも十分通用します。
早稲田大・慶應大などの難関私立大学では、教科書に記載のない事項まで出題されるケースがまれにありますが、それはあくまで例外で、そのような問題で正解できなかったとしても、教科書の記載事項に関する問題で全て正解できれば、合格ラインに到達するのは確実です。
また、たいていの教科書の各章の「扉」部分には、その時代を概観する文章が記載されています。受験世界史では、細かな知識をひとつずつ覚えていくのと同時に、歴史全体を俯瞰する視点も身につける必要があります。そのために役立つのがこの部分の文章なので、読み飛ばさず、しっかり目を通しておきましょう。

●用語集
世界史に登場するあらゆる用語・地名・人物名などの説明・定義を掲載しているのが「用語集」です。
学習する際、分からない言葉、知らない言葉に出合うたびに、この用語集を使って調べることを習慣にしましょう。
最近では電子辞書の中に世界史の用語集が入っているという人も多いと思いますが、紙の用語集がおすすめです。自分で重要だと思う箇所にアンダーラインを引いたり、近くに掲載されている関連語句も同時に確認したりできるため、使い勝手がよいはずです。学校指定のものがあればそれを利用し、学校指定のものがなく何を使えばよいか迷うようなら世界史用語集 改訂版』(山川出版社)を買えば間違いありません。
早稲田大・慶應大などの難関私立大学を目指す人は、より掲載語数の多い『五訂 必携世界史用語』(実教出版)がおすすめです。

世界史用語集 改訂版 世界史用語集 改訂版
地歴
世界史
世界史用語集 改訂版
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全国歴史教育研究協議会/編集
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五訂 必携世界史用語 五訂 必携世界史用語
地歴
世界史
五訂 必携世界史用語
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世界史用語研究会/編集
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資料集
近年、大学入試では地図や史料を用いた問題が増加傾向にありますが、教科書に掲載された図版だけでそれらを網羅するのは難しいのが現実です。
そこで重要になるのが「資料集」です。資料集には各単元の年表、地図、写真などが載っており、歴史上の出来事や流れを視覚的に理解するのに役立ちます。
最新世界史図説タペストリー 十七訂版』(帝国書院)アカデミア世界史』(浜島書店)山川 詳説世界史図録 第2版』(山川出版社)流れ図 世界史図録ヒストリカ』(山川出版社)などさまざまな種類がありますが、学校で指定のものがある場合はそれを利用し、そうでなければ書店などに足を運び、気に入ったものを選びましょう。
ここまでは学校指定のものが多く、学校の定期試験対策にも必要なベーシックな教材ですが、受験世界史への対策を万全なものにするためには、以下に紹介するような市販の参考書や問題集を併せて使うのが効率的です。

山川 詳説世界史図録 第2版 山川 詳説世界史図録 第2版
地歴
世界史
山川 詳説世界史図録 第2版
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木村精二/監修
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流れ図 世界史図録ヒストリカ 流れ図 世界史図録ヒストリカ
地歴
世界史
流れ図 世界史図録ヒストリカ
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甚目孝三/著 谷澤伸/著 高橋和久/著 柴田博/著
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●「一問一答」問題集
基礎知識定着に役立つのが「一問一答」形式の問題集です。
学校の定期試験対策として配布されたプリントに赤シートで消えるマーカーを引いて、重要用語を覚えるという人は多いでしょう。しかし、それだけではその教材における文脈でしか理解・記憶できず、入試本番で別の角度から問われた際に対応できないというリスクがあります。
知識をより普遍的なものにしておくには「一問一答」が役立ちます。「一問一答」問題集の効果的な使い方や使うべきタイミング、おすすめの問題集などについては、こちらの記事に詳しいので参照してください。
>> 世界史の大学受験対策に必要な「一問一答」 ~効果的な使い方とおすすめ問題集5選~

解説形式の参考書
授業を受けているかのように学習できるのが、「解説形式の参考書」です。
大手予備校の人気講師が教科書の内容を噛み砕いて講義するという形式のもので、歴史の流れをつかむのに最適です。
河合塾・青木裕司先生による青木裕司 世界史B講義の実況中継』(語学春秋社)シリーズや、東進ハイスクールの荒巻豊志先生の荒巻の新世界史の見取り図』(ナガセ)、山川出版社から出ているこれならわかる!ナビゲーター世界史B』(山川出版社)などが分かりやすく、おすすめです。
また、世界史をさらに踏み込んで知りたいという人は、『詳説世界史研究』(山川出版社)を手元に置いておくとよいでしょう。

青木裕司 世界史B講義の実況中継(1) 青木裕司 世界史B講義の実況中継(1)
地歴
世界史
青木裕司 世界史B講義の実況中継(1)
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名人の授業シリーズ 荒巻の新世界史の見取り図 上 名人の授業シリーズ 荒巻の新世界史の見取り図 上
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世界史
名人の授業シリーズ 荒巻の新世界史の見取り図 上
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ナビゲーター世界史B 1 ナビゲーター世界史B 1
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ナビゲーター世界史B 1
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詳説 世界史研究 詳説 世界史研究
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世界史
詳説 世界史研究
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木村靖二/編集 岸本美緒/編集 小松久男/編集
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入試対策問題集・過去問(赤本)
基礎知識が定着してきたら、自分の受験する試験問題に準じた「問題集」を選んで取り組みます。
四択で基礎知識が問われるセンター試験、難易度の高い正誤問題が多く出題される私立大学入試、論述問題が出題される国公立大学入試など、試験によって問われる内容は異なり、さらに大学によっても出題傾向はさまざまです。
入手した問題集は、ひととおり解いて終わりにするのではなく、1冊の問題集を少なくとも2周は解くなど、徹底的にやりこむことが重要です。
そして、受験世界史対策の仕上げは「過去問」を使った出題傾向の分析と問題演習です。
大学によって、問題の出題形式はさまざまですが、例年ある程度決まった形式を踏襲して出題する大学が多いため、いわゆる「赤本」を利用して志望校対策をしっかり行っておくことが大切です。
とはいえ焦る必要はなく、過去問に重点的に取り組むのは高校3年生の秋・冬でよいでしょう。

3. 「縦の歴史」と「横の歴史」の整理が攻略のカギ!

受験世界史で確実に高得点を狙えるような力をつけるために重要なのは、他の教科と同じく、「インプット→アウトプット」の繰り返しあるのみです。
しかし、他教科に比べて世界史は覚えることがとにかく多いため、入試が近づいても知識が足りていないと焦ることがあるかもしれません。問題を解いていて理解が浅いと感じた単元についてはその都度覚え直し、入試直前までインプットを続けましょう。
世界史攻略のカギとなるのは、「縦の歴史」と「横の歴史」を整理することです。
通常、世界史の授業では、さまざまな地域を時代順に学習していきますが、扱う地域・時代が次から次へと変わっていくため、学習事項を頭の中で関連付けることができず、混乱してしまう人が多いのが現実です。しかし、この点をうまく整理し、確かな知識として身につけることが世界史で高得点を確保するためにはきわめて重要です。
というのも、ある特定の地域の歴史(=「縦の歴史」)をつなげて見る視点が必要な「地域史」と、ある時代において複数の地域の歴史がどのように展開しているか(=「横の歴史」)を見る「同時代史」が大学入試で狙われやすい頻出内容だからです。したがって、大学受験世界史の学習にあたっては、「縦」と「横」のつながりをそれぞれ常に意識することが大切です

4. まとめ

最後にこの記事のポイントを振り返りましょう。

  1. 大学受験における世界史の特徴
    世界史は「今」を理解するのに必要で、大いに勉強しがいのある科目。
    努力が確実に実を結ぶ科目で、特に広く浅い知識で解けるセンター試験では満点も十分狙える。
  2. 受験世界史の具体的な勉強法
    基本の学習ステップは(1)基礎知識の定着 ⇒(2)「流れ」の理解 ⇒(3)問題演習 ⇒(4)過去問演習
    歴史の流れを理解する際には、「比較」「背景」「原因」「結果」といった観点や、「抽象化」といった概念が重要。
    対策の開始時期は「高校2年生の4月」が理想的。遅くとも「高校2年生の3学期」までにはスタートを。
  3. 「縦の歴史」と「横の歴史」の整理が攻略のカギ!
    「縦の歴史」をつなげて見る視点が必要な「地域史」と、「横の歴史」を見る「同時代史」が大学入試で狙われやすい頻出内容。

今こそ、世界を舞台にしたダイナミックな科目「世界史」を有意義に勉強し、第一志望の大学合格につなげましょう!

松屋 直子 先生
大手学習塾で集団指導・個別指導を経験したのち、神奈川県の私立中高一貫校で社会科専任教員として5年間勤務。専門は世界史。学生時代にシリアに留学した経験を持つ。現在は子育てに奮闘中。
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