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高校生の「英検準1級」受験へのアドバイス ~受験時期・対策ポイント・おすすめ参考書~

2023.12.27

近年、大学入試でも需要が高まっている英検。なかでも「準1級」の取得は、入試方式によっては英語試験免除や満点換算など、大きなアドバンテージになることが多くなっています。一方で、勉強時間の確保や難易度の高さなどから、人によっては大きな負担となってしまうことも…。
本記事では、英検準1級受験に適した時期や実際の出題形式・傾向について解説します。「準1級の受験を検討しているけど、高校生活や大学受験と両立できるか心配…」「2級との違い、難易度・試験内容を知りたい」など、準1級の受験自体を迷っている場合も、ぜひ参考にしてください。

※本記事は、2023年12月時点の情報に基づいています。受験の際は、英検公式サイトで最新情報をご確認ください。
※本記事は、複数ある試験方式のうち、最も標準的な「従来型」の解説が中心です。他の試験方式については、詳しくは英検公式サイトをご参照ください。

1. 英検準1級の難易度について

英検準1級の難易度は、日本英語検定協会からは〈大学中級程度〉と公表されており、大学受験に当てはめると、〈早慶上智大学の英語レベル〉といわれることが多いです。2級と比べ、学術的・専門的なテーマで出題されることが多いため、英語力だけでなく、演習を積んでテーマに関する背景知識をある程度身につけておくとよいでしょう。
合格率は15パーセントほど(※)と低いため、2級から取得して段階を踏んで受験することをおすすめします。2級と比べかなりの勉強時間が必要で、高校在学時に受験する場合、単語から始めて少なくとも一次試験対策だけで4~5ヵ月かかると考えておいてください。

※合格率は2016年度以降公式発表されなくなったが、2010年度~2015年度の準1級合格率平均は15.1%となっている。

2. 大学受験と英検準1級

大学受験において英検準1級を目指すことは、あらゆる面においてアドバンテージになります。
合格できた場合はかなりの英語力がついた証明になり、志望校をワンランク上げる後押しにもなります。
また、結果にかかわらず英検対策過程で鍛えた英語力は受験勉強そのものにも役立つでしょう。
まず、大学受験に直結する単語力については、共通テストをはじめ大半の大学の英語試験に対応できるレベルが身につきます。準1級レベルの英単語学習だけでも価値があると言えるでしょう。
一次試験に関して言えば、「リーディング」は語彙力と読解力が問われるため、特に私立大学文系学部の英語長文問題に、「ライティング」は国公立大学の英作文問題等に役立ちます。「リスニング」については形式こそ異なるものの、長丁場となる共通テストのリスニング問題に耐え得る体力をつける上でも、助けになります。
一方で、英検準1級の二次試験にはスピーキングが課されますが、この対策が受験生にとっては負担となりやすいです。大学受験、特に一般入試で英語スピーキングが課される大学・学部は、まだ少ないためです。
準1級は2級と比べてもかなりの勉強時間が必要となるので、志望校の英語入試の配点・難易度や受験科目数などから、対策の優先順位を考慮する必要があります。志望する大学・学部によってはメリットより負担が大きいこともあるため、志望する進路先次第で「高校生の段階では準1級を受験しない」という選択肢を持っておくことも頭に入れておきましょう。

*入試方式や大学入学後における「英検準1級」取得のメリットに関しては、こちらの記事も参考にしてください。
>> 英検準1級二次試験の直前対策! ~高校在学中から準1級合格へ~

3. いつ・どのように受験する?

3-1. 受験時期を決める上でのポイント

英検準1級の個人検定試験は1年間に3回実施され、一次試験は6月・10月・1月におこなわれます。
大学入試の英検利用において、「受験してから2年以上経った英検の資格は無効とされる場合がある」点を考慮すると、2年生後半~3年生前半の受験が安心です。勉強期間が数カ月単位で必要となるため、対策期間もあわせて受験時期を計画することが大切です。
また、合格率の低さを鑑みると2回ほど受験できるように計画しておくとよいでしょう。

3-2. 「英検S-CBT型」について

従来型で予定が合わない場合は、コンピューター解答形式の英検・S-CBT型での受験も検討可能です。
S-CBT型では、従来型での一次試験・二次試験の両方を1日でまとめて実施するため、合否ではなく「総合スコア」が算出されます。PCでの受験が基本ですが、ライティングのみ筆記形式を選ぶこともできます。
従来型に比べ柔軟に受験できることが大きなメリットですが、人によっては合わない試験方法であるケースもあるので、受験する場合は特徴について十分に把握しておくようにしましょう。

〈英検S-CBT型のメリット〉
・試験日や受験場所の選択肢が従来型より多い
・受験料が従来型より安い
・従来型における一次試験の合否が問われないので、スピーキングも含めた総合スコアの証明になる
〈英検S-CBT型のデメリット〉
・スピーキングも加わるため試験時間が増える
・スピーキングもコンピューター相手なので、アティチュードなどの加点がされにくい

4. 高校生の英検受験に適した時期

4-1. 高校2年次/第2回(一次試験10月実施)

2年次での英検受験は、早いうちから英語力を鍛えられる、不合格だった場合もリベンジがしやすい点が大きなメリットです。
一方で学校生活との両立に負荷がかかる、対策スタート時期の英語力が3年次より不十分であることがデメリットに挙げられます。

〈高校2年次/第2回受験のメリット〉
・夏休みに勉強時間が取れる
・不合格だった場合もリベンジしやすい
〈高校2年次/第2回受験のデメリット〉
・まだ英語力が十分でないケースがある(高校英文法の履修が終わっていないことも)
・修学旅行や学園祭などの学校イベントとかぶることがある

4-2. 高校2年次/第3回(一次試験1月実施)

総合型選抜・学校推薦型選抜など年内の入試を検討している場合は、高校2年次の第3回までの受験を目標に取り組むことをおすすめします。

〈高校2年次/第3回受験のメリット〉
・2年生の10月実施に比べてひと通りの英語力がついた状態
・不合格だった場合もリベンジしやすい
〈高校2年次/第3回受験のデメリット〉
・定期テスト期間とかぶることがある

4-3. 高校3年次/第1回(一次試験6月実施)

高校3年生の夏以降は本格的な受験シーズンと重なり、入試方式によっては取得が間に合わないこともあるため、英検取得を入試に利用する場合は高校3年次の第1回までを目標に受験しましょう。これ以降どうしても受験したい場合は、S-CBT等でなるべく早めの受験を検討しましょう。

〈高校3年次/第1回受験のメリット〉
・ある程度の英語力がベースにある状態から対策をスタートできる
・部活動等の課外活動を引退していることが多いため、比較的勉強時間を確保しやすい
・学校も周りも受験モードに入りつつあるため、モチベーションを保ちやすい
〈高校3年次/第1回受験のデメリット〉
・受験勉強と時期がかぶるため教科数が多い場合は負担になりやすい
・以降の再受験は難しいのでおそらく一発勝負になる

5. 【英検準1級】出題傾向とおすすめ参考書 

5-1. 単語 〈勉強期間の目安:3~5ヵ月〉

英検準1級では7500~9000語程度の単語が出題され、これは2級と比べて3000語ほど増加します。出題される単語のレベルも高くなるため、単語だけでも数カ月は勉強期間を確保しておきましょう。
また、日本語でもあまりなじみのない単語(例:deposit→「内金」等)も登場するため、覚えにくい単語は改めて和訳の意味から確認しておくことをおすすめします。
単語は一次試験の語彙問題・リーディングにおいて得点に直結しやすく、特に語彙問題は勉強した分伸びが期待できます。単語力を鍛えて過去問演習への土台をしっかり作っておき、スムーズに英検対策を進めましょう。

【準1級おすすめ参考書 ~単語帳編~】

英検準1級 でる順パス単 5訂版 英検準1級 でる順パス単 5訂版
英語
英検対策
英検準1級 でる順パス単 5訂版
0
旺文社
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  • おすすめ (0)

英検準1級 でる順パス単 5訂版』(旺文社)

頻出順にA・B・Cのパートに分かれているため、効率的に英検での重要単語を学習することができます。
手薄になりがちな熟語パートもあり、この1冊で英検頻出語句をひと通り網羅することが可能です。
「でる度C」の単語も合格する上で重要な単語が多いため、全てのパートに取り組むようにしましょう。

速読英単語 上級編[改訂第5版] 速読英単語 上級編[改訂第5版]
英語
英単語
速読英単語 上級編[改訂第5版]
0
風早寛
  • ほしい (2)
  • おすすめ (0)

速読英単語 上級編[改訂第5版]』(Z会)

大学受験向けの単語集ですが、英検準1級対策にもなるレベルの語彙が収録されています。各ステージに収録単語を用いた長文が掲載されており、暗記した単語の実際の使い方もあわせて確認できます。

「単語の意味を推測する方法」など、英検にも通ずる長文対策テクニックも紹介されており、大学受験と英検を並行して勉強したい人、英検を受験するか迷っている人にもおすすめです。

5-2. 過去問演習 〈勉強期間の目安:2~3ヵ月〉

英検準1級の一次試験は、語彙問題・長文問題・ライティング・リスニングから構成されています。解答時間がとてもタイトなので、速読力が重要となります。本番の試験時間・量に慣れるためにも、定期的に一次試験を通しで演習するようにしましょう。

・語彙問題
語彙問題は選択肢の単語も難しいものが多く、消去法では絞りにくいケースも見られます。演習の際には正解の単語だけでなく、不正解の選択肢の単語も確認し語彙を増やしておきましょう。

・読解問題
従来、リーディング(長文読解)問題は、長文語句補充2問・長文読解3問で構成されていましたが、2024年第1回検定より一部設問数が削減されることになりました。
長文テーマは歴史や科学など学術的なものが多いです。文章量が多いため、全てをじっくり理解しようとするのではなく、設問を事前に読んで問われるポイントを確認するなど、効率的に読み進めることが大切です。
読解問題は3日おきくらいに対策を継続することが必要です。直前期は毎日取り組みましょう。

・ライティング
ライティング問題は、2024年第1回検定より従来の「意見論述」の出題に加え、「要約」問題が出題されることになりました。
「意見論述」で過去に扱われてきたトピックとしては、「大企業は社会によい影響を与えると思うか」「給料は仕事の成果に基づくべきか」など、社会問題・ビジネスのテーマを問われることが多いです。また、「人々はベジタリアンになるべきである」といった、日本ではあまりなじみのないテーマからも出題されます。そのため過去の出題例などをチェックした上で、様々なテーマについて自分なりの考えや知識を持っておくことが大切です。
また、準1級では「問題文とは異なる表現を使う」「接続詞を活用する」など表現上の工夫も必要となります。直前期までは週末など時間が取りやすい日にじっくり対策し、慣れてきたら解答時間も意識しましょう。

・リスニング
準1級のリスニングは3パートに分かれています。
‐パート1:複数人の会話問題
‐パート2:専門的なテーマのパッセージの内容一致問題
‐パート3:駅のアナウンス、留守番電話のメッセージなど日常生活の音声
2級と比べて内容が複雑になり、使われている語彙のレベルも上がるため、単語学習の段階から発音まで確認し、リスニングに備えておけるとよいでしょう。
また、各問題のリスニング分量も長いため、定期的にパート1~3全体を通しで演習するなどして、聞き取りと解答に必要な体力を鍛えましょう。

【準1級おすすめ参考書 ~一次試験編~】
※以下に紹介する参考書は2023年第3回検定までに対応した書籍です。受験する時期に注意した上で利用を検討してください。

英検準1級総合対策教本 改訂版 英検準1級総合対策教本 改訂版
英語
英検対策
英検準1級総合対策教本 改訂版
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旺文社/編
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英検準1級総合対策教本 改訂版』(旺文社)

4技能問題それぞれの特徴・傾向などのポイントが詳しく説明されており、準1級対策の入門書にぴったりです。解法の手順をしっかり確認しながら問題に取り組めるため、英検準1級を初めて受ける人、演習の前に準1級の傾向や解法のコツを確認したい人におすすめの1冊です。

2023年度版 英検準1級 過去6回全問題集 2023年度版 英検準1級 過去6回全問題集
英語
英検対策
2023年度版 英検準1級 過去6回全問題集
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旺文社
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2023年度版 英検準1級 過去6回全問題集』(旺文社)

6回分の過去問が収録されています。休日など時間がある日には試験時間を計りながら一次試験全てを通しで取り組むなど、何回かは本番を意識した使い方もしてみましょう。
ライティング・スピーキングの模範解答も充実しているため、解答表現をストックするのに活用するのもおすすめです。

5-3. 二次試験対策 〈勉強期間の目安:2週間~1ヵ月〉

二次試験は一次試験の1か月後あたりに実施されるため、対策時間が短くなります。特に、合格発表後に対策に取り掛かる場合は2週間ほどしか対策期間がないため、スピーキング対策はなるべく毎日取り組むことが望ましいです。
二次試験では、4コマイラストのストーリーの作成とナレーション、それらに関連した質問に加え、社会問題などからの質問が課されます。
準1級では、4コマイラストのナレーションで2分と時間設定があることが特徴です。時間内に各コマまんべんなくナレーションできるように時間配分も意識して練習しましょう。
また、社会問題についての質問も、ライティングと同じく学生にはあまり馴染みのないテーマが頻出するため、事前の対策が必須となります。ライティングでの勉強も参考にしつつ、それを相手とのコミュニケーションの中で表現するスピーキングならではの即応力を磨いていきましょう。

【準1級おすすめ参考書~二次試験編~】

14日でできる! 英検準1級 二次試験・面接 完全予想問題 改訂版 14日でできる! 英検準1級 二次試験・面接 完全予想問題 改訂版
英語
英検対策
14日でできる! 英検準1級 二次試験・面接 完全予想問題 改訂版
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旺文社
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14日でできる! 英検準1級 二次試験・面接 完全予想問題 改訂版』(旺文社)

二次試験の予想問題が14回分収録されており、本番とかなり近い形式で演習が可能です。
一次試験の合格発表から二次試験のスピーキングまでちょうど2週間ほどなので、毎日の練習量を確保できます。
解説部分ではテーマに関する背景知識も説明されており、会話のアイデアを膨らませる上での材料になります。
「英検対策ウェブ模試」にも対応しており、S-CBT型の試験対策をおこなえる点も魅力です。

英検準1級 面接大特訓 英検準1級 面接大特訓
英語
英検対策
英検準1級 面接大特訓
0
植田一三/著 上田敏子/著 Michy里中/著
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英検準1級 面接大特訓』(Jリサーチ出版)

幅広いテーマの質問・解答例や例文が収録されており、表現の引き出しを増やすことができます。特に社会問題に関する質問、解答例が充実しており、様々なテーマや考え方に触れることができます。
模擬テストも12回分収録されており、たくさん演習をこなしたい人にもおすすめの1冊です。

6. まとめ

難易度の高い英検準1級ですが、その分受験対策を通して大学受験にも通じる確かな英語力を培うことができます。対策期間や自分の志望校・入試方式等も考慮した上で、自分に合った時期に受けることを第一に意識しましょう。
いずれにしても、高校生は早期のうちに準1級試験の全体像を掴み、受験を検討・計画しておきたいところ。いざ受けると決めたら、この記事で紹介した出題傾向や参考書の情報も、ぜひ参考にしてくださいね。

*英検対策については、これらの記事もご覧ください。
>> 英検準1級二次試験の直前対策! ~高校在学中から準1級合格へ~
>> 英検2級一次試験の王道対策! ~最短合格のためのテクニックとおすすめ参考書~
>> 英検2級二次試験の直前対策! ~合格のためのテクニックと疑問解決Q&A~

StudiCoサポーター Y.K.
早稲田大学 文学部 合格