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センター試験英語で8割以上の得点をもぎ取るために ~リスニング得意型・不得意型が取るべき2つの戦略~

2019.03.08

中堅~難関大学を志望校としている人は、センター試験の「筆記」「リスニング」を合わせた[英語]で8割以上の得点を目標にしていることが多いでしょう。英語が得意科目であればそれほど難しい目標ではないかもしれませんが、英語があまり得意ではない場合、特に「筆記」はそれなりに得点できるけど、リスニングはかなり苦手…」という人にとっては、なかなか厳しいターゲットといえます。
この記事では「筆記」「リスニング」トータルで8割以上の得点を取るための戦略を、リスニングが得意な場合と不得意な場合とに分けて解説します。

1. センター試験「リスニング」の配点と傾向

まず、センター試験の英語における「リスニング」の配点と傾向から確認しましょう。
センター英語にリスニングテストが導入された2006年度当初と比べると、リスニング試験の問題は難化しています。導入から間もない頃は、センター試験のリスニングは「比較的容易」というのが一般的なイメージでしたが、近年の試験では、ネイティブスピーカーのナチュラルスピードにより近い速度で英語が再生されるようになったのに加え、使用される表現もよりこなれたものになっており、しっかり対策を立てて臨まないと、2~3割の得点すらままならないというほど高度なリスニング能力が問われるようになっています。
配点は、筆記試験200点満点(解答時間80分)に対し、リスニングは50点満点(解答時間30分)です。合計250点満点を0.8倍に圧縮して200点満点に換算します。
したがって、英語のトータルで8割以上の得点を確保するためには、圧縮前の点数で、筆記とリスニングを合わせて200点以上を取ることができれば良いという計算になりますね(250×0.8=200)。

2. 筆記・リスニング合わせて8割取るために

合算得点で8割(200点)となる組み合わせは、例えば以下のようになります。

【A:リスニング満点】筆記150+リスニング50=合計200

【B:リスニング8割得点】筆記160+リスニング40=合計200

【C:リスニング5割得点】筆記176+リスニング24=合計200

【D:リスニング2割得点】筆記190+リスニング10=合計200

このうち、両極端の【A】・【D】のパターンから見てみましょう。【A】のようなケースはかなり珍しいといえるでしょう。というのも、センター試験のリスニングで満点を取れる力のある人なら、筆記試験でもかなりの高得点を狙えるのが一般的だからです。少なくとも、リスニングで満点を取れる実力があるなら、このような組み合わせは、目標として設定するにはふさわしくありません。
そして【D】は、【A】以上に目標としては不適切です。
筆記試験で190点を獲得するのはかなり難しいということに加え、「リスニングは苦手だから、10点くらいでいいや」と初めから諦めて何も対策を取らずに本番を迎えると、そもそも10点(=5問正解)すらおぼつかない可能性があります。センター試験のリスニングは容易ではないため、初めから2割程度の得点を狙った勉強法では、そもそも2割すら得点できない可能性が高いのです。

3. 目指すべき現実的なライン

目標に設定するのに現実的なのは、【B】や【C】に近いパターンと言えるでしょう。
すなわち、戦略としては大きく分けて次の2通りが考えられます。

・リスニングが得意/苦手ではない
⇒筆記・リスニングの両方で8割以上を目指すという戦略(=【B】)

・リスニングが苦手
⇒リスニングでは5割得点を死守し、その分、筆記で9割近くの得点を獲得、トータルで8割以上を目指すという戦略(=【C】)

できれば【B】のようにバランスのよい得点を目指すのが理想的ですが、もし既に入試を直前に控えており、苦手なリスニングを今から得意にするには時間が足りないというケースもあるかもしれません。その場合は、結果として【C】のような組み合わせで英語全体の8割得点を確保できれば、目標は達成できることになります。

3-1. リスニングが得意/苦手ではない⇒満点を目指す

もしリスニングが得意なら、センター試験のリスニングでは、迷うことなく満点を目標にしましょう。難易度、問題数、出題形式、どの点からいっても、満点を取るのは十分に現実的なターゲットです。これは、試験本番で満点を取らなければ失敗という意味ではなく、あくまで目標として全問正解を目指すということです。
また、センター試験の他に2次試験でもリスニングが課されるという人は、そちらをリスニング力の到達目標レベルとして設定すべきです。難関大学が出題するリスニング試験は、センター試験とは別次元の難しさです。そのため、ある程度のセンター試験対策は必要ですが、2次試験のリスニング対策に取り組むことの方が優先となります。
2次試験のリスニング問題に対応できる力がつけば、センター試験のリスニングは相対的に易しく感じられるはずですから、短期間の学習でも十分対応できますしかし、その逆は成り立たないということを覚えておきましょう

センター試験のリスニングで満点を狙うための具体的な勉強法やおすすめの参考書については、こちらの記事に詳しいので、ぜひ読んでおいてください。
>> センター試験英語リスニングで「満点」を狙う!押さえておくべき3つの鉄則ポイント

3-2. リスニングが苦手⇒5割は死守。7~8割を目指す

続いて「自分はリスニングが苦手で、センター本番までに満点を狙う力を身につけるのはどう考えてもムリ!」というケースを見ていきましょう。
リスニング問題は、英文法の問題などとは異なり、ひたすら問題集を解くだけでも多少は実力がつくという分野ではありません。付け焼き刃の対策が通用しないのです。したがって、たとえ入試が直前に迫っているとしても、取るべき対策はリスニングの基礎力を鍛えるトレーニングです。
具体的には、英語の音声を繰り返す「リピーティング」、音声を書き取る「ディクテーション」、聞こえてくる音声の後に続いて発音する「シャドーイング」などのトレーニングを地道に積む以外に、実力を伸ばす方法はありません。
ディクテーションとシャドーイングの方法やおすすめの参考書について解説したこちらの記事を参考にして、早速トレーニングを始めましょう。
>> リスニングの2大トレーニング法「ディクテーション」と「シャドーイング」の極意とは!?

そして、センター試験英語(筆記・リスニング)で8割以上を目指すのなら、どんなにリスニングが苦手でも、リスニングで5割得点は死守する必要があります。その場合の筆記とリスニングの点数の組み合わせを再確認しておきましょう。

【C:リスニングが5割得点】筆記176+リスニング24=合計200

このように、筆記では9割近い得点を稼いでも、リスニングで5割の得点を取らなければ、全体で8割には届かないのです。
5割」というのはあくまで死守ライン。試験当日まではもっと高い目標を掲げて勉強しましょう。なぜなら先ほどパターン【D】のところで触れたように、初めから目標を低く設定すると、往々にして本番ではその目標にすら到達しないものだからです。あくまで「リスニングでも7~8割は取る!」というつもりで対策を続けつつ、リスニングで予想される失点をカバーできるように、筆記試験の対策にも力を入れるという姿勢が大切です。

4. 対策に不可欠な過去問演習

どちらの戦略を取るにせよ必要な対策が、センター試験リスニングの過去問演習です。
使用教材としては、いわゆる“赤本”と呼ばれるセンター試験過去問研究 英語』(教学社)がおすすめです。25年32回分の過去問が掲載されており、付属CDにリスニング問題が5年分収録されています。最低でも、この5年分は解いておきましょう。

センター試験過去問研究 英語(2019年版センター赤本シリーズ) センター試験過去問研究 英語(2019年版センター赤本シリーズ)
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センター試験過去問研究 英語(2019年版センター赤本シリーズ)
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もし、もう少しセンター試験のリスニング対策に費やせる時間があるのであれば、センター赤本 英語リスニング過去問』(教学社)というアプリを活用してみましょう。このアプリでは、2006年度から2018年度まで、全27回分の問題(本試験・追試験+試行テスト)を解くことができます。(※2013年度本試験以外の問題を利用するには、アプリ内での課金が必要です)
もちろん、27回分全てを解く時間はなかなか確保できないでしょうから、自分がセンター試験リスニングの形式や音声スピードに十分慣れたと思えることを目標に、回数を決めて取り組みましょう。
あとは、自分の間違えた問題を必ず見直し、本番ではケアレスミスをしないように最大限の注意を払うなど、失点を最小限に抑えることが重要です。

5. まとめ

センター試験の英語で8割を得点しなければ、目標大学を諦めることになる場合もあるでしょう。それは絶対に避けたいですよね。
「センター8割」という堅い決心があるならば、その到達度から逆算して必要な勉強量を見定め、1日でも早く実行する必要があります。

最後に、この記事のポイントをまとめます。

●センター試験英語(筆記+リスニング)で8割を得点するための戦略は2つ。

戦略(1)リスニングが得意/苦手ではない

⇒ 筆記・リスニングの両方で8割以上がマスト。リスニングは満点を目標に。

戦略(2)リスニングが苦手

⇒ リスニングは7~8割を目指し、5割が死守ライン。リスニングでの失点をカバーできるように筆記試験対策にも力を入れる。

また、いずれの戦略を取るにせよ、過去問演習は必ずおこなってください。
本番ではケアレスミスに十分気をつけ、正解できる問題でとりこぼしなく得点を稼ぎ、大学入試の山であるセンター試験を堂々と攻略しましょう。

岡本 眞一郎 先生(武南中学・高等学校)
1983年より都立高等学校英語教諭として、都立青山高等学校、都立戸山高等学校、都立白鴎高等学校、2014年より埼玉県立春日部高等学校、埼玉県立浦和高等学校と首都圏の進学校を歴任。2018年4月からは、埼玉県私立の武南中学校・高等学校で教鞭を執り、多くの受験生たちの指導に当たっている。