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大学受験の世界史対策で「年号」暗記はどこまで必要? ~便利な「語呂合わせ」が詰まった参考書4選~

2019.08.08

大学受験で世界史を選択した際の不安要素として、まず「年号暗記」が挙げられるのではないでしょうか。重要な事件が起きた時代背景や、年代の順序を正しく把握しておくことは重要だとわかっているものの、「年号をどの程度まで正しく暗記すべきか」は迷うところでしょう。
この記事では、世界史における年号暗記の必要性、またいわゆる「語呂合わせ」を使って年号を覚えるメリットや注意点について解説します。

1. 世界史の「年号」はどの程度覚えるべき?

暗記事項の多い世界史。なかでも覚えるのに苦労するのが「年号」です。
そもそも、なぜ年号を暗記しなければならないのでしょうか?
「○○が起きたのは何年のことか?」というように、ズバリ年号を答えさせるような問題は大学入試ではあまり出題されません。また、歴史上の出来事の年号を全て丸暗記しようとするのは、時間と労力がかかり過ぎ非効率的です。
一方で、年号は全く覚えなくてもよいというわけではありません。
では、どの程度まで年号の暗記が必要なのか。例として、過去のセンター試験(現:共通テスト)の問題を1つ見てみましょう。

問5 下線部⑤に関連して、冷戦期の出来事について述べた次の文a ~ cが、年代の古いものから順に正しく配列されているものを、下の①~⑥のうちから一つ選べ。

a チェルノブイリ原子力発電所の事故が発生した。
b 日中平和友好条約が締結された。
c キューバ危機が発生した。

① a → b → c
② a → c → b
③ b → a → c
④ b → c → a
⑤ c → a → b
⑥ c → b → a

(センター試験・2019年・本試験 第1問)

これは年代整序問題の中でも基本レベルのもので、それぞれaが1986年、bが1978年、cが1962年(したがって正解は⑥)と年代が異なるので、「○○年代に起きたか」ということさえ押さえておけば解ける問題です。
全世界に影響を与えるような超重要事項である「チェルノブイリ原発事故」や「キューバ危機」といった出来事については年号まで記憶しておくべきで、この知識があるだけで選択肢①②③はただちに除外できます。「日中平和友好条約締結」については、必ずしも正確な年号までは覚えずとも、「70年代の出来事である」という程度の知識は必要で、それさえわかっていればこの問題は正解できます。
年代整序問題では、出来事の因果関係などをヒントに正解を導き出すことができるものが多いのですが、年号を暗記しておけば、因果関係を考えるまでもなく瞬時に正答が出せるため、解答時間の節約に繋がるというのも大きなメリットです。
したがって、「年号はどの程度まで暗記すべきか」という問いに対する答えとしては、各王朝の始まりや終わりの年、戦争や条約、革命など、世界史における超重要事項の年号については確実に暗記すべきだということになります。
また、後ほど紹介する語呂合わせを使った参考書に掲載されている年号だけを暗記する、というのもおすすめです。特に、出題頻度別に年代の語呂がランク分けされているものは、その年号の重要性がひと目で分かるため、非常に便利です。

2. 「語呂合わせ」で世界史の年号を覚える

2-1. 「語呂合わせ」暗記法のメリット

数字を覚えることが苦手という人にとって、歴史の年号の暗記は苦痛に感じられるものです。
その際に役に立つのが「語呂合わせ」による年号の暗記です。
通常、語呂合わせでは、インパクトの強い表現やユーモラスな表現で語呂が作られています。例えば、「375年、ゲルマン人の大移動開始」という歴史事項を覚えるのに、「みんな(37)でゴー(5)」という語呂合わせがあります。
こうした語呂合わせによって、一つ一つの歴史事項や年号が、無味乾燥な言葉や数字の羅列ではなく、生き生きとしたイメージを伴うものとして鮮明に記憶されることになります。これは、より新しい知識が覚えやすくなり長期記憶に結びつくだけでなく、仮に一度忘れてしまっても、イメージを頼りに思い出しやすいという大きなメリットがあります。
先ほどの例で言えば、「ゲルマン人の大移動」に関する問題が入試本番で出題されたとして、仮に正確な語呂を忘れていたとしても、ゲルマン人が大挙して移動するイメージさえ脳内に残っていれば、「『ゲルマン人の大移動』といえば、なんとなくみんなで移動しているイメージがあるな・・・そうだ、『みんな(37)でゴー(5)」の375年だ!」のように、記憶をよみがえらせることも可能になるのです。

2-2. 「語呂合わせ」には向き・不向きがある?

「語呂合わせ」暗記法は、向いている人には抜群の効果を発揮する一方、人によってはかえって非効率になってしまうリスクもあります。
通常、人が物事を暗記する際、ただの言葉や数字の羅列を暗記するより、何らかのイメージとセットで覚える方が、暗記しやすく記憶に残りやすいと言われています。そのため語呂合わせは、基本的には多くの人にとって効果を発揮する方法と言えるでしょう。
一方で、「年号(=数字)を覚えるのが特に苦ではない」という人や、「暗記事項は必要最低限に抑えたい」という人には、必ずしもお薦めできる方法ではありません。
というのも、「語呂合わせ」は暗記作業を少しでも楽にするためのテクニックではありますが、まずは「語呂そのものを覚える」というプロセスがあるため、人によっては「覚えなければいけないことが余計に増える」と感じられることもあります。年号をそのまま暗記する方が、覚える事柄を最小限に留められるので性に合っているという人は、語呂合わせでの暗記にこだわらなくてもよいでしょう。

2-3. 「語呂合わせ」の注意点

語呂合わせで世界史の年号を暗記する上で、注意しなければならないこともあります。
語呂合わせで年号を覚えるのはあくまでも勉強の1つのプロセスであって、本質的な目的ではないということです。
どういうことかと言うと、例えば世界史の転換点となるような「ウェストファリア条約」や「フランス革命」といった重要な出来事については、それぞれ「1648年」「1789年」という年号を暗記しておくだけでは不十分で、それぞれの歴史的意義や経緯まで十分に理解しておく必要があります。
基本的に、大学受験の世界史で求められる知識としては、それぞれの出来事が「何年に起きたか」ということより、「なぜ・どのようにして起きたのか」、そしてそれが後に「どのような影響を与えたのか」といったことの方が遥かに大きな重要性を持ちます。この優先順位は、世界史を学習する上で十分留意してください。

3. 「語呂合わせ」が載っている世界史のおすすめ参考書4選

先輩たちの中には、自分で語呂合わせを作って暗記し、志望校合格を勝ち取ったという“猛者”もいます。確かに、自分で考え出した語呂合わせは覚えやすいというメリットはあるものの、相当な時間と労力がかかるのが難点ですよね。
もし語呂合わせで受験世界史の暗記を効率的に進めたいと思うなら、市販の参考書を上手に活用するのが賢明です。
以降、語呂合わせが掲載されている4つの参考書を紹介します。

高校100%丸暗記 世界史年代 高校100%丸暗記 世界史年代
地歴
世界史
高校100%丸暗記 世界史年代
4.3
高校社会科教育研究会/著・編集
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高校100%丸暗記 世界史年代: マンガとゴロで』(受験研究社)

左ページに年号と出来事とその語呂、右ページに解説が載っているという構成の参考書です。語呂が五七五調になっており、リズミカルに覚えられます。
また、オールカラーでそれぞれの項目にコミカルなイラストがついているため、視覚的なイメージでも記憶に残りやすくなっています。さらに語呂合わせだけでなく、年代暗記法に関する様々なテクニックを紹介した巻末付録も付いており、これも非常に役に立つでしょう。

元祖 世界史の年代暗記法 四訂版 元祖 世界史の年代暗記法 四訂版
地歴
世界史
元祖 世界史の年代暗記法 四訂版
5
小豆畑和之/著
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元祖 世界史の年代暗記法 四訂版 (大学JUKEN新書)』(旺文社)

『高校100%丸暗記 世界史年代: マンガとゴロで』と同じく、左ページに語呂、右ページに解説というスタイルです。
解説が充実しており、関連するポイントも簡潔に整理されていて、語呂の暗記だけでなく、歴史事項の知識の補充にも役立ちます。

世界史年代ワンフレーズ new 世界史年代ワンフレーズ new
地歴
世界史
世界史年代ワンフレーズ new
5
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世界史年代ワンフレーズnew』(パレード)
類書に比べて薄さが際立つ1冊です。抜群の持ち運びやすさ、無駄を省いたシンプルな構成、味のあるイラスト、そしてユーモアたっぷりで独特のギャグセンスが光る語呂が掲載されている、非常にユニークな参考書で、多くの受験生から支持を集めています。

風呂で覚える世界史〔年代〕[改訂版] 風呂で覚える世界史〔年代〕[改訂版]
地歴
世界史
風呂で覚える世界史〔年代〕[改訂版]
4
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風呂で覚える世界史〔年代〕[改訂版] (風呂で覚えるシリーズ)』(教学社)
タイトルの通り、お風呂の中でも使える紙で印刷されている参考書です。「お風呂くらいゆっくり入りたい」という人には薦められませんが、入浴中も時間を惜しんで勉強したいという熱心な人は、この参考書を使って効率的な学習ができるでしょう。

4. まとめ

世界史の年号暗記について、この記事のポイントを振り返りましょう。

●世界史の「年号」はどの程度まで暗記すべきか
超重要事項(=各王朝の始まりや終わりの年、戦争や条約、革命など)については、正確な年号を暗記しておきましょう。

●世界史の「年号」を覚えるメリット
年代整序問題では、出来事の因果関係を考えれば解ける問題が多いものの、年代を暗記しておけば瞬時に正答が出せるため、解答時間の節約に繋がります。

●「語呂合わせ」を活用するメリットと注意点
「語呂合わせ」を活用することで、一つ一つの歴史事項が生き生きとしたイメージを伴う出来事として、鮮明に記憶されるといったメリットがあります。
ただし、語呂合わせで年号を覚えるのはあくまでも勉強の1つのプロセスであって、世界史学習の本質的な目的ではありません。
それぞれの出来事が「なぜ・どのようにして起きたのか」「どのような影響を与えたのか」といったことの理解を優先して学習を進めましょう。

松屋直子
学生時代シリアに留学。大手学習塾で集団・個別両方の指導を経験した後、神奈川県の私立中高一貫校で社会科専任教員として5年間勤務。専門は世界史。子育てにも奮闘するお母さん先生。